なんのこっちゃホイ!

なんのこっちゃホイ!

世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

何かお忘れ物でも?






 

齢90の母が、「お嫁さんに会いたい」というので、車椅子を積んでドライブすることにした。仕事はここのところ色々忙しく、空いている土曜日は、この日だけ。日曜なら空いているが、ロングドライブは翌日に響くので、えい!や!で午前4時発。まだ夜明け前の東名は空いていて、快適に走ることができた。

10:30に神戸市長田区へ到着。6時間半。トイレ休憩2回。

母は家内と会えたのを喜んでいるが、自分が会いたいと言ったことはすっかり忘れてしまっているようだ。

「昨日」でも「明日」でもなく、「今日」や「今」だけで生きているってのは、なんだか素敵な気がしてきた。

面会1時間。家内の実家へ。ランチは「お腹いっぱいだと眠くなるから」とお断りし、仏壇に手を合わせて、お茶を飲みながら1時間。義理の弟も、脳梗塞の後遺症に苦しみながらも、なんとかやっているようで、安心した。

13:30に西宮を出発。名神も目立った混雑はなく、東名→新東名とスムースに通行できた。

休憩2回、20:00に自宅到着。やっぱり6時間半。1,145kmの弾丸ドライブは、やっぱりくたびれたなぁ。

年かな〜

道中、Audibleで小説の朗読を聞きながら運転。音楽は飽きるが、朗読は物語が進むので、飽きることなく、睡魔もやってこない。万城目学さんの「ヒトコブラクダ層戦争(上)」を往復で聞き終わる。

 

新宿歌舞伎町。そこは雑多な国籍の人間と、言葉が飛び交う東京の歓楽街中の歓楽街。ありとあらゆる種類の店があり、楽しいことも悪いことも、なんでもありのごった煮の街。

そんな歌舞伎町に建つのが、古びた「まごころ病院」。救急病院だが外科医はいない。院長は外科医だが、常に酒を飲んでいて使い物にならない。院長の息子は美容皮膚科医、医師は整形外科医が他に1名いるだけ。

 

歌舞伎町のバーで、外人相手にテキーラを飲み合いしている女。飲み勝ったものの、急性アル中で「まごころ病院」に担ぎ込まれる。所持金わずか。こんな患者を処置しても、金を取れない。拒否しろ!とスタッフはいうが、来てしまったものは仕方ない。しかしこの女、医師だった。アメリカの医師免許を持ち、軍医として戦場を駆け回った。外科医としては良いがとにかく仕事が雑で粗い。その上、日本の医師免許がないと日本では医療行為はできない(はず)。戦場では、丁寧に処置なんかやってられないらしい。この医師、日本人とアメリカ人の混血らしいが、岡山弁が話せる。小池栄子が、英語(非常につたない)と岡山弁を操り、次々に起こる事件や患者に対処していく。

 

脚本は宮藤官九郎。とにかく「ぼっけえおもろい」から一度観てください。

配信はTver, FOD, Amazon Proime

 

「早い、安い、旨い」をトレードマークにのし上がってきた吉野家だが、競合も多く登場し、様々苦戦を強いられているやにきく。しかし、僕は牛丼といえば、断固吉野家派である。

そんな吉野家大好きの僕が困るのは、テークアウトのプラ丼の形だ。

そもそも牛丼に限らず丼物というのは、上品に一口ずつ箸ですくうようにして食うようなものではない。これは、「美味しんぼう」でも、海原雄山が言っていた。ガバっと左手で丼を持って、口に丼をくっつけて、箸で流し込むかのごとく、ガツガツ、ワシワシと掻き込むように食うのが旨い。ところがこのテークアウト丼はプラスチックだから柔らかい上に、四角くできている。つまり4つの角がある。この角が尖っているならまだいいが、不要に丸みをおびている。ここに口をつけて、ガツガツ、ワシワシと食おうとすると、どうしても口の左右の隙間からご飯がこぼれてしまうのだ。これが非常に不愉快だ!不愉快だ!不愉快だ!

