澗松美術館 シン・ユンボクに出会える場所
ソウルの城北(ソンブク)に、澗松(カンソン)美術館という小さな美術館がある。
ここは日本植民地時代に韓国の美術品収集に努めた、チョン・ヒョンピル氏が設立した私立の美術館である。
私立ではあるが、その収蔵品は一級品ぞろいだ。
中でもすごいのは「訓民正音(フンミンジョンウム)」の原本だろう。
「訓民正音」とは、15世紀に世宗(セジョン)大王がハングルを作った際に発行された解説書で、ハングルの原典である。
もちろん韓国の国宝だ。
韓国語の歴史を知る上で、一度は見ておきたい資料である。
ところが、この美術館は毎年春と秋に、2週間ずつしか一般公開していない。
残念なことに、僕もまだ行ったことがないのだ。
もっと公開日を増やしてほしいという要望は、韓国国内でも多いようなのだが、美術館側の方針として、今のところ公開日を増やす予定はないようだ。
この美術館にはシン・ユンボクの「美人図」も所蔵されている。
昨年の秋の公開では、ドラマ「風の絵師」の大ヒットの影響で、1日に2万人もの客が押し寄せてしまった。
決して大きな美術館ではなく、周囲も閑静な住宅街なので、混雑は大変なものだったそうだ。
次の訪韓では時期を合わせて、ぜひ訪れたいと思う。
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李氏朝鮮時代の二人の天才画家、キム・ホンドとシン・ユンボク。
キム・ホンドはその数々の作品とともに、多数の資料が残されているが、シン・ユンボクに関する資料はほとんど残されていない。
本作では、シン・ユンボクが実は女性だった、という設定のもと、二人の天才の生涯をミステリーもからめて描いていく。
とにかく面白い。
僕は韓国でリアルタイムで見たが、毎回ワクワクするような展開で、見る者を飽きさせない。
さすが2008年のナンバーワンドラマだ。
特に、ムン・グニョンの演技が光っている。この作品でムン・グニョンは各賞を総ナメにした。
彼女の豊かな表情・演技力が十分に引き出されており、共演のパク・シニャンとのかけあいも絶妙だ。
このドラマの影響で、韓国ではちょっとした朝鮮画ブームが起きた。
なお韓国での原題は「風の画員」となっている。
ソウル路地裏紀行 キジャチョン編(3)
当時も今も、キジャチョンはバスの終着地だ。
当時は周りに畑が多く、のどかな田園地帯だったと記憶している。
キジャチョンは今、ソウルの写真愛好家の間で絶好の撮影スポットとして知られている。
一帯の再開発計画のため、古い家屋が廃墟となり、消えゆく町と新しく生まれる町の対比が画になるからだ。
YAHOO KOREA でキジャチョンを検索してみると、たくさんのブログがヒットする。
みんな撮影した自慢の写真をアップしているのだ。
↑打ち捨てられた廃墟と建設中のマンション
↑本当に廃墟である。
キジャチョンはまた、ソウルで最も人気のある登山スポット、北漢山の入り口でもある。
地下鉄の延新内駅では、リュックに登山靴のハイカーたちをたくさん見ることができる。
さらに北漢山に登ると、キジャチョン全体を一望に見下ろすことができる。
時が止まっているのか動いているのか。
18年ぶりに訪れたキジャチョンは、人影もない静けさの中にひっそりとたたずんでいた。
(完)
ソウル路地裏紀行 キジャチョン編(2)
僕は18年前の1991年、初めてキジャチョンを訪れた。
一人旅でソウルに行った僕は、時々旅先でそうするように、ふらりとアテもなく、たまたま一番目に来た市バスに飛び乗った。
どこへ行くかも分からずに、である。
市バスは路線図も車内アナウンスも韓国語オンリーで、一般旅行者が乗りこなすのは不可能だ。
それでも今はバスもだいぶ良くなった。停留所ではきちんと止まってくれるし、アナウンスもある。
18年前はひどかった。
当時はまともにバスが停留所で停車しない。
バスはドアを開けたまま、停留所で減速するだけなのだ。
だから乗りたかったら、バスを追いかけて走って飛び乗る。
車内アナウンスはなし。降りたければ目的の停留所かどうかを自分で判断し、決死のジャンプが必要だった。
初めてのソウル一人旅の冒険に、僕は「市バス出たとこ勝負」をしたのである。
そしてバスはどんどん街から離れていった。
どんどん山の中へ入っていった。
どこへ行くかはわからないが、とにかく終点まで行こうと思った。
そして着いた終点が、キジャチョンの山の中だったのである。
(つづく)
ソウル路地裏紀行 キジャチョン編(1)
キジャチョンという場所をご存じだろうか。
ソウル市の北西の端、高陽(コヤン)市との境界付近、北漢山(プッカンサン)の西のふもとに位置する地域である。
最寄駅は地下鉄3号線の「延新内(ヨンシンネ)」駅だが、駅からは遠い。
市バス720、7211または571で行くのが便利だ。
漢字では「記者村」と書く。
その昔、家を持てない新聞記者のために宅地が造成されたことからこの名がついた。
今、このソウルの市境の山の中が、再開発ラッシュに沸いている。
山を切り開き、マンションが続々と建設されているのである。
写真は昨年の10月に撮ったものだが、数年前までは何もなかった、ただの野原だったところに、広い道路が整備され、一大住宅地が出現しようとしている。
(つづく)





