(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -17ページ目

味の素、山口範雄会長のリーダーシップ論

7月2日(金)から7月10日(土)まで、日本能率協会様の海外洋上研修で講師を務めさせていただきました 。その関係で、味の素の山口範雄会長と船上でリーダーシップについてお話をする機会がありました。少しそのことについてご紹介したいと思います。

山口会長はとにかく博学な方で、読んでおられる書物の数が半端ではないです。実に多くの本とそれから得られた知識を持っておられる方ですが、山口会長が考えておられるリーダーの条件というのが以下の項目です。

1.先見性(いつかは訪れる日のために)
2.合理性と人間性のバランス(理論より理解を優先させるべき)
3.大局観と現実主義のバランス(大局だけでは失敗する)
4.自らへの厳しさ
5.強固な意志・強靭な精神(一貫性が大切)
6.戦略性(選択肢は常に複数持つこと)
7.自発性の力を知る(自分から進んで行動したときの力のすごさ)
8.謙虚(未知なる事への謙虚さ)
9.努力に裏づけされた楽観性(前向きであること)
10.人材の組み合わせの重要性(適材適所)

こういった行いは全てが重要なことではありますが、山口さんは、これ等のことを全ておこなえるのはスーパーマン以外にはありえないとおっしゃっています。そして、重要なことは、こういった人物に少しでも近づくためには何をしなければならないのか?

それは少しでも自分を磨くことであるといわれてます。

じゃあ具体的に何を磨くのかというと以下の2点を挙げておられます。

1.専門性を磨く。
つまり、何らかのプロフェッショナルに成ることが必要である、ということです。専門性を高めることは他者に対する影響力を増してゆくことですから、これまで述べてきた、「影響力によるリーダーシップ」を体現してゆくことに繋がります。

2.リーダーとしての人間性を磨く。
つまり、リーダーとしての「志、向上心、正義、そして愛」を磨くことです。

まさに、これ等のことは、リーダーとして必要な具体的な行動要件です。皆さんもぜひ自らのリーダーシップを強化するためにこういった行動を心がけてください。

効果的なOJTの進め方(12)

次に「うまくいったときにはトレーナーとしても一緒に喜んであげる」という点ですが、これも当たり前の話で、もちろん普段私たちは無意識で行っている事かもしれません。「自分が上手くいったことで、トレーナーもこれだけ喜んでくれるんだ」という印象ですね。

最近テレビのCMでスケートの浅田真央さんが、「私が頑張ることで回りの人が喜んでくれることが嬉しかった」というセリフが入っているものがありますが、まさにこれと同じで、本人と最も近しい、トレーナーとしての上司が喜んだり悲しんだり、という行為で、本人の成果とやる気を印象付けるという考えです。

そして「フィードバックはその場で返してあげてトレーニングの成果を印象付ける」というのは、このフレーズそのままの意味で、目的を持って部下が何かを行った場合には、その場でフィードバックを提供する必要があるということです。

昔から「鉄は熱いうちに打て」ということわざがありますが、このフィードバックも全く同じで、本人の記憶や、行為が鮮明なうちに、良かった点を褒めて喜びを共有し、できなかった点は分析し、次はどうするのかについて同意する、こういったフィードバックをとレーニンが終わったらすぐに行うことです。

次の印象という点ですが、「良い点と改善点をレビューして次回につなげる」というものです。これは先ほどのフィードバックの内容の話ですね。フィードバックはタイムリーに行ったとしても、その内容があまりにも簡単すぎたり、具体性に欠けたりすると成果として強く印象には残りません。

例えばこんな事を想像してみて下さい。皆さんは目隠しをされて、これからダーツゲームをします。ダーツの的がどこにあるのかどれほどの距離があるのかは一切聞かされていません。ただわかっているのは前方にある壁にダーツの的があるということだけです。

皆さんにはダーツの矢が5本渡されました。司会者の指示で5本の矢を1本づつ投げてゆきます。その際に回りの人からフィードバックが提供されます。例えば、「あ・惜しかったね、もう少しだ頑張れ」というフィードバックと「あ・惜しい、右にあと30センチ投げれば的に当たるよ。高さと距離は今のままでよい」という2つのフィードバックがあったとしたら、どちらのフィードバックがより効果的でしょうか?

言うまでもなく後者ですね。部下の育成のためには、こういった明確な目標に向けた具体的なフィードバックが必要なんですね。

効果的なOJTの進め方(11)

今回は、トレーニングを実施する際の原則の一つである、「強く印象づける」ということについて説明します。

これまで、OJTの効果的な進め方について様々なポイントを説明してきましたが、何か特に新しい手法やツールがあったわけではありません。「強く印象づける」という点も全く同じで、特別新しい考え方でも、技法でもありません。

しかし、実際には、その重要性を正しく理解して実施したり、体系づけて理解した結果として必要なことを実施したりすることは、意識しないで何気なく行っている時と較べると、はるかに大きな効果をもたらすものなのです。

トレーニングを強く印象づける必要性は、簡単にいうと「トレーニングに対するモチベーション(やる気)を醸成するため」です。

人は最初からできないことには興味を示しませんし、やってもやっても誰も褒めてくれない事にたいしてモチベーションを保つことはできないのです。したがって、まず自分自身で「何だ簡単にできるじゃないか」という取り組みやすさが必要ですし、誰かが、自分のやったことに対して「良かったね、次はこうしよう」という評価をしてもらって、はじめて継続的に取り組む姿勢が出てくるのです。

OJTはOFFJTと違って、スキルの習慣化までを視野に入れたトレーニングですから、継続的に取り組む姿勢を促すためのスキルが必要になるわけです。

  心の状態 結果 トレーニング
無意識 × 知識
意識 × スキル
意識 習慣化
無意識 習慣化継続

具体的にいうと「強く印象付ける」には4つのパターンがあります。

1.最初に好印象を得られるように成功体験を積ませてあげる
2.うまくいったときにはトレーナーとしても一緒に喜んであげる
3.フィードバックはその場で返してあげる
4.良い点と改善点をレビューして次回につなげる

最初に好印象を得られるように成功体験を積ませてあげるというのは、いわゆるビギナーズラックということとも似ていますが、最初の取り組みの段階で良い印象を持つことです。こうすることで新しいスキルの習得にも自然に興味が湧いてくるという意味です。

次回は2~4の印象について簡単に説明します。