丸にすると問題は解決するが、丸では輸送時に無駄ができるし、持ち帰りのビニール袋に収めるにしても安定がよろしくない。しかし、お新香は小さな丸い容器で、それだけを牛丼とは別のビニール袋に入れて渡される。とするとだ、牛丼自体の容器も丸で問題ないのではないか。

別の解決策は、四角の丼の角を、中途半端な妥協の弧ではなく、四角にするかわりに、容器のこの部分をもっと厚くして曲がらないようにすることで、やや改善するやもしれぬ。

しかしやはり、丼は丼だ。絶対に丸がよろしい。

東京のうなぎはやたらと高価であるが、うな重などといって、これも四角の重箱に入って提供される。これも嫌いだ。牛丼だろうが、うなぎだろうが、丼は丼である。丸い丼を持ち上げて、ガツガツ、ワシワシと掻き込むようにして食すのが、うまいと思うのだ。

昨今TVの報道でよくきくフレーズ、「物価の上昇に、賃金上昇が追いついていない」について、いつも違和感がある。賃金は秋の団体交渉で賃上げが決まり、翌年4月から適用するのが、大手企業の普通のことだ。つまり昇級は年に一回である。なのに物価は毎日、毎週、毎月、なんらかの値上げが生じている。これまで¥1,200で買えたスーパーの食材だが、同じものを買っても、今では¥1,800~2,000になっている。マスコミが報道する「〜会社が値上げを発表」だけではない、小刻みな値上げが進行しているのは間違いない。野菜の値段は異常気象で上がり下がりが激しい。肉は輸入肉の値段が上がって、国産とあまり変わらない。鳥インフルエンザの影響で値上げした鶏肉や卵の値上げは少しづつ回復してきたものの、インフル以前よりは高い。
政府は「賃上げ、賃上げ」と言い、まるで毎日賃上げがあるかのように話しているし、マスコミも賃上げ、賃上げと言うけれど、仕組み的に賃上げが物価上昇に追いつけるはずがないのだ。それとも、最近の会社は、毎月賃上げするような仕組みに変わったのか?

多かれ少なかれ、これまでの「日本の構造」事態は変化を迫られている。会社は社員を一生面倒みることなんかなくなったし、能力評価の方が年齢傾斜より重い。全然話は違うが、都知事選でみられた「想定外」の破壊的行為が混乱を招き、当選なんか考えてもいない候補者が林立した。「都政をぶっ壊し、NHKの呪縛から国民を解放するため」なんだそうだ。

このように、これまで常識であったことが、常識ではなくなり、法律にさえ違反していなければ、何でもやってもいいのだという、良識すらも破壊されている。政府は昭和の怪物達がのさばり、昭和の価値観を前面に出して政策を作り、自らを正当化する。これも良識を欠いている。

法は良識の崩壊に追いつかず、賃金は物価上昇に追いつかない。何か、国の大きな転機を迎えているのではないかと、不安になる毎日である。

 

TVを見ていて、「ハラスメント」という言葉を聞かない日はない今日この頃。一体世の中に、どれくらいの「ハラスメント」があるのか、調べてみたら、なんと!41ものハラスメントがある。「日本ハラスメント協会」なる組織まである。

結局、若い人が「気分わりぃ〜な」「うぜぇ〜」とか思うと、それはハラスメントになるらしい。いいんですかね?こんな世の中で。

つまり、人々が直接意見を戦わせなくなった、「わきまえる」という常識が通じなくなった、「恥」の文化が希薄になった等の理由があるのかなぁと一人思ってみた。ここにはないが、「マルハラ」というのもあった。LINEメッセージに語尾の「。」をつけると、k「怖い」からという理由らしい。文法ってものを知らんのか?それで、本を読む若者が減っているらしい。そらそうだ。「。」だらけだからな!それは冗談として、「スメハラ」なんて、昭和の時代は「お前、臭うぞ。改めろ」で終わったんだけどなぁ。

 

●のハラスメントは、僕の腹に落ちるものです。

 

●パワーハラスメント/パワハラ

優越的な関係に基づき、業務上必要な範囲を超えた言動により就業環境を害すること

●セクシュアルハラスメント/セクハラ

性的な嫌がらせをして相手の就業環境を害すること

●モラルハラスメント (モラハラ)

言葉や態度によって相手に精神的苦痛を与える行為

●ハラスメントハラスメント/ハラハラ

上司などに対して何かにつけて 『これはハラスメントだ』と主張する行為

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  1. 不機嫌ハラスメント/フキハラ

不機嫌な態度や表情、ため息を繰り返し相手に精神的苦痛を与える行為

 

