【16】自己憎悪社会 |   「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

  「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない!

突きつめれば「命どぅ宝」!
【新】ツイッター・アカウント☞https://twitter.com/IvanFoucault
徳冨蘆花「謀叛論」を再発見してたら、
「ソクラテスの弁明」が、なぜ好きなのか、最近になって納得し始めた今日この頃です。

(「食料も水も電気もない人たちは?」「ガザ!」
「これからお祭りとなっていくのは誰?」 「ガザ!」
「テントで暮らすことになるのは?」 「ガザ!」
「空軍がビルをぶっ壊すのは?」 「ガザ!」
「我われはテロリストとの和平など望んでいない。
これは、イスラエルの土地。ガザとの平和を望んでいない」)
 


『パレスチナのちいさないとなみ』
【ゲスト:高橋美香】2023年11月14日(火)
大竹まこと 小島慶子 高橋美香
【大竹メインディッシュ】

【インタビュー】
私たちは「死傷者数」という「数」に
置き換えられる存在ではない
―アマルさんインタビュー

自爆テロの被害者 母親は今何を思う
/揺れるイスラエル それぞれの本音
【10月25日(水)#報道1930】

『愛国の告白―沈黙を破る・Part2―』予告編

(土井敏邦)
*【注意】衝撃的なシーンを含みます。

パレスチナ大使に聞くガザの惨状とパレスチナの未来

ジアム大使【5分50秒~】
「パレスチナ解放機構(PLO)は、
パレスチナの全ての政治勢力を含んでいますが、
《ハマスとイスラム聖教だけは外れています》。
というのも、
イスラエルとパレスチナとの平和協定であるオスロ合意を認めないからです。
しかし2006年の総選挙の時に、米国政府とイスラエルは、この選挙に、
《前提条件なしに》ハマスを参加させる事を求めてきました。
〈そんな事をして、ハマスが勝利してしまったらどうする?〉

と米国とイスラエルに言いましたが、
彼らは〈それで良い〉との回答でした。」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「武力で作れる平和はない」――イスラエル出身、ダニー・ネフセタイさんインタビュー

(2023.10.24 認定NPO法人Dialogue for People 安田 菜津紀)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
パルシック【ご寄付のお願い】パレスチナ・ガザ緊急支援
〇【署名】イスラエル・パレスチナでの「市民に対する無差別攻撃の即時中止/人道的支援の増強/恒久的停戦に向けた平和会議の設置」を日本政府として正式に提案を! 一般財団法人PEACE DAY

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


“     〈人間の規格化・均質化〉

 人間個人は一人ひとり顔が違うように、
性格も嗜好も思想も多様である。
その多様な個々人を
均質的な製品に仕上げる「改造行程」は、
それ自体、徹底した規則優先・管理主義を特徴
とする。
生活者としての人間個人のすべての側面
(頭の先から足の先まで、食べること、寝ること、排便、
セックスに至るまで)が
徹底的に規則化・規格化される。
内務班長の「一日ニ於ケル業務実施著眼事項」を
見ると、
朝の人員点呼からはじまって、消灯後まで
都合二六三項目のチェック・ポイントが列挙されている
…。
  (引用者中略)
これらは、ほんの一例であるが、
一個の人格をを持った人間個人を
ここまで徹底的に管理すること自体
人間個人に対する冒涜といえる。
しかし、のような人間管理の方法は、
各人の人間性や人格といったものを否定するには
実に効果的な方法
であった。
  (引用者中略)

【水島朝穂氏】
「内務班では、
規則でがんじがらめにされていたようですが。」

【久田栄正氏】
規則なんてもんじゃない。
細かいだけでなく、
無内容なこと実に詳細に規定化されている

人間は「考える葦」といわれるが、
軍隊の内務班教育というのは、
この考えるという人間の最も大切なことを奪ってしまう
何から何まで管理されると、人間は無気力になってくる
いわれたことをやるだけになる

