盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領、逮捕か?
昨日、「韓国大統領列伝」という書籍を紹介した。
そして、
「この国では、後任権力者は前任者を徹底的に無視し、否定する」
「韓国の歴代大統領で、その退任後も国家によって名誉を保たれた者は皆無だ」
「ある者は任期途中で下野し、ある者は暗殺され、そしてある者は不正蓄財で逮捕された」
と述べた。
歴代大統領で、その任期後、不正蓄財で逮捕されたのは全斗煥(チョン・ドゥファン)と盧泰愚(ノ・テウ)の2人だが、今、3人目の逮捕者が出ようとしている。
それが前大統領の盧武鉉(ノ・ムヒョン)だ。
韓国の新聞「中央日報」は10日付で、「検察が来週にも前大統領を召喚する予定だ」と伝えた。
在任中の2005年から2006年にかけて、泰光産業から不正な資金を受け取ったことが明らかになったからだ。
本人もその事実を認め、自身のホームページで謝罪している。
認めてしまったのだから、どうしようもない。
とうとう金権腐敗の3人目の逮捕者が出てしまうだろう。
盧武鉉は弁護士出身の革新系政治家で、金大中の後継者として政権を引き継いだ。
クリーンなイメージで国民の期待を一身に背負って大統領職についたはずなのに、やっぱり不正蓄財に手を染めていた。
(本人は「返しきれない借金があって、不正資金を受け取ってしまった」と言っている)
韓国はどうして大統領を退任すると、誰もかれも逮捕されてしまうのだろう。
韓国の歴史は常に、「権力の非連続性」の歴史だったが、現代においてもなおその“伝統”は続いているのである。
韓国大統領列伝
- 今日も昨日に引き続き書籍を紹介したい。
- 韓国大統領列伝―権力者の栄華と転落 (中公新書)/池 東旭
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韓国の現代史は動乱の歴史だ。
植民地支配からの解放、南北分断、朝鮮戦争、相次ぐクーデター、軍事独裁政権と民主化闘争・・・
韓国社会は常に動乱のさなかにあった。
著者も述べているように、「この国では前王朝とそれを継ぐ王朝、前政権と後継政権に連続性がない」
そしてこの国では、後任権力者は前任者を徹底的に無視し、否定する。
韓国の歴代大統領で、その退任後も国家によって名誉を保たれた者は皆無だ。
ある者は任期途中で下野し、ある者は暗殺され、そしてある者は不正蓄財で逮捕された。
この本は、歴代大統領の生い立ちから権力掌握プロセス、そしてその挫折までを活写し、韓国現代史に重ね合わせた意欲作である。
著者の池東旭(チ・トンウク)は、日本で最も有名な韓国のジャーナリストであろう。
日本語が堪能で、日本語の著作も多数ある。
僕は彼の著作を5冊持っているが、深い経験に裏打ちされた著作はどれも面白く、ためになる。
著者は初代・李承晩から現在まで、同時代人として権力者の栄枯盛衰を目撃してきた。
韓国の権力構造、そして現代史の断層を平易に、かつ鋭く論述しており、韓国現代史を学ぶための最良の書といえるだろう。
朝鮮族のグローバルな移動と国際ネットワーク
日本における朝鮮族研究は決して盛んではないが、それでもさまざまな研究者が研究活動をおこなっている。
その大半は在日韓国・朝鮮人研究者で、日本人の研究者となると、ぐっと数が少なくなる。
2006年に、朝鮮族研究者たちが結集し、一冊の書籍を刊行した。
それがこの本
「朝鮮族のグローバルな移動と国際ネットワーク」

異邦人としての朝鮮族
韓国人から見て、朝鮮族は外国人である。
同じ朝鮮民族とは言え、国籍は中国だし、生活習慣も韓国とはだいぶ違う。
そして残念なことに、韓国において、朝鮮族は差別の対象でもある。
映画「ダンサーの純情」の中でも、ムン・グニョン演じる朝鮮族の少女が、韓国人エージェントから口汚く罵られるシーンが出てくる。
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1994年から12年間、韓国で3000回を超えるロングランを記録した「地下鉄1号線」というミュージカルがある。
主人公はやはり延辺からやってきた朝鮮族の少女。
ソウル駅に降り立った彼女は、期待とは裏腹に都会の冷淡さに戸惑う。
そんな彼女が出会うのは売春婦、浮浪者など、社会の最底辺の人々。
彼らとの出会いの中で、彼女は希望を失わず前を向いて生きようとするのである。
朝鮮族の少女にとって、ソウルは想像もできないほど近代的な大都会だ。
食い物にしようとする悪い人も大勢いる。
実際、不法入国という弱みを握られて、劣悪な労働条件で働かされたり、売春を強要されたりする事件も起きているという。
同じ民族でありながら、なぜこのような仕打ちができるのか・・・
心が痛む話である。
朝鮮族には優秀な人材が多い。
韓国でも現在は中国が国際ビジネスの最重要国になっている。
韓国語も中国語も母国語として話すことができる朝鮮族は、国際ビジネスにおいて貴重な人材なのである。
日本でも状況はいっしょだ。
日本で学ぶ朝鮮族なら、韓国語、中国語、日本語を自由に操る。
21世紀というグローバル時代において企業がその活動領域を広げようとするなら、日本においても朝鮮族はまたとない戦力となりうるであろう。
すばらしき 朝鮮族
3月31日のブログで、映画「ダンサーの純情」を紹介した。
主人公は朝鮮族の少女である。
そこで今日はあらためて、朝鮮族について述べてみたい。
中国・吉林省の北朝鮮国境地帯に「延辺(ヨンビョン)朝鮮族自治州」がある。州都は延吉(ヨンギル)だ。
朝鮮族とは韓国・朝鮮系の中国人のことで、中国に55ある少数民族のひとつである。
「朝鮮族」という名前から、北朝鮮の人だと誤解されることが多いが、一口に朝鮮族といっても、その出自はさまざまである。
延辺には、現在の北朝鮮出身者が多い。話されている方言も、北朝鮮の咸鏡道(ハムギョンド)方言である。
「ダンサーの純情」の中で、主演のムン・グニョンが話していたのも咸鏡道方言である。
ところが、同じ朝鮮族でも黒竜江省・ハルピンの朝鮮族は韓国の慶尚道(キョンサンド)方言を話す人が多い。
それぞれの地域で、先祖がどこの地域から移住してきたかによって、話される方言が違う。当たり前と言えば当たり前の話だ。
朝鮮族自治州では、中国語と並んで、韓国語が公用語となっている。朝鮮族は朝鮮族の学校へ行く人が多く、延辺大学という朝鮮族の大学まである。
一般に朝鮮族は中国の少数民族の中でも教育水準が高いことで知られている。
さらに韓国的儒教文化の中で育っているので、礼儀正しくまじめだ。
僕は朝鮮族の友人が4人いるが、みんなとても頭がよく、努力家でまじめだ。
そんな朝鮮族社会だが、時代の流れとともに、伝統は失われつつある。
漢族(いわゆる「中国人」)との交流が深まるにつれ、そして朝鮮族が3世、4世と世代を重ねるにつれ、民族の伝統を失い、漢族と同化する若者が増えているという。
失われつつある民族の伝統をいかに残すか。
朝鮮族社会も大きな転換点にあるのである。
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