  1. マッチングアプリハラスメント/マチハラ

他者の恋活(婚活)アプリの利用にかかわる情報を周囲に言いふらしたり、プロフィールを許可なく第三者に広めるなど、利用者または利用検討者に対し、苦痛や不快な思いをさせる行為

 

  1. クチンハラスメント/ワクハラ

新型コロナのワクチン接種を強要する行為

 

  1. 逆ワクチンハラスメント/逆ワクハラ

新型コロナのワクチン接種をしないように強要する行為

 

  1. 事後ハラスメント/ジゴハラ (日本ハラスメント協会 提唱)

ハラスメント調査終了後に加害者、被害者、関係者に向けられるパワハラやセクハラなど様々なハラスメント行為

 

  1. リモートハラスメント/リモハラ 

ZOOMやTeamsなどWeb会議システムを通したやりとりの中で起きるパワハラやセクハラなど様々なハラスメント行為

 

  1. コロナハラスメント/コロハラ 

新型コロナウイルスという社会問題を建前にして、人をばい菌扱いすることや、差別、暴言、排除、強要などをする行為

 

  1. ロジカルハラスメント/ロジハラ 

正論や論理的な言葉によって相手を追い詰める行為

 

  1. 新型パワーハラスメント/新型パワハラ

やる気のある人間に対して力を発揮できない状況に誘導する行為

 

  1. マタニティハラスメント/マタハラ 

妊娠をしている人や出産を終えた人への嫌がらせ

  1. パタニティハラスメント/パタハラ

育児休暇制度を利用しようとする男性への嫌がらせ

 

 12. セカンドハラスメント/セカハラ

ハラスメント被害者が事実を他人に訴えることで逆に圧力や非難など二次的被害を受けること

 

  1. 妊活ハラスメント/ニンハラ

女性に対して妊娠や妊活のことを聞くことで不快な思いをさせてしまう行為

 

  1. 2人目ハラスメント/フタハラ

出産を終えた女性に次の子供の予定を聞く行為

 

  1. パーソナルハラスメント/パーハラ

個人の外見や趣味など、その人の個性を否定するような発言をする行為

 

  1. アルコールハラスメント/アルハラ

社会的な地位の強い者が立場を利用して弱い立場の人にアルコールを飲むように強要する行為

 

  1. ジェンダーハラスメント/ジェンハラ 

    性別の差別をする行為

 

  1. レイシャルハラスメント/レイハラ 

    人種や国籍といったことで相手に対して嫌がらせをする行為

 

  1. 時短ハラスメント/ジタハラ                      

     仕事がまだ残っている従業員に対して経営者や管理職が仕事の切り上げを強要する行為

 

  1. エイジハラスメント/エイハラ 

    年齢を差別し嫌がらせをする行為

 

  1. リストラハラスメント/リスハラ

    リストラ対象者に対して嫌がらせをしたり不当な扱いをして自主退職に追い込む行為

 

  1. エンジョイハラスメント/エンハラ

    仕事は楽しいものだと思うことを強制する行為

 

  1. カスタマーハラスメント/カスハラ

    客の立場を利用して自己中心的で理不尽な要求をする行為

 

  1. エアーハラスメント/エアハラ

    社内などでエアコンの設定温度によって他人の体調を損なわせてしまう行為

 

  1. ラブハラスメント/ラブハラ

    恋愛や性関係などをしつこく聞くことで相手に不快な思いをさせる行為

 

  1. フォトハラスメント/フォトハラ

    相手の許可なく写真を撮ったり、写真を勝手にSNSにアップするなどの嫌がらせ行為

 

  1. お菓子ハラスメント/オカハラ

    職場にいる特定の人にだけお菓子を分けなかったり、旅行に行く人に対してお土産のお菓子を強要するなどの迷惑行為

 

  1. カラオケハラスメント/カラハラ

    接待や飲み会などのカラオケで歌いたくない人に無理やり歌うことを強要する行為

 

  1. グルメハラスメント/グルハラ

    食事の際に自分のこだわりの食べ方を相手に強要する行為

 

  1. コミュニケーションハラスメント/コミュハラ

    他人とコミュニケーションをとる事が苦手な人に必要以上にコミュニケーションを取ろうとする行為

 

  1. スメルハラスメント/スメハラ

    においで他人に不快な思いをさせてしまう行為

 

