(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -16ページ目

効果的なOJTの進め方(15)

前回は「人材育成の原則」の一つである「やる気」を伸ばすためにはどのようなことが必要なのかについて簡単に説明しましたが、もう少し包括的に捕らえてみることにしましょう。

まず、最初に私たちが、「やる気」になる要素とは何なのかを考えてみましょう。

非常に簡単な例としては、「給料の額」や「昇進」といった、会社の中で自分自身の功績が認めてもらえるということですね。このことは突き詰めて考えてゆくと、自分自身を認めて欲しいという欲求の現われではないでしょうか?

「給与」が上がるのは嬉しいけれど、それはあくまで結果の話であって、もっと重要なのは「自分自身の功績」を認めて欲しいということだと考えることができます。

このように、「やる気」を起こさせる事柄について少し深掘りして考えてみると、実は「やる気」を起こさせる要素には「長続き」することと「一時的にはやる気を起こさせるけれど、長続きしない」ものとがあることがわかります。

上の例でいうと、給与は多くもらえればもらえるほど当然やる気は出ますが、会社の組織ではやればやるほど給料が上がるという仕組みになっている企業はほとんどありませんし、仮に使い切れないほどの給料をもらっても、さらに給料を上げてもらうためのやる気が沸いてくるかどうかは疑問です。

したがって、給料を上げるというのは「一時的にやる気を上げる」ためには非常に有効な手段ですが、継続的にやる気を上げることには適していないことがわかります。

それでは、「本人の貢献やがんばったことを認めてあげる」というのはどうでしょうか?

「本人の貢献やがんばったことを認めてあげる」ためには、具体的な行動や行為で示してあげることが必要です。例えば、よくがんばった人をみんなの前で褒めて、その功績を称えるとか、あるいは、以前はできなかった事ができるようになったときに、「おめでとう、~ができるようになったね!」と一緒に喜んであげたりする、このような行動が「認めてあげる」ことにつながってゆきます。

認めてあげるという行為には限界がありませんから、いつでも誰に対しても有効な方法だといえるのではないでしょうか。

もうお分かりだと思いますが、上司がOJTという限られた範囲で人材育成を行ってゆくためには、できるだけ継続的な効果のある「やる気向上」のためのアプローチを行う必要があるのです。

効果的なOJTの進め方(14)

これまでは、人材育成の原則である「スキルを伸ばす」、つまり、トレーニングによってスキルを伸ばし、そのスキルを定着させるための方法を述べてきました。今週からは、もう一つの原則である「やる気」、つまり、モチベーションを向上させるための方法を学んでゆきます。

本人のモチベーションに大きな影響を与えるのが、その職場における満足度です。

近年多くの企業で、「社内満足度調査」とか「社員意識調査」などの名称で、様々な角度から、社員の満足度を計るという調査が行われています。なぜ、こういった調査にわざわざ投資をして調査を行うのでしょうか?

答えは簡単で、満足度の高い組織ほど業績が良いという関連性があるからでしょう。勿論全ての組織に当てはまるものではないかもしれませんが、少なくとも日本マクドナルドで「社員満足度調査」を行ったときには、業績の良い店舗と良くない店舗を比べると、アルバイト社員の満足度と業績の良い店舗には明確な相関関係がありました

具体的には、仕事そのものに対する満足度、将来のキャリアに対する満足度、あるいは上司との関係性などが、本人のモチベーションに大きく関係しています。

例えば、自分自身が楽しいと思う仕事は、どちらかというとプロジェクトタイプの仕事であり、自分が考えて創り出すタイプの仕事が自分にあっていると思っている人が、毎日定型的な仕事をしていると、次第にモチベーションが下がってきて効率も下がってきます。

上司には仕事を変えるだけの権限はないかもしれませんが、少なくとも、本人の話を聞いて相談に乗ってあげることはできるはずです。不思議だと思われるかもしれませんが、本人の話を聞いてあげるだけでも、多くの不満は解消するものなのです。

このことと関連するのですが、OJTで最も大切なのは「上司」と「部下」の信頼関係です。信頼関係のないところでは、「スキルも上がりません」し、「やる気も上がりません」。それでは、信頼関係というのはどうやって構築すればよいのでしょうか? 何か特別な方法があるわけではありません。

正直であり誠実な態度を示すこと。約束は守り、言ったことは実行する。忙しい忙しいといわず、少ない時間でも部下との話し合いを持ち、部下が何を考えているかをしっかりと聞く。といったことの積み重ねが「信頼関係」になって表れてくるのです

効果的なOJTの進め方(13)

先週は味の素の山口会長の話をしましたが、今週はまた元に戻って、トレーニングの原則の「認めること」「フォローアップ」について説明をします。

以前フィードバックを返すことの重要性について触れましたが、実はフィードバックも「認めることの具体的な行動」のひとつなのです。

約1年ほど前に「鹿児島のスーパー保育園」の話をしました。実はこの番組はシリーズで合計4回ほど行われたのです。その3回目だったと思いますが、運動会のシーンがありました。運動会で必死になって走っている園児を先生たちが声を出して応援しているのです。

普通ならば、遅れている子を応援しますよね?でも、そこの先生たちは遅れている子にも、そして先頭を走っている子にも応援しているのです。取材のスタッフも少し不思議に思ったのか、どうして1番で走っている子も応援してたんですか?と聞いているのです。

その先生の答えはこうでした。「生徒たちは自分が一生懸命何かをやっていることを誰かにみてもらって、認めて欲しいのです。だから、私たちは全員に声をかけるんです」

ビジネスにおける人材育成も全く同じで、「誰かに認めてもらえる」ことは本人のやる気を向上させるにはとても重要なことなんです。ですから、上司は、教えたことを部下がやって、できるできないにかかわらず「大丈夫、しっかりと功績は見ているからね」という気持ちを具体的な行動で示してあげることが非常に重要です。

「フォローアップ」は認めること、あるいは功績を見ていることと同時に起こることですが、人は誰にも「自分が得意にしている分野」「自分が不得手な分野」の両方があります。フォローアップでは、まずこの2点を明確にすることから始まります

「自分が得意にしている分野」については、その強みをさらに活かすためにはどのような仕事にチャレンジさせればもっともこの部下にとって良いのかを考え、「自分が不得手な分野」ではどのようにして改善すればよいのかを、部下と話し合って、次のステップに何をすればよいのかについて同意をするということです。

このフォローアップがないと、「スキルを身につける」という段階から、「スキルを習慣化させる」というOJTの特徴が活かせなくなりますから、しっかりとフォローアップについて部下と話し合うことが非常に重要になるのです