これが、
命令に絶対服従の人間を作るのに効果的だったんですね。
私のような「反軍思想」を持つ人間も含めて、
根本的に思想改造してしまう
そんな装置の役割を果たしたといえる
でしょう。」

【水島朝穂氏】
「内務班の規則主義・管理主義を見ると、
今の小・中学校の現状とだぶってきますね。
特に、校則による管理には凄まじいものがあります。
子供を管理する対象としか見ない
個性あふれる生きた人間個人として見ていない

それらを作った教師たちの人権感覚を疑いますね。…」
(水島朝穂【著】
戦争とたたかう~憲法学者・久田栄正のルソン戦体験~
2013年、岩波現代文庫、45-49頁)
―――――――――――――――――

“【久田栄正氏】
「…私はルソン島の体験がなければ、
おそらく憲法学の道に進むことはなかったと思います。
私にとって国家とは、
私に対して命令権を持った具体的人間であり、
戦争とは、
このような権限を握っている人間たちと、
それに服従を強いられる具体的人間でつくられる
具体的な人間関係であると考えています。
戦争と軍隊はまず、
この人間の権利を剥奪するところから生まれる

私が憲法13条(個人の尊厳)に
平和的生存権の根拠を求める理由は、
この戦場での体験によるところが大きいですね。」

【水島朝穂氏】
「〈『全滅の思想』のなかでは、
指揮権が優先し、人権は無視される。
これが戦争というもの
だろう。
人権を云々しては戦争はできない〉
(楳本捨三『全滅の思想』8頁)。
軍の論理からすればこうなる。…」”
(水島朝穂【著】『戦争とたたかう』同、242頁)

―――――――――――――――――

“【久田栄正氏】
「戦場で生き残るのに「私的制裁」が効果があった
という評価には反対です。
私の体験からしても、
殴られることによって鍛えられるというのは
人間を馬鹿にした発想です。
そんなのは本当の強さではない。
軍隊ですから、どこの国でも訓練は厳しい。
しかし、殴ったり、いじめたりすることは
強い兵隊を作ることにはならない。
むしろ、
内容班で人間性を否定された兵隊が、
戦闘に無関係な民間人や武器を捨てた捕虜までも
殺していく
のです。
帝国陸軍の弱さの現われですね。」
(水島朝穂【著】『戦争とたたかう』同、71-72頁)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

冬のような寒さになってきた。

とすれば、
家屋もライフラインも破壊され、
水も食料もエネルギーも断たれ、
病院も医療者も支援職員も
イスラエルに虐殺され、破壊された。
パレスチナの人々のことを
想わずにはいられない。

――――――――――――――

いまデスク上に、
戦慄をおぼえる2,3冊の書物がある。

そのうちの1冊が
シルヴァン・シペル【著】
林 昌宏【訳】/高橋 和夫【解説】
イスラエルvsユダヤ人』(明石書房)。

この本1冊を手に取って中身を見てみても、
いまパレスチナで起きている出来事を
2023年10月7日を基準にして
眺める事などできなくなる。

イスラエル政府による
パレスチナ《占領》政策の内容はう
アパルトヘイト”や“抑圧”。

イスラエル政府は
パレスチナ人を追い出すために
土地や生活資源を
ゆっくりと確実な方法で没収する事で
パレスチナ人の生活や生存を
耐えがたいものにすること”を、
意図的かつ組織的で合理的に
長年おこなってきている
という。


近年のガザ地区では、
若者の自殺が急増しており、
自殺の原因は、〈貧困〉と絶望感だという。
自殺増えるガザの絶望、パレスチナ自治区
(2015年10月12 AFP)
ルポ「ガザは今・2019年夏」・6「急増する自殺」
(2019年10月6日 土井敏邦)