  1. スモークハラスメント/スモハラ

    喫煙者がタバコの煙などで非喫煙者に不快な思いをさせてしまう行為

 

  1. マリッジハラスメント/マリハラ

    単身者に対して交際や結婚することを必要以上に勧めたり強要する行為

 

  1. ソジハラスメント/ソジハラ

    同性愛者に対して差別発言をするといった行為るような発言をする行為

 

  1. テクノロジーハラスメント/テクハラ

    パソコンやスマートフォンなどのテクノロジーに詳しい人がそうでない人に対して嫌がらせをする行為

 

  1. 就活終われハラスメント/オワハラ

    企業が就職活動中の学生に対して、プレッシャーをかけたりして、自分の会社に決めることを誘導する行為

 

  1. 就活セクシャルハラスメント/就活セクハラ

    企業が就職活動中の学生に対して、優越的な立場を利用し性的な発言、性的な行動、性的な誘い等を行う行為

 

映画のできがとか、意味がとか、そんなことはどうでも良くなるような、草笛光子さんの演技が光っている。頑固な気の強い、大正、昭和、平成、令和を生き抜いてきた強い生命力のある主人公、作家の佐藤愛子を、力みもなく演じきるのがすごい。そのまんまの90歳とのことだ。益々すごい!の一言だ。

 

原作はエッセーであるから、物語が通しであるわけではなく、短いエピソードの繰り返しではある。タクシーの運転手(三谷幸喜)とのスマホとケイタイについてのやり取り、しつこい編集者を撃退しながらも、手土産だけはしっかり頂く老獪なやり口など、クスッと笑えるエピソードの連続だ。

 

「老後の資金がありません」もこの作品も、観客は、劇場のほとんどが僕より年上のお年寄り夫婦だ。「老人向けの映画だろう」と思うのかもしれないけど、若い人にも彼女の老獪さ?を是非みて学んで頂きたいものだと思う。

おでき

薬局にて

僕:あのぉ〜、恥ずかしながらお尋ねします。おできの薬はありますか?

薬:おできですか?どこにできたんですか?

僕:お尻です。

薬:お尻?お尻のどこですか?

僕:え?だからお尻の・・・なんていうか、アナの近くです。

薬:アナにできたんですか?それなら痔ですが。

僕:いえ、よく聞いてください。その近くなんですが、そこではないのです。

薬:下着が汚れたり、匂いがしたりしますか?

僕:それはないと思います。痛いんです。

薬:痛いんですね?痒いんじゃなくて。

僕:いえ、よく聞いてください。痛いんです。立ったり座ったりが。

薬:う〜ん。それはおできですね。

僕:だから、最初からそう言ってるじゃないですか。薬ください。

薬:分かりました。じゃ!これですね!

そして提案された薬がこれ。そのまんまのネーミング。これ、レジのお姉さんに出すのもつらい。それに「かゆみ」が先だが、「痛み」にも聞くんだろうか。

ストーカー被害に遭っていた女子大生が、ストーカーによって殺害される。犯人は、神社の宮司の息子。被害者は警察にストーカー被害を訴え続けていたが、警察はその被害届を受理しないまま、最悪の事態を招いた。悪いことに、その日、警察の担当者10数名は、慰安旅行に行っていた。「旅行を優先して、被害届を受理しなかったんじゃないか!」と世間は大バッシングを始める。

 

森口泉は、県警広報課に勤務する事務員だ。彼女の親友、津村千佳と自室で飲み会をしたときに、頂き物のお菓子を出した。「ねぇ、これどうしたの?」と千佳に問われて、「こないだの慰安旅行のお土産だって」と何気なく口にしてしまう。「ねぇ、それってすっごい問題じゃない!?」津村千佳は、地元新聞の記者だった。その翌日に新聞記事で警察慰安旅行のニュースが流れる。漏らしたのは泉、書いたのは千佳。千佳に迫る泉に、「絶対に書いてない。もし証明できたら、謝りなさいよ」と言い残して別れた親友は、その1週間後、死体となって川に浮かんだ。

 

親友を失ったのは、自分のせいだと後悔している泉は、事務員にも関わらず捜査を始める。彼女の上司は、元公安刑事。「警察は一つに見えるが、捜査と公安は全く違う。捜査は死人のために行う。公安は生きている人間を救うため」

 

