「華胥の幽夢 十二国記」 小野不由美 [講談社文庫]  | カウネット呼ぼう

「華胥の幽夢 十二国記」 小野不由美 [講談社文庫] 

十二国記 シリーズ初の短編集。5つのお話があります。雑誌発表済の「華胥」 「冬栄」 の他、伝説(?)の同人誌掲載作品のリメイク作品も。これで発表されてて単行本収録されてないのは、ドラマCDに入ってる墓参りの話だけですね。
「乗月」は月渓の話、「書簡」は陽子と楽俊のお話、「帰山」は利広とあの人の夢の共演。どれもしみじみとした味わいがあってよかったです。
あれだけ人工的な十二国記のシステムでも、人がそれを運営する以上軋みは避けられないんだなあとしみじみ。この前の「黄昏の岸 暁の空」といい、中枢にいる人ほどシステムに対する不信感を抱いてるものなのかもしれません。物語全体の方向性としては、王麒麟システムに頼らない国のあり方を模索し、現在の天帝支配のシステムを脱することまではいかないのかなあ。
このシリーズは古代中国風の世界観での、この世界と隣り合わせにある別の世界での物語。非常に魅力的なお話です。本好きな方なら当然チェックいれてるシリーズだ。