イスラエル国防軍のパレスチナ政策には
《パレスチナ人たちが
常に支配下に置かれている」という意識を
“植え付ける”意図
》がある
という。

イスラエル軍は、

新兵の訓練として、
恣意的かつ適当に

家宅捜索をする家を選び、
何の説明もなく
深夜に
兵士全員でガサ入れに入り、
誰も逮捕されることなく、
途中で捜査が中止され

イスラエル軍は立ち去っていく
(時には家が破壊され、人々を殴る)。

がさ入れされた理由を、
家宅捜索された人々には、
誰にも皆目わからない


これによって、
パレスチナの人々は
家宅捜索に入られた家も、
近隣住民も皆が
疑念と恐怖や不安に陥れられる》。

もうひとつ、
この深夜の恣意的な家宅捜索によって、
新兵の良心《徐々に破壊する》意図があるという。
初めは、良心の呵責を覚えるが、
よほどの強い精神力が無ければ、
「兵士」としての日常の職務に”慣れて”
人間としての尊厳失っていく
という。

こうして、
上に貼りつけた「報道1930」で紹介されている、
土井敏邦「愛国の告白—沈黙を破る・Part2」での
NGO団体「沈黙を破る」の
元イスラエル兵士の告白のように、
非人間的な任務を与えられても
倫理的な感覚がマヒして何とも思わない人間
が生み出されてしまう
、という。
【動画の26分~】に、
土井敏邦氏が、次のようなコメントをされている。

生存の基盤を奪い、尊厳を奪うような
構造的な暴力と呼ぶべき、この《占領》政策は、
パレスチナ人を苦しめるだけでなく、
イスラエルの若者の良心を殺いでダメにし、
イスラエル社会も崩壊させてしまう
、と。

じじつ「検問所300」というゲートでは、
ゲートの通過を待ち望んで
行列をつくるパレスチナ人を、
何時間も待たせ、
人々をあちこちに翻弄させて、
《パレスチナ人を精神的に追い詰める
恣意的で残酷なゲーム
》となっているという。
この〈検問所〉の光景ひとつをとっても、
イスラエル兵士は
パレスチナ人に対して
無関心》で《冷酷無比》になっているという。

すると、
パレスチナ人を追い出すための、
《意図的で首尾一貫した残酷な「占領」政策》
が、
イスラエル社会から「人間性」を喪失させ
人として」のイスラエル社会をも
崩壊させているようにも見える。

――――――――――――

『イスラエルvsユダヤ人』を通して、
イスラエルが、
GDPに占める武器輸出額の割合が
アメリカの4倍にも相当
し、
世界中の様々な暗黒政権に
武器供給をしてきた
こと
を指摘している。

独裁政権や暗黒政権にも
武器輸出をするという
イスラエルの伝統な”国益追及”の他方で、
サイバー監視システム技術》や
難民に対する《管理ノウハウ
を、
近年のイスラエルは、売り物にしているという。

1970年代に、ロシアから、
高度な教育を受けたユダヤ人の流入により、
アメリカの資金援助のもと、
イスラエルは、農業国からハイテク国に変貌した。

‟ハイテク国家”イスラエルは、
パレスチナ人への占領で培われた
監視システムのテクノロジーとノウハウ》を
海外に輸出してきている
——監視技術は、
アメリカ政府にも売られている——


イスラエル政府は、
ヨルダン川西岸地区とガザ地区への
《占領》状態のなかで、
ガザ地区は
監視システムの実験場」になっていたり、
イスラエル軍は、
ドローンやミサイルや、様々な爆弾など
「新兵器の実験室」
にしたりしている
、という。
また、
ヨルダン川西岸地域は
サイバー独裁者を生み出す実験室”となっているという。

イスラエルが《サイバー監視技術》で
他国に対して‟優位にある”のは、
《パレスチナ自治区の占領》を通じて、
制約なく実験ができるから”だ
、という。


このイスラエルの“優位性”は、
イスラエル‟国内の反体制派市民への抑圧政策”によっても支えられている。

狂信的な人種差別主義のインドのモディ政権、
ロヒンギャ弾圧を行なったミャンマー、
ウクライナのネオナチ組織「アゾフ連隊」、
ハンガリーの極右政権、
ブラジルのボルソナロ元政権など
独裁的・自民族中心主義・宗教色が強い”政権
イスラエルの政治スタイル》をお手本にしている
という。

