神戸を離れて、早くも4半世紀がすぎようとしている。「ご出身はどちらですか?」と聞かれるたびに「神戸です。山の向こう側なんですけどね」と照れたように言う。
故郷は遠くにありて思うもの
誰の言葉か知らないけれど、そんなもんだと思っていた。
小学校のクラス会の案内が届いた。どうやって現在の僕の居場所を特定できたのか分からないが、幹事のご苦労には頭がさがる。
のこのこ出かけてはみたものの、多くの同級生達は、その場所に根を張り、今もその場所で元気にそれぞれ頑張っている。そういう人達からみると、僕なんかは、もはやよそ者である。どうも、居場所がなくて困ってしまった。
故郷は、やはりそこに住む人達のものであって、遠くにあって思うようなものではない。
もう、僕には故郷なんて、ないんだとすねてみた。
お墓はやっぱりそこにあるし、僕も多分死んだら、そこへ入れられるのかな。近所に墓を構えるほどの財力もないし、子供達も無理だろう。死んでからのことだから、どこかに捨ててくれても、僕は一向に構わない。