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(「国家事項が、より曖昧不透明になっていけば、必然的に、
個々人の事柄が、より見え透いた状態になっていく事になる・・・」
――ミラン・クンデラ)
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2015.11.19「…戦争法廃止!…国会正門前集会」
12/6日比谷集会実行委員会から西谷修さん(立教大学特任教授)【14/16】
「共謀罪が必要」自民幹部から相次ぎ法整備求める声(15/11/17)
国民主権がなくなる日~本当に怖い法律のお話
(ラジオフォーラム#164)
問題だらけのマイナンバー
~制度導入の本当の狙いとは?
(ラジオフォーラム#157)
国家安全保障局(NSA)在職中は、
暗号解読部門のトップとして、
大将に並ぶ地位にまで昇進した、元NSA職員の
ウィリアム・ビニーが、2007年7月26日に、
自宅への〈連邦捜査局(FBI)〉の急襲を受けるが、
ビニーは、
それまで一度も罪を問われたことは無い人物でした。
またビニーと同じく〈NSA〉の暗号解読部門で、
ビニーの同僚として
「シン・スレッド(thin thread:細い縫い糸)」開発に従事していたカーク・ウィーヴも、
ビニーが急襲された同日に、
同じく〈FBI〉による強制捜査を受けるのでした。
そして同年11月28日に、
ビニーとカークとが開発していた『シン・スレッド』を
支持していたNSA高官のトーマス・ドレークが、
〈FBI〉から自宅の強制捜査を受けるのでした。
さらにドレーク氏は、2010年に、
機密文書の「意図的な保有」を理由に、
諜報活動取締法違反で〈検察局〉により起訴されています。
弁護士費用を含めた裁判費用を賄うために、
年金を失い、自宅を抵当に入れ、
さらにはアップル小売店に働きはじめ、
果ては裁判所から貧困状態と宣言されて、
公選弁護士が配置されるまで、
裁判闘争で困窮する立場にさえ、追い込まれます。
〈FBI〉から急襲/強制捜査を受ける共通点は、
〈NSA〉で開発していた『シン・スレッド』でした。
しかし、『シン・スレッド』が悪用/濫用されたから、
〈FBI〉により、
彼らは強制捜査を受けることになったのか?
というと、それは“違って、むしろ逆”で、
彼らは《〈NSA〉による監視システムの濫用》に抗い、
監視プログラム開発に従事しつつも、
アメリカ市民のプライバシー侵害への
何かしらの『歯止め』を心掛けた者だったのでした。
しかも事実のところ、『シン・スレッド』は
活用されることは無かったのです。
たとえば、カーク・ウィーヴは、
〈国防総省の観察総監室〉に、
〈NSA〉の「ムダ遣い、詐欺、濫用」と思われる点を
報告していました。
またウィリアム・ビニーは、“全市民の情報を
無差別にかき集める”《ドラグネット》を、
〈国家安全保障局(NSA)〉が行なうことに、
或る時点から、声高に反対さえしたのです。
元々は数学研究者であったウィリアム・ビニーが、
1965年にNSAに入局することになった背景には、
当時、ますます高度化していく暗号を解くために、
暗号解読の基幹要員の一人として雇われたからでした。
ビニーは
「外国からの脅威」に対抗するために、
インターネット・トラフィック監視に
革新的アプローチを図るべく、
シグニット・オートメーション・リサーチ・センター
と呼ばれるNSAの一画を運営する責任者の
エド・ルーミスと協力して、その開発を行いました。
そのリサーチ・センターのルーミスは、
『シンスレッド』開発について、次のように回顧します。
“主に海外の、知られているテロリスト集団に
焦点を絞る、というのが、我々のアプローチだった”
“とはいえ、我々は、
海外のテロリストとアメリカ国内の誰かと間での、
あらゆる通信にも、興味を持っていた”
その事から、『シン・スレッド』の仕組みは、
“悪い奴”や“テロリストの可能性がある人物”と 連絡を取った人々に「自動的に印を付け」、
さらには「そうした人々と連絡を取った人をも
マーク」すべく、インターネットなど通信情報から
通信データ内容部分を取り除いて、
「メタデータ(ドコからドコに向けて送信されたのか)
――手紙がデータだとすれば、
その封筒がメタデータに相当する――を中心にして、
世界中に飛び交う
インターネット上の膨大なデジタル情報を、
かき分けつつデータを集める仕組みのシステム
だったのようです。
そかし、その『シン・スレッド』が、
何故わざわざ「メタデータ」を拾い上げる、
という間接的なやり方のシステムなのか?というと、
シンスレッドの傍受情報を見るのにも、
外国情報監視裁判所の承認が必要だったように、
アメリカ国内において