安倍政権も接近した
イスラエルの政治スタイルというものは、
国際法を無視してでも、
自国民の圧倒的な支持を得るやり口
》であった。

パレスチナ占領に「国内で反対・抗議する者」、
イスラエルをユダヤ人だけの国にする、という理念を
否定する者」は、
“イスラエルを弱体化させる人物”として
そのサイバー監視システムの対象になるという。



イスラエルは、
国民を密かに管理し、人権を抑圧するために
最先端のサイバー技術を活用する先駆者
だ。
自分たちの存在を脅かす民族(パレスチナ人)
および
国内の反体制派を
サイバー監視する分野において
イスラエルが先頭を切るには理由がある。
世界中を見渡しても、
政府が国民の統治や権力維持のために最先端のテクノロジー
何の制約もなく利用できる国は、
イスラエルをおいて他にない
からだ。“
(シルヴァン・シペル【著】/林昌宏【訳】/高橋和夫【解説】
『イスラエルvsユダヤ人
——中東版「アパルトヘイト」とハイテク軍事産業』
2022年、明石書店、162頁)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「政府が国民の統治や権力維持のために
最先端のテクノロジーを
何の制約もなく利用」している国は、
じつは、まだある。


デスクの上にある、もう1、2冊が、
ジェフリー・ケイン【著】『AI監獄ウイグル』と
福田直之【著】『内側から見た「AI大国」中国』だ。


著者のジェフリー・ケインによれば、
2017年以降、
新疆ウイグル自治区の
高校などの多くの建物が
拷問や洗脳や強化のための拘留施設に
再利用されて、
最大級の強制収容施設となっているという。
人々は
このディストピア化を”状況”と呼び、
収容所送りを免れたとしても、
新疆ウイグルでの生活は“地獄”だという。

政府から派遣された監視員を隣にして
毎朝目覚め、
出勤前には
中華人民共和国国家の美徳を
家族に教え込む姿勢を見せて、
自分の「成長度」を監視員にチェックされる

また、中央政府から任命された
地域の自警団の役員が
自宅内に「不規則なこと」がないかを
チェックし

日課を終えた自警団の役員たちは、
その検査が終わったことを報告すべく
自宅のドアに取り付けられた
《機器にカードをスキャン》する


目覚ましをかけ忘れれば、
「その犯罪」のために、
地元の警察署に出頭して
取り調べを受けるはめになる。

ガソリンスタンドに立ち寄るにしても、
食料品店に行っても、
どこに行っても、
武装警備員が立つ入り口に設置された
IDカードにスキャンしなければならない


スキャンして「信用できる」という表示が出れば、
‟入店することが許される”
という。
逆に、スキャナーをかざして、
画面に「信用できない」と表示された場合、
その人物は入店することが”できない”。
スキャンして「信用できない」と表示された場合、
警察官がやってきて、
「信用できない」人物として尋問をうけ

一体化統合作戦プラットフォーム(IJOP)
と呼ばれるプログラムを使って、
スマートフォンで身元確認がされる。

《IJOP》のデータベースには、
何百万台もの監視カメラ、裁判記録、
市民内通者から政府が集めたマスデータが
集積されており、
その膨大なデータを、AIが情報処理する。
「予測的取り締まりプログラム」
に基づいて
その人物が将来に何かしらの犯罪を犯す、
“AIが判断し”、
〈その人物を強制収容所に送るべきだ〉と勧告し

警察官が同意した場合、
その人物は「再教育」のために連行される
その人物は「再教育」を終えて、
いつか戻ってくるかもしれないが、
二度と戻ってこないかもしれない、という。