公安と聞くと、これまでの多くの刑事ドラマの影響と刷り込みで、反社か宗教集団が頭に浮かぶ。今回もその線か。最初の犯人は神社の宮司だしなぁ。

 

無駄に思えるシーンもいくつかあるし、すっごく暗いBGMと役者の芝居。カメラのアングル。もう少し、テンポ良く行かないかなぁと思っていた後半戦、めまぐるしく事態が動き、様々な事実が明かされて、信じられないラストを迎える。

 

しかし、ネタバレかもしれないけど、僕は全部、森口泉の推測にしか過ぎないと思う。何も具体的な証拠は提示されない。これは、そうかも、いやこうかも、いやいやこうだったんでは?全部推測と憶測。そしてあのラスト。「私も殺されるのですか?」という泉の震える質問に、何も答えない黒幕と思われる人物。

はてさて、これはいい映画なのか、どうなんだろう。原作は警察小説の大家と言われる柚木裕子、監督は「帰ってきたあぶない刑事」の原廣利。主演は杉咲花、脇を固めるのは安田顕、萩原利久、豊浦功補。安田顕の芝居がいつもより軽いのに、眼が暗いので、空気が重くてそれもよし。

神戸を離れて、早くも4半世紀がすぎようとしている。「ご出身はどちらですか?」と聞かれるたびに「神戸です。山の向こう側なんですけどね」と照れたように言う。

 

故郷は遠くにありて思うもの

誰の言葉か知らないけれど、そんなもんだと思っていた。

 

小学校のクラス会の案内が届いた。どうやって現在の僕の居場所を特定できたのか分からないが、幹事のご苦労には頭がさがる。

のこのこ出かけてはみたものの、多くの同級生達は、その場所に根を張り、今もその場所で元気にそれぞれ頑張っている。そういう人達からみると、僕なんかは、もはやよそ者である。どうも、居場所がなくて困ってしまった。

 

故郷は、やはりそこに住む人達のものであって、遠くにあって思うようなものではない。

もう、僕には故郷なんて、ないんだとすねてみた。

お墓はやっぱりそこにあるし、僕も多分死んだら、そこへ入れられるのかな。近所に墓を構えるほどの財力もないし、子供達も無理だろう。死んでからのことだから、どこかに捨ててくれても、僕は一向に構わない。

昭和51年、僕はESS(英語倶楽部)に所属する大学一回生だった。その頃のコンパというのは今と違って、たいてい場所は学生相手の定食屋の二階の座敷で、決まって料理は鍋だった。カラオケもないし、何もないから、各人の余興を披露することが唯一のエンタメだった。同級生のY君は、ピンク・レディーの振り付けを完璧にマスターしていて、必ず披露させられた。
先輩の中に実名は伏せるがギャンさんという二歳年上の人がいた。この人は、際立ったエンターテナーで、かまきりのモノマネが得意だった。秀逸なものまねで、振り上げたカマの様子から、上半身を持ち上げて、相手を威嚇する様子、走る様子など、もはやカマキリだった。

 

死後の世界を信じない僕だが、もしも仮に輪廻転生というものがあるのならば、どうしても生まれ変わりたくないものがある。

オスカマキリだ。

繁殖期になると、メスカマキリはオスカマキリを生きたまま食べてしまう。なんという恐ろしさだろう。その時、オスカマキリの体内には一種の麻薬のような成分が分泌されて、痛みも恐怖も感じないのだそうだ。しかし、メスの大きな(メスの方がオスより体が大きい)三角の頭が迫ってきて、カマで頭を抑えられる、やおら噛みつかれるのだ。とてもではないが、耐えられそうにない。

 

セミも嫌だ。

10数年も地面の中で過ごし、ようやく硬い土を掘り起こして木にしがみつき、命がけの変態を行い、体の形を全く変えて、羽が乾いたら木から飛び立ち、おしっこを飛ばしながら、わずか2週間で命を終える。一体、なんのために生まれてきたのだろうか。どこかのマンションのエレベータの前あたりに、上向きで倒れ、子供につつかれ、そのまま死の時を待つ気分はどんなものかと想像するだに恐ろしい。自らの短い成虫としての数週間を思い出し、ただ眼の前を走馬灯のように横切るのは、網を振り回す子供たちの姿。何も悪いことはしていないのに、網で捕らえられ、カゴに入れられ、振り回されながらどこかへ連れて行かれる光景だけだ。

いやだ。