情報への監視的収集が許可されているのは、
〈FBI〉だけのようで、
〈NSA〉も監視を行なうは、
かかる監視には、正当な理由があることを
外国情報裁判所の判事に証明しなければならない、
という法律的なハードルがあった為のようです。
つまり、米国在住者に直接に影響を与えるような
NSAの活動に関しては、
外国情報監視裁判所の監督下にあったようです。
しかし、
そうした「立憲的制約」の下では、
「テロリストを捕らえるためのNSAの能力が
妨げられる恐れがある」という心配や不満が
あったがために、
そうした『シン・スレッド』の開発が行なわれたのでした。
二転三転して恐縮しますが、
しかし、アメリカ在住者のプライバシー権についての
良心や矩(のり)が、ビニー達にはあったが故に、
ビニーたちが開発した『シン・スレッド』は、
インターネット情報や通話情報のメタデータを
傍受はするのですが、
それら全ては「暗号化」されるようになっており、
特定の脅威が検出され、
そして外国情報監視裁判所が許可した場合に限って
暗号文だったものが、
秘匿処理が行なわれていない状態で、
そのデータを見ることができる、という仕組みに
なっていたようです。
たしかに、
ビニーが長年にわたって従事してきた任務は、
世界中を飛び交うインターネット情報など通信情報に
対する監視方法を洗練化させることでしたが、
しかし、仕組みとして「暗号化」を施した点から、
彼らには、
市民のプライバシー権の保護への良心や矩が
あったのでした。
そして、プライバシー権は確保する
インターネット監視ツールを構築しようとして
努力してきたビニーたち数人が、
〈プライバシー権を配慮しない勢力〉との内部対立に
1990年代終わり頃に敗れて以来は、
データ量が多過ぎると
そうした取り組みには支障をきたし兼ねない、と
むしろ懸念や反対を訴える姿勢に転換するのでした。
《2001年9月11日の同時多発テロ事件の後》、
《テロリストを捕らえる》為に、
ビニーたちが開発した『メタデータ分析技術』を使う
という新たな計画を聞くのだが、
その新計画には、
《違法な侵害》から〈米国市民〉を守るために、
ビニーたちが設計したプライバシー保護機能が、
その新計画には《削られている》のを知るのでした。
“同時多発テロの後、残念ながら彼らは
私の解決策を勝手に応用し、
この国とそこに住む全員を監視対象としてしまった”
ウィリアム・ビニーも、
『シンスレッド』開発の同僚カーク・ウィーヴも、
炭疽菌騒動などで混乱していた2001年10月31日に、
〈NSA〉を同日退職するのですが、ビニーは、
後の法廷で、
かつての勤務先であった〈NSA〉への不利な証言を
することになりますが、退職当時の心境を、
つぎのように発言します。
“国家安全保障局(NSA)が
目的を持って憲法を侵害しはじめたので、
職に留まることはできませんでした”
ウィリアム・ビニーと協力して
『シン・スレッド』開発に取り組んだ〈NSA〉内の、
シグニット・オートメーション・リサーチ・センター
責任者の エド・ルーミス氏は、
結局は、〈NSA〉長官のミカエル・ハイデンから、
『シン・スレッド』プロジェクトの閉鎖を命じられます。
『シン・スレッド』計画閉鎖の理由は、二つ。
ひとつは、『シン・スレッド』が、やはり、
米国市民のプライバシーを侵害する可能性がある
と〈NSAの法律家〉からの指摘や懸念があった点。
もう一つの理由は、
〈外部の請負業者〉が開発した《トレイルブレイザー》
という名の、
膨大な費用の掛かる監視プログラムに出資する
方針への支持に、長官自身が回ったからでした
――ところが、膨大な予算超過と技術的失敗により、
《トレブレイザー》計画も、最終的には放棄された――。
この『シン・スレッド』の関連で、2006年に、
〈アメリカの通信大手AT&T(――TiSAの推進企業)〉の技術者だったマーク・クライン氏が、
〈AT&T社〉が〈NSA〉と「協力」して、
ビニーとルーミスが構築してきた『シン・スレッド』
システムに「似た技術」で以って、
インターネットを《捜査している》ことを示す文書を
リークするのでした。
“『ニューヨーク・タイムズ』紙は2005年、
捜査令状なしの傍受プログラムについての記事を載せ、
機密情報収集法が大きく転換したと述べた。
数か月後、AT&T社の元技術者マーク・クラインが、
NSAはAT&Tサンフランシスコ支店の秘密の部屋に、
インターネット通信をすべて受信できる装置を仕掛けていた、
という情報を公表し、
その傍受プログラムの大きな広がりが明らかとなる。
「これは“オーウェル流警察国家(※訳注:ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』には未来の全体主義社会が描かれている)”のためのインフラであり、閉鎖すべきです!」。