しかも、
《「少数民族専用」のレジ》があり、
自分の《購入履歴が常に監視されている》。

仕事が終わって、車で家に帰るにしても、
幾つもの検問所を通過し、
自宅のある地区の入り口ゲートで
IDカードをスキャンする
》。
つまり、
新疆ウイグルも、
IDカードをスキャンせずに
出入りすることは許されない「ゲットー」
なのだ。

自宅では、わが子が、
学校で教わった「愛国心」など
中国の中央政府の美徳について話をし、
それに反対意見や否定をして
子どもがそれを学校などに話そうものならば、
連行される羽目にあう

また職場では、同僚たちが、
一挙手一投足を見張っている
という。


こうした日常は、
戦時下の
《軍機保護法によってもたらされた張り詰めた日常》や
《東ドイツのシュタージによる監視社会&密告社会》的な日常に、
《デジタル・テクノロジー》が、
監視社会化の精度向上の面で
貢献しているようにしか見えない。

かつての東西ドイツを震え上がらせた秘密警察「シュタージ」のアーカイヴ施設に潜入してみた
小社会 密告社会
特定秘密保護法案 沖縄への影響を考える2
コロナ禍、ベルリン市民が懸念する旧東ドイツ監視社会の記憶


中国の内政問題の背景として、
新疆ウイグル地区で、
民族問題が多発してきたようだ。

しかし、民族問題の他方で、
新疆ウイグルは、
「一体一路」構想の“出発点”であり、
(太平洋横断ルートに代わる
国際的な貿易ルートを、中国が確立すべく、)
新しい陸路とパイプライン網の‟出発点”にして
ヨーロッパ側からすれば“終着点”に位置した。
その事から、中国は、
新疆ウイグルを、
“平和な状態にする”必要
があるようだ。

民族問題の多発を受け、
中国政府は、
監視システムによる締め付けを強化した。

監視システムの強化の上で、
AIテクノロジー》は、
監視能力を、各段に高めている
ようだ。

AIテクノロジーによって、
中国は“徹底的な監視国家”となる。

しかも
14億人もの人口がいる中国の場合、
AIテクノロジー開発の点で、
膨大な人口は、強みをもたらしてくれる

人口が多ければ多いほど、
その多くの人間の動きが
データを生み出してくれる
からだ。
そのデータをAIが学習し、認識精度を高めていく

AIによって監視カメラの性能は
各段に高まる

現在では、顔の特徴だけでなく、
歩幅や歩くテンポ、腰の角度や足の角度から、
その特定人物の歩行動作の特徴を割り出し、
顔をサングラスやマスクで隠したとしても、
「骨格の動き」や「動作の特徴」だけで、
個人を特定化できてしまう
という。
すると、
カメラの解像度が低かろうと、
骨格データと計算能力が高ければ、
特定ができてしまう


中国で、監視カメラが急速に普及したのは、
2016年~2018年にかけてだ、という。
監視カメラネットワークの名前は
スカイネット(天網)」。

監視カメラ網と
AIの顔認識や音声認識能力などによって、
個人を識別でき、
いつ・どこで、何をしているか、を
簡単に把握できるようになった


しかし怖ろしいのは、
監視カメラとAIテクノロジーだけではない。

いまや「AIテクノロジー大国」中国は、
屋根のない家」と喩えられる。

中国では《キャッシュレス社会》が進み、
《デジタル人民元》が
スマートフォンの財布アプリで管理される

‟キャッシュレス”であるので、
一人ひとりの購入履歴が丸裸で、
現金(キャッシュ)のような「匿名性」は‟ない

数回前記事の生権力の「生政治」で言えば、
デジタル人民元》は、
‟個々人の購入履歴が丸見え”という点で
国内的/領土内では
個人監視を可能にする治安ツール〉である
と同時に他方で、
対外的/国際的には、
デジタル通過システムを途上国に輸出し、
デジタル人民元を国際化する
事で、
米ドル覇権に挑戦する〈国際基軸通貨化ツール
と言える。
《デジタル人民元》は、
対内的には監視ツール
対外的には基軸通貨ツールの足掛かり

