「ロボット21世紀」 瀬名秀明 [文春新書] | カウネット呼ぼう

「ロボット21世紀」 瀬名秀明 [文春新書]

「パラサイト・イブ」でデビューを果たし、その後「BRAIN VALLEY 「八月の博物誌」などを発表した現役科学者の瀬名さんが書いた、現在のロボット技術についてまとめたノンフィクション。日本の未来のあり方まで見据えた本でした。かなり読み応えあり。
話題のヒューマノイドロボットだけではなく、工業用ロボットから玩具まで様々なロボットが取り上げられています。
二足歩行を実現するための技術の話だけに留まらず、どうやって制御を行うかというソフトウェアの話が重要であるという指摘は興味深いです。また「BRAIN VALLEY」に通じるテーマである人間の知性とは何かという問題もロボットに深い関わりがあること。日本人のロボット観はどうやって生まれてきたか? なんのためにヒューマノイド型ロボットが必要なのか? 将来、ロボット開発はどんな未来にむけて進んでいくべきかを第一線の多数の研究者にインタビューを行い、多角的な方向から問題を考えてゆくようになっています。
瀬名さんに問題意識があるから、これだけおもしろい本になったんでしょう。
「どんな未来になってほしいか」。今の日本ではそう言われてもイメージを明確に思い描ける人がどれだけいるのでしょうか。どんなに今頑張っても未来が今より幸せになるとは限らない。そういう閉塞感が漂ってるような気がして。個々に頑張ってる人はいるだろうけれども、それをきちんとベクトルを揃えて大きな流れにしなきゃ効率が悪いからなあ。