映画#21 朽ちないサクラ | なんのこっちゃホイ!

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世の中の、これでいいのか、こんなことでいいのかを描くブログ。そんなにしょっちゅう怒っていられないので、ほどほどに色々な話題も混ぜていきましょう。

ストーカー被害に遭っていた女子大生が、ストーカーによって殺害される。犯人は、神社の宮司の息子。被害者は警察にストーカー被害を訴え続けていたが、警察はその被害届を受理しないまま、最悪の事態を招いた。悪いことに、その日、警察の担当者10数名は、慰安旅行に行っていた。「旅行を優先して、被害届を受理しなかったんじゃないか!」と世間は大バッシングを始める。

 

森口泉は、県警広報課に勤務する事務員だ。彼女の親友、津村千佳と自室で飲み会をしたときに、頂き物のお菓子を出した。「ねぇ、これどうしたの?」と千佳に問われて、「こないだの慰安旅行のお土産だって」と何気なく口にしてしまう。「ねぇ、それってすっごい問題じゃない!?」津村千佳は、地元新聞の記者だった。その翌日に新聞記事で警察慰安旅行のニュースが流れる。漏らしたのは泉、書いたのは千佳。千佳に迫る泉に、「絶対に書いてない。もし証明できたら、謝りなさいよ」と言い残して別れた親友は、その1週間後、死体となって川に浮かんだ。

 

親友を失ったのは、自分のせいだと後悔している泉は、事務員にも関わらず捜査を始める。彼女の上司は、元公安刑事。「警察は一つに見えるが、捜査と公安は全く違う。捜査は死人のために行う。公安は生きている人間を救うため」

 

公安と聞くと、これまでの多くの刑事ドラマの影響と刷り込みで、反社か宗教集団が頭に浮かぶ。今回もその線か。最初の犯人は神社の宮司だしなぁ。

 

無駄に思えるシーンもいくつかあるし、すっごく暗いBGMと役者の芝居。カメラのアングル。もう少し、テンポ良く行かないかなぁと思っていた後半戦、めまぐるしく事態が動き、様々な事実が明かされて、信じられないラストを迎える。

 

しかし、ネタバレかもしれないけど、僕は全部、森口泉の推測にしか過ぎないと思う。何も具体的な証拠は提示されない。これは、そうかも、いやこうかも、いやいやこうだったんでは?全部推測と憶測。そしてあのラスト。「私も殺されるのですか?」という泉の震える質問に、何も答えない黒幕と思われる人物。

はてさて、これはいい映画なのか、どうなんだろう。原作は警察小説の大家と言われる柚木裕子、監督は「帰ってきたあぶない刑事」の原廣利。主演は杉咲花、脇を固めるのは安田顕、萩原利久、豊浦功補。安田顕の芝居がいつもより軽いのに、眼が暗いので、空気が重くてそれもよし。