また、中国には、
戸籍情報や家族関係、
成績や仕事ぶりなどの生涯の経歴や賞罰、
さらには思想信条まで細かく評価・記録される
档案【タンアン】
」という制度が元々ある、という。

さらに、《AI》によって昨今では、
人々はスマートフォンの決済アプリを通じて、
芝麻信用を利用する《キャッシュレス社会》が

中国では急速に進んだ
https://www.am-one.co.jp/warashibe/article/chiehako-20201113-1.html
https://www.hokeni.org/docs/2019100200010/

年齢、学歴や社会的地位、職業などの身分、
アリペイでの決済情報や取引履歴、
マイカーや住宅などの資産状況、
交友関係やSNSにおける人間関係、
消費の特徴などが、
スコアに反映され

そのスコア点数が
350点~950点までの範囲の点数で表示され、
中国社会における
芝麻信用の普及浸透化
により、
個々人は、
信用スコアの点数を稼ぐこと腐心し
また信用スコアが下がること恐れ、
点数を失わないように、
法律やルールやマナーを守るようになった
》という。

フーコーの『監獄の誕生―監視と処罰』でも
取り上げられているジェレミー・ベンサムが
《パノプティコン》で夢見ていたような光景
は、
スコアリング社会化》が生み出した
法律やルールやマナーの順守化
に、
現実化されている。

7-1】〈パノプティズム〉と「電子テクノロジーの発達」による《ポスト・パノプティズム》と


しかし、
信用スコアの点数に、自分の形振りや行動原理が支配される》ような日常や人生に、「人格的日常」や「精神的自由」はあるのだろうか?

信用スコア点数の上昇と下落によって
〈自由度の幅〉が変わるとしても、
それがどんなに高い点数であっても
データによる社会管理の枠内での行為》に変わりない。

ミシェル・フーコーの「権力」観っぽく見れば、
《スコアリング》は、見方によっては
人の行動や形振りを《左右する装置》をなし、
信用スコアという装置の枠内で
「自由」に行動できる》
にすぎず、
その意味では、
《スコアリング社会》や《キャッシュレス社会》は
逃げ道のない《規律権力》的な状況をもたらし得る。

7-3f】「電子テクノロジーの発達」による《ポスト・パノプティズム》又は《超パノプティズム


『AI監獄ウイグル』著者ジェフリー・ケインに、
ウイグルのガイド役マンスールが、
こう教えたという。



”「不確かな状況に置くことが、
人々をコントロールするために有効な方法です」
(中略)

カメラ、人工知能、顔・音声スキャナーを使えば、
「国全体をパノプティコンに変えることができます
(中略)

「あなたもすでに目撃したはずです。
いたるところにカメラがあり、
スマートフォンとコンピュータはハッキングされ、
市場や学校に入るときにはIDカードのスキャンが強制され

お互いに密告するような家族や友人お金が支払われる

それに、

信用度のための“社会ランキング”が全員に与えられています・・・
そして、ルールを不規則に適用するんです」
と彼は説明を続けた。
たとえば、
社会ランキングの低い人夕食をともにしたという
些細な違反をしただけで、
強制収容所送りになるケースもある
という。

そうなると社会すぐに崩壊する
とマンスールは続けた。
事実や真実から遮断され、つねに監視下に置かれると
多くの人は敵と味方を区別することできなくなり
政府に対抗するために必要な情報も得られなくなる
友人が友人を裏切り、
上司が部下を密告し、教師が生徒の秘密を暴露し、
子どもが親を攻撃する

すると誰もが政府に庇護を求めるようになる


 そのように利用されたテクノロジーは、
もはや人間の善の部分を解放するものではない

と私は気がついた。
それは、
人間のもっとも暗い衝動のための刑務所でしかない

そして中国では、
テクノロジーを支配する者が国を支配する
。”
(ジェフリー・ケイン【著】/濱野大道【訳】
『AIウイグル監獄』
2022年、新潮社、41-42頁)


