ソウル路地裏紀行 キジャチョン編(2)
僕は18年前の1991年、初めてキジャチョンを訪れた。
一人旅でソウルに行った僕は、時々旅先でそうするように、ふらりとアテもなく、たまたま一番目に来た市バスに飛び乗った。
どこへ行くかも分からずに、である。
市バスは路線図も車内アナウンスも韓国語オンリーで、一般旅行者が乗りこなすのは不可能だ。
それでも今はバスもだいぶ良くなった。停留所ではきちんと止まってくれるし、アナウンスもある。
18年前はひどかった。
当時はまともにバスが停留所で停車しない。
バスはドアを開けたまま、停留所で減速するだけなのだ。
だから乗りたかったら、バスを追いかけて走って飛び乗る。
車内アナウンスはなし。降りたければ目的の停留所かどうかを自分で判断し、決死のジャンプが必要だった。
初めてのソウル一人旅の冒険に、僕は「市バス出たとこ勝負」をしたのである。
そしてバスはどんどん街から離れていった。
どんどん山の中へ入っていった。
どこへ行くかはわからないが、とにかく終点まで行こうと思った。
そして着いた終点が、キジャチョンの山の中だったのである。
(つづく)