映画のできがとか、意味がとか、そんなことはどうでも良くなるような、草笛光子さんの演技が光っている。頑固な気の強い、大正、昭和、平成、令和を生き抜いてきた強い生命力のある主人公、作家の佐藤愛子を、力みもなく演じきるのがすごい。そのまんまの90歳とのことだ。益々すごい!の一言だ。
原作はエッセーであるから、物語が通しであるわけではなく、短いエピソードの繰り返しではある。タクシーの運転手(三谷幸喜)とのスマホとケイタイについてのやり取り、しつこい編集者を撃退しながらも、手土産だけはしっかり頂く老獪なやり口など、クスッと笑えるエピソードの連続だ。
「老後の資金がありません」もこの作品も、観客は、劇場のほとんどが僕より年上のお年寄り夫婦だ。「老人向けの映画だろう」と思うのかもしれないけど、若い人にも彼女の老獪さ?を是非みて学んで頂きたいものだと思う。