ジェフリー・ケインは、
習近平による発言から、
習近平による
「AI大国化」と「監視社会化」政策
の背景に、
軍隊を機械化し、強力な近代国家をつくり、
帝国主義的な海洋帝国の大英帝国
との
アヘン戦争に敗れ、
中国の支配層はアヘンにおぼれ、
イギリスの支配下に置かれた、
屈辱の中国の過去の歴史
に、さぐる。


先進技術は、
近代国家にとって鋭利な武器となるものです。
現代において欧米諸国が世界を支配できた理由は、
彼らが先進技術手にしてきたからです。
真のコア技術をお金で買うことはできません。
まさに『国家でもっとも鋭利な武器を公開するべきではない』
ということわざのとおりです」
(ジェフリー・ケイン『AI監獄ウイグル』、120-121頁)


アメリカが
パナマ運河を建設し、
大西洋と太平洋とを素早く移動できる
巨大な地政学的権力を手に入れた
ように、
習近平の中国も、
ユーラシア全体を結ぶ陸路の
「一帯一路」の超大陸化を狙っている
、という。

先に見た、シルヴァン・シペル【著】
『イスラエルvsユダヤ人』の解説で
国際政治学者の高橋和夫氏が、
アメリカは、
東アジアで中国と対峙すべく、
軸足を、中東から東アジアに移し始めた、という。
オバマ政権のときに唱えられ、
トランプ政権でも引き継がれ、
そしてバイデン政権で実行されているところ
だ、
という。

いま、私たちは、
ガザへのジェノサイド》を冷たく静観する、
欧米先進国の指導者層の、
《アメリカなどの地政学的都合など》
をも
目撃している。

パレスチナに対する冷たさ》を通して、
アメリカの地政学的都合などの政治的都合》を
垣間見ているのではないか。

その《冷たさ》
ここ、東アジアを舞台にした〈米中覇権戦争〉に
当てはめた時、
《パレスチナで今起きていること》は
パレスチナだけに限ったことではなく、
‟この日本も他人事ではない”
ように見える。

防衛ジャーナリストの半田滋氏も、
『内側から見た「AI大国」中国』の著者で
朝日新聞記者の福田直之氏も、
中国の‟ハイテク大国化”に
脅威を感じているアメリカは、
〈中国が高性能半導体を
まだ現段階では‟製造できない”状態〉を、
“中国のアキレス腱”と見て、
《半導体を狙い撃ちをしている》こと
を指摘する。

半田滋「アメリカが、中国の台湾侵攻を「絶対に許さない」と言える根拠」

私(たち)にとって
不気味で不思議でしようがないのは、
——ウクライナと違って、
中国による台湾侵攻があった場合に、
米国は台湾を守るのか?
——
というインタビュワーの質問に、
「イエス」と答えた
バイデン大統領(のアメリカ
)が、
《パレスチナでの無差別攻撃と虐殺》に対しては
冷たい”ことだ。

経済安保》&《IPEF》&《経済的徴「用」制度化》など《米国の「捨て石」空母化する日本》!?
9a】《先制攻撃》論という新たなマントラ/標語 ~911後世界のセキュリティ幻想~



米国が台湾防衛にこだわる理由
【半田滋の眼68】20221025

20220404 UPLAN 纐纈厚
米本土防衛の盾にされる日本列島
~米中対立・台湾有事の背景を探る~


平和フェスタ2023纐纈厚氏講演

同盟は寝返りの歴史
【田岡俊次の徹底解説】20210629

2015/6/19 柳澤協二×泥憲和
「亡国の安保政策 安倍政権と『積極的平和主義』の罠」

台湾有事のリアル~台米日とも損失甚大
【田岡俊次の徹底解説】230117

集団的自衛権での敵基地攻撃
報復「日本、大規模被害も」2023.2.6

南西諸島のミサイル基地配備問題
羽場久美子さん
「台湾有事とアメリカのインド太平洋戦略」
~東アジアの平和のための、日本の役割~

「非戦」大国のはざまの安全保障
 出演:猿田佐世 / 半田滋 / eri / 塩田潤

ガザ攻撃
天然ガス大国イスラエルの強気 西側先進国の思惑
【半田滋の眼No.90】20231115 

品川正治さん講演会(2/4)

