沖縄は素晴らしい島だ 
精神が解放される島だ
しか~し
何もかも全てが良いわけではない
さらに嫌いなったものもある
トービーラーよ
ヒーラーよ
貴様に生きる資格はない
何故に神は奴を製造されたのじゃ~
道を歩いていたら
ぶ~ん
いきなり飛んできて
首にピタッ
うっぐぐぐぐぐぐぅ~
悲鳴をあげそうになった…
殺虫剤をかけると
狂った様に飛び回り
こちらに突っ込んでくる
うわぁー
おいおい
本土では普通は逃げるぞ

( ↑『ゴキちゃん』須賀原洋行 著 )
トービーラーとは
ヒーラーとは
沖縄でゴキブリの事じゃぁ~
沖縄のゴキブリはでかいのだ
しかも!よく飛ぶのだ
…ああ…気持ち悪い…
沖縄の家にいるのは
巨大なトービーラーだけではない
チチチッケケケッと不気味に鳴く
白いヤールー(やもり)もいるのだ
ヤールーは家の守り神と言われ
沖縄で嫌われる事はないが…

( ↑『ゴキちゃん』須賀原洋行 著 )
大学の友人
池村勝也の超ボロッちいアパートに
遊びに行った時の事だ
アパートの出入口のまわりは
いつもゴキブリがうじゃうじゃ
集団の奴らを飛び越してから
階段を登り
勝也の部屋へ
勝也の部屋は
狭いベランダにむりやり
トイレとシャワーをつけたような作りで不便だ
洗濯物を干す場所がない
ベランダから湿っぽい風や
トイレの匂いが部屋に入ってくる
窓には一応ガラスはついているが
シャワーをあびていると外から
裸のシルエットが丸見えなのだ

勝也の部屋の隅に
汚いコーヒーの空き瓶が…
中でゴキブリが一匹死んでいる…
これ…自分で瓶に入って
窒息して死んだのかな
部屋に何匹もいたからよ
つかまえて瓶に入れてやった
な…な…なに~
飼うつもりで瓶に入れたのかい
ずっと瓶に入れてほっといたらよ
共食いして最後は一匹になってた
な…なんでそんな事を…
最後にどうなるかと思ってよ
え………
しーん
……沈黙……
…こないだよ
壁にいたゴキブリめがけて
ハンガー投げたら
ブーメランみたいになってよ
ゴキブリがまっぷたつにちぎれて
変な液が飛び散って顔にかかった
う………
しーん
食後にゴキブリの気持ち悪い話を聞かされ
すっかり空気が重くなってしまった…
……沈黙……
突然
勝也はギターを手にとり
チューリップ の 青春の影 を歌いだした
「君の心へ続く長い一本道は
いつも僕を勇気づけた~
とてもとても険しい細い道だったけど
今、君を迎えにゆこう~
自分の大きな夢を追う事が~
今までの僕の仕事だったけど~
君を幸せにするそれこそが~
これからの僕の生きるしるし~」

勝也は
空気を変えようとしたのだろうが
残念ながら私の頭から
半分にちぎれたゴキブリの姿を消す事は
しばらくできなかった…
青い海…白い砂浜…
沖縄は素晴らしい島だ…
素晴らしい島である…
素晴らしい島だと思う…
素晴らしい所が多い…
素晴らしい気がする…
素晴らしいけど…
素晴らしくない所もある
20年以上前の沖縄大学時代の出来事である…

( ↑ チューリップ:1970年頃に結成したバンド
ビートルズに影響を受けたメロディアスでポップな作品が多い
代表曲:『心の旅』『銀の指環』『サボテンの花』)

精神が解放される島だ

しか~し
何もかも全てが良いわけではない
さらに嫌いなったものもある

トービーラーよ

ヒーラーよ

貴様に生きる資格はない

何故に神は奴を製造されたのじゃ~

道を歩いていたら
ぶ~ん

いきなり飛んできて
首にピタッ

うっぐぐぐぐぐぐぅ~
悲鳴をあげそうになった…

殺虫剤をかけると
狂った様に飛び回り
こちらに突っ込んでくる

うわぁー

おいおい
本土では普通は逃げるぞ


( ↑『ゴキちゃん』須賀原洋行 著 )
トービーラーとは

ヒーラーとは

沖縄でゴキブリの事じゃぁ~

沖縄のゴキブリはでかいのだ

しかも!よく飛ぶのだ

…ああ…気持ち悪い…

沖縄の家にいるのは
巨大なトービーラーだけではない

チチチッケケケッと不気味に鳴く
白いヤールー(やもり)もいるのだ

ヤールーは家の守り神と言われ
沖縄で嫌われる事はないが…


( ↑『ゴキちゃん』須賀原洋行 著 )
大学の友人
池村勝也の超ボロッちいアパートに
遊びに行った時の事だ

アパートの出入口のまわりは
いつもゴキブリがうじゃうじゃ

集団の奴らを飛び越してから
階段を登り
勝也の部屋へ

勝也の部屋は
狭いベランダにむりやり
トイレとシャワーをつけたような作りで不便だ

洗濯物を干す場所がない
ベランダから湿っぽい風や
トイレの匂いが部屋に入ってくる
窓には一応ガラスはついているが
シャワーをあびていると外から
裸のシルエットが丸見えなのだ


勝也の部屋の隅に
汚いコーヒーの空き瓶が…
中でゴキブリが一匹死んでいる…

これ…自分で瓶に入って
窒息して死んだのかな

部屋に何匹もいたからよ
つかまえて瓶に入れてやった

な…な…なに~
飼うつもりで瓶に入れたのかい

ずっと瓶に入れてほっといたらよ
共食いして最後は一匹になってた

な…なんでそんな事を…

最後にどうなるかと思ってよ

え………

しーん

……沈黙……
…こないだよ
壁にいたゴキブリめがけて
ハンガー投げたら
ブーメランみたいになってよ
ゴキブリがまっぷたつにちぎれて
変な液が飛び散って顔にかかった

う………

しーん

食後にゴキブリの気持ち悪い話を聞かされ
すっかり空気が重くなってしまった…

……沈黙……
突然
勝也はギターを手にとり
チューリップ の 青春の影 を歌いだした


いつも僕を勇気づけた~
とてもとても険しい細い道だったけど
今、君を迎えにゆこう~
自分の大きな夢を追う事が~
今までの僕の仕事だったけど~
君を幸せにするそれこそが~
これからの僕の生きるしるし~」


勝也は
空気を変えようとしたのだろうが
残念ながら私の頭から
半分にちぎれたゴキブリの姿を消す事は
しばらくできなかった…

青い海…白い砂浜…
沖縄は素晴らしい島だ…
素晴らしい島である…
素晴らしい島だと思う…
素晴らしい所が多い…
素晴らしい気がする…
素晴らしいけど…
素晴らしくない所もある

20年以上前の沖縄大学時代の出来事である…

( ↑ チューリップ:1970年頃に結成したバンド
ビートルズに影響を受けたメロディアスでポップな作品が多い
代表曲:『心の旅』『銀の指環』『サボテンの花』)

