輪廻転生 | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

昭和51年、僕はESS(英語倶楽部)に所属する大学一回生だった。その頃のコンパというのは今と違って、たいてい場所は学生相手の定食屋の二階の座敷で、決まって料理は鍋だった。カラオケもないし、何もないから、各人の余興を披露することが唯一のエンタメだった。同級生のY君は、ピンク・レディーの振り付けを完璧にマスターしていて、必ず披露させられた。
先輩の中に実名は伏せるがギャンさんという二歳年上の人がいた。この人は、際立ったエンターテナーで、かまきりのモノマネが得意だった。秀逸なものまねで、振り上げたカマの様子から、上半身を持ち上げて、相手を威嚇する様子、走る様子など、もはやカマキリだった。

 

死後の世界を信じない僕だが、もしも仮に輪廻転生というものがあるのならば、どうしても生まれ変わりたくないものがある。

オスカマキリだ。

繁殖期になると、メスカマキリはオスカマキリを生きたまま食べてしまう。なんという恐ろしさだろう。その時、オスカマキリの体内には一種の麻薬のような成分が分泌されて、痛みも恐怖も感じないのだそうだ。しかし、メスの大きな(メスの方がオスより体が大きい)三角の頭が迫ってきて、カマで頭を抑えられる、やおら噛みつかれるのだ。とてもではないが、耐えられそうにない。

 

セミも嫌だ。

10数年も地面の中で過ごし、ようやく硬い土を掘り起こして木にしがみつき、命がけの変態を行い、体の形を全く変えて、羽が乾いたら木から飛び立ち、おしっこを飛ばしながら、わずか2週間で命を終える。一体、なんのために生まれてきたのだろうか。どこかのマンションのエレベータの前あたりに、上向きで倒れ、子供につつかれ、そのまま死の時を待つ気分はどんなものかと想像するだに恐ろしい。自らの短い成虫としての数週間を思い出し、ただ眼の前を走馬灯のように横切るのは、網を振り回す子供たちの姿。何も悪いことはしていないのに、網で捕らえられ、カゴに入れられ、振り回されながらどこかへ連れて行かれる光景だけだ。

いやだ。