クラインは公の場でそう述べている。
その後、2006年5月、『USAトゥデイ』紙は、
AT&T社、ベライゾン〔これも《TiSA》推進企業〕、ベルサウスの各社が
911テロ直後に、顧客の通話記録をNSAに提供していたとする記事を
掲載した。
記事に引用された匿名の当局者は、
「これは今までに世界で集められたなかで最大のデータベースだ」
と述べている。
危機感を持ったブッシュ大統領は、プログラムの一部を短期間中断する。
しかし2008年、彼は外国諜報活動偵察法の修正法案に署名し、
それによって傍受プログラムが復活し合法化されるとともに、
違法性があったプログラムにかつて参加した通信プロバイダーには
訴訟への免責が与えられた。
FISA(外国諜報活動偵察法)修正法案により、
政府が対象者の名前を知ることなく、
通信の傍受することを許可する新種の捜査令状が設けられ、
それは本質的に、それまで行なわれてきた広範な令状なしの傍受を
そのまま継続することだった。
(引用者中略)
スノーデンが暴露したPRISMプログラムには、
アルゴリズム許可証に従うインターネット会社についての記載がある。
ヤフーは秘密法廷の公聴会で、許可証の一つは憲法違反と明言し、
表面的には争う姿勢を示した。
しかし敗訴し、
裁判所侮辱罪を恐れて許可証に従うことを余儀なくされた。
しかし驚くべきことに、令状なしの傍受は
比較的控えめなNSAプログラムの一つにすぎないことが明らかとなる。
それは、
アメリカから外国への通信の傍受に限定されていたからである。
はるかに広範囲におよんでいたのは、
NSAがアメリカ国内で収集を始めていた
膨大な量の通話とインターネット通信の傍受だった。
それは「メタデータ」にすぎないので、
国内通話の記録やインターネット通信を収集することは
アメリカ人のプライバシー侵害には当たらない、とNSAは主張した。
スノーデンの暴露によると、秘密法廷はベライゾン社に対して、
毎日の通話記録をNSAに引き渡すよう命じていた。
その直後、
カリフォルニア州選出連邦上院議員のダイアン・ファインスタインは、
NSAが7年間にわたって、主な電話会社から国内および国際通話を
収集していたことを認めた。”
(ジュリア・アングウィン『ドラグネット』P.37-39)
上掲の引用文の光景では、
《合憲的な「実質的非立憲」》が、
〈ブッシュJr政権〉と〈米国議会〉と〈秘密法廷〉と
〈国家安全保障局(NSA)〉とによって、
行なわれてきているのを、私たちは眺めています。
今回記事の最後では、
『シンスレッド』を支持していたNSA高官だった
トーマス・ドレークに対して揮われた、
幾重にも折り重なった様々な種類の
《非立憲的な権力行使》を見て、
今回記事を終わりたいと思います。
“2007年11月28日、
FBIはもう一人のシンスレッド支持者、トーマス・ドレークの自宅を
強制捜査した。
彼はNSA高官だったが、匿名で監査総務官の査察に協力していた。
捜査員はドレークの書類、コンピュータトハードディスクを押収し、
地下室で機密書類を発見したと主張した。
2年後、ドレークは
機密書類を「故意に保持した」諜報活動取り締法違反の容疑で
起訴される。
ドレークは起訴されたことにより経済的な打撃を受けた。
NSAを退職して5年半が経過し、
年間6万ドルになっていたはずの年金を失い、
費用を賄うために自宅を2番抵当に入れて、
401k年金口座の多くを引き出した。
(引用者中略)
2011年、ドレークの窮状についての報道が繰り返され、
政府は
ドレークが「認められた範囲を超えて政府のコンピュータを使用した」
軽犯罪の罪を認めることを条件に、
ドレークに対する10件の重罪起訴を取り下げた。
連邦地裁判事のリチャード・D・ベネットは判決で、
政府の捜査から起訴に至るまでの2年半の遅れは、
「非良心的」と言明した。
「すべての国民は、
他人が政府の権限でドアをノックして自宅に入ってくるような状況に
さらされない。
それが権利章典の最も基本的な事項の一つである」と彼は記している。
そして、そうなった場合は、速やかに解決されなければならない」
ベネット判事は、
政府が内部告発者に嫌がらせをするために
権力を用いたと
あからさまな批判はしなかったが、
ドレークに可能な限り軽い判決を下した――1年間の保護観察で、
その間、1カ月20時間の社会奉仕活動が命じられ、罰金はなかった。
彼はドレークに「今後の人生の幸運をお祈りします」と言葉をかけ、
量刑審問を終えた。
ドレークの起訴に至るまで、ビニー、ドレーク、ウィーブは、
当局を内部から改革しようと努めていた。
しかしドレークの裁判が近づくにつれ、
彼らはNSAに対する完全な批判者となる。
メディアとのインタビューで痛烈な批判を行なうとともに、