佐高信「この国の会社」
原子力の平和利用に惑わされなかった
「保険人」品川正治


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【12月25日追記】
以前に、
メガFTAとAIとプラットフォーム覇権との関連について、物事を探りつつ、
記事を書いていた時に、
元NSAの暗号解読の職員で
冤罪的に裁判にかけられた
ウィリアム・ビニー氏が、
あるインタビューで答えていたことを
紹介したことがある。

アメリカは
世界中の情報を吸い取る
シンスレッド》というシステムを構築はしたが、
集めたビッグデータが膨大すぎて、
‟処理する能力を持ってない”
点についてを、
ビニー氏は当時、答えている。

もし、その膨大なビッグデータを
処理できる手段”があるとすれば、
それは、AIなのではないだろうか?

2】監視社会化と人工知能《監視社会化=人工知能=プラットフォーム覇権=メガFTA=資本
6】「シンスレッド」をめぐる攻防~911以降の《対テロ戦争》で進むアメリカの《非立憲》社会化


〇〈スノーデンの警告「僕は日本のみなさんを本気で心配しています」なぜ私たちは米国の「監視」を許すのか
 【小笠原みどりの「データと監視と私」一覧
技術は差別と暴力にどう加担するのか IBMとホロコーストの歴史を知る
新型コロナにケータイが効く? ビッグデータという名の私の情報が使われる
マイナンバーというゾンビ 新型コロナで義務化を仕掛ける政府が隠す過去

オリバーストーン監督の日本への警告20170118NEWS2

米国の同盟国をやめた瞬間に、
CIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!?
スノーデン証言の真偽は⁉︎
ーー映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督に
岩上安身が直撃

20231020 UPLAN 小倉利丸
「サイバー戦争へ踏み込む日本

——安保三文書の意味とは」

【Talk It Out】「戦争と原発 新潟の視点から」
パーソナリティ:佐々木寛(国際政治学)


こんにちではもはや、
安易な楽観主義に立って、

最近の時代に出てきた問題を
簡単に無視することはできないということです。
私たちは、悲観主義になったのです。
私たちは、
もはや進歩そのものを信じていません

人類の発展が、自動的に達成されるなどとは信じていません。
機械的な進歩を盲目的に信じるのは、
もはや満ち足りた俗物がすることになりました

こんにちでは、
進歩への信仰は、反動的であるといえるかもしれません

こんにち、私たちは、
人間がどんなことをしでかすかを知っています

(中略)
・・・以前、活動主義は、楽観主義と結びついていましたが、
こんにち、
活動主義の前提になっているのは悲観主義です。

 というのも、こんにちでは、
行動を起こすどんな動機であれ、それは、
ひたすら信じてみを任せることができるような進歩というもの
ないことを知るところから生まれるからです。
こんにち、私たちが
手をこまねいていてはならないとするなら、
私たちのひとりひとりにかかっているからなのです。
その際、私たちが意識しているのは、
そもそも、ひとりひとりの内面の進歩しかない
ということです。
(中略)
この技術の進歩こそ進歩そのものであるかのような
強烈な印象
がありますが、
それは、ただ、
私たちがちょうど技術時代に生きているからにすぎない
のです。

 私たちは、
悲観主義にもとづいてしか、
行動を起こすことができません

懐疑的な態度をとってはじめて、
なお何かしようと手をのばすことができるのです。
(中略)
このバラ色の宿命論よりは、
冷静な活動主義の方がましです
。”
(V・E・フランクル【著】/山田邦男・松田美佳【訳】
『それでも人生にイエスと言う』
1993年、春秋社、8-10頁)