全市民の情報を抱えて歯止めのきかない情報機関の権力に対して
警告を発した。
私が初めてビニーに会った折に彼が最初に口にしたのは、
NSAに集められる情報は、
世界で最も抑圧的な秘密警察体制であったゲシュタボやシュタージ、
KGBよりも、桁違いに大きいということだった。
「政府が
そのような大量の市民情報を集めるのは
本当に危険なことです。」と彼は言う。
「それだけの情報が集まれば、
あらゆる人を支配する力が
与えられる事になります。」”
(同書P.52-53)
【つづく】
今回記事内容は、
〇ジュリア・アングウィン
「大量のデータに溺れる米NSA―「知り過ぎて理解できず」(WST紙)
〇ジュリア・アングウィン/三浦和子(訳)『ドラグネット』(祥伝社)
に、大きく負っています。
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「3/9 パートなめんな!
最賃1,500円@銀座パレード」
【日時】 2016年3月9日 13:30
【場所】 日比谷公園集合、14:10出発(予定)
宇都宮健児さん、雨宮処凛さんも参加
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〈SEALDs・学者の会主催の街宣行動!〉
「Give Peace a Chance~未来を選びとる~未来を選びとる」
3月13日(日)14:00~16:00
新宿東口アルタ前広場
学生・学者・文化人・政党スピーチ/ライブetc.
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第5回 公正な税制を求める市民連絡会
「財政と障害者福祉」 (以下リンク先ぺージより、案内文を転載)
わが国は、
日本国憲法と批准された障害者権利条約において、
障害のある人を含めてすべての市民の命と権利が
大切にされることが保障されています。
ところが、厳しさを増す社会経済情勢とあいまって
ますます深刻になる貧困と格差、
社会福祉事業への営利企業の参入などの問題が
浮き彫りになっています。
財政と障害者福祉には、どんな問題点があり、障害者福祉に必要な財源は
どのくらい必要とされるのか、
この問題に長年取り組んできた
きょうされんの小野浩さんをお招きして学習します。
講師:小野 浩氏
(きょうされん 常任理事
・社会福祉法人ウィズ町田 理事長)
【日時】
2016年3月16日(水)18:30~21:00(開場18:00)
【会場】
主婦会館プラザエフ3階
JR四ッ谷駅 麴町口1分
【資料代】500円
【 主催】公正な税制を求める市民連絡会 事務局
【連絡先】弁護士 猪股正
さいたま市浦和区岸町7-12-1東和ビル4階
埼玉総合法律事務所
℡048-862-0355 fax048-866-0425
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「わたしたちの年金の行方
~年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用について」
【日時】
2016年3月17日(木)19:00~20:45(18:30開場)
【会場】
明治大学駿河台キャンパスリバティータワー15F
「全国NPOバンク連絡会」主催
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〈AEQUITAS東海〉
プレトークイベント
「賃金に正義を!~エキタスは今、何を求めるか?」
【日時】3月19日(土)18時~
【場所】名古屋国際センター第3研修室。
【発言者】原田仁希、栗原耕平、エキタス東海メンバー
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〈AEQUITAS〉
「3.20@新宿アルタ前街宣」
【日時】 3月20日15時~17時
【場所】 新宿東口・アルタ前
【ゲストスピーカー】本田由紀、大西連、小池晃、
福島みずほ、石橋みちひろ、水野和夫
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇桜と予言と詩人 神隠しされた街 若松丈太郎
アーサー・ビナード
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生業を返せ!地域を返せ!
福島原発訴訟さん
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安倍政権NO!☆実行委員会さん出色のチラシ!
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