グリーン購入法(背景や目的など)【船井総研☆排出元向け環境&廃棄物コンサルタントコラム】東新一 | 船井総合研究所コラム:最新☆産業廃棄物処分・収集運搬/一般廃棄物(塵芥、し尿汲取り浄化槽)/特別管理、再生資源業の経営支援

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グリーン購入法(背景や目的など)【船井総研☆排出元向け環境&廃棄物コンサルタントコラム】東新一

グリーン購入法(背景や目的など)

 数回前のコラムから『資源有効利用促進法』の流れをくむ、個別物品の特性に応じた規制の背景や目的などをご紹介してきました。今回は『グリーン購入法』、正式名称は『国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律』です。この法令は容器包装リサイクル法(1995年制定)、家電リサイクル法(1998年制定)の後、建設リサイクル法(2000年5月31日制定)と同年同月日に制定されました。その後、食品リサイクル法(2001年制定)、自動車リサイクル法(2002年制定)、小型家電リサイクル法(2012年制定)が続き、数年前に制定されたプラスチック資源循環促進法(2021年制定)も個別物品の特性に応じた規制になります。なお、グリーン購入法は2001年以降、原則毎年見直しされています。

 

<グリーン購入法

 グリーン購入法とは、国など公的機関が率先して環境物品などの製品やサービスの調達の推進を示した法律です。

 なお、グリーン購入法の目的は、同法第一条に『この法律は、国、独立行政法人等及び地方公共団体による環境物品等の調達の推進、環境物品等に関する情報の提供その他の環境物品等への需要の転換を促進するために必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図り、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする』と示されています。

 また、第二条には『環境物品等』とは以下のいずれかに該当する物品または役務と示されています。詳細は後ほど22分野287品目をご紹介します。

再生資源その他の環境負荷低減に資する原材料又は部品

環境負荷低減に資する原材料又は部品を利用、利用時の温室効果ガス等の環境負荷が少ないこと、利用後の再使用又は再生利用がしやすく廃棄物の発生抑制につながり、また、その他の事由により環境負荷低減に資する製品

環境負荷低減に資する製品を用いて提供される等環境負荷低減に資する役務

 また、国や独立行政方針、地方公共団体、事業者及び国民の『責務』として、次のように示されています。

<国及び独立行政法人等の責務:義務>

 環境物品等への需要転換を促進するための適正予算に留意し、環境物品等を選択するよう努めなければならない。また、教育や広報活動等を通じて、国・地方公共団体・事業者及び国民が相互に連携して、環境物品等への需要転換を図る活動を促進するための必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

<地方公共団体の責務:努力義務>

 その区域の自然的社会的条件に応じて、環境物品等への需要の転換を図るための措置を講ずるよう努めるものとする

<事業者及び国民の責務:一般的責務>

 事業者及び国民は、物品を購入し、若しくは借り受け、または役務の提供を受ける場合には、できるだけ環境物品等を選択するよう努めるものとする

 

 続いて、基本方針では、環境負荷の低減に資する物品・役務の調達推進の基本的な考え方として3つを掲げています。

1.環境負荷の少ない物品等及び環境負荷低減に努めている事業者の選択

2.ライフサイクル全体を考慮した物品等の調達

3.最優先されることは発生抑制

なお、

1.の事業者選択では、価格や品質だけでなく、環境負荷の少ない物品等を考慮することや物品等の設計/製造/販売等を行う事業者の環境マネジメントや情報公開等の取組にも配慮することが重要。

2.ライフサイクルでは、資源採取から廃棄に至る全体の環境負荷低減を考慮することや大気汚染など地域特有の環境問題がある場合は、それに応じた環境負荷項目に重点を置き、物品等を調達することが必要。

そして、

3.発生抑制では、調達量自体の抑制(リデュース)に配慮することや調達環境物品等の長期的かつ適正な使用や分別廃棄に留意し、環境負荷が着実に低減されることが重要。

 

 続いて、グリーン購入法の制定の背景をご紹介します。

 グリーン購入法の制定の背景は、世界的な平均気温の上昇や海面水位の上昇等の地球温暖化や海洋汚染、資源枯渇、最終処分場の残余年等の環境問題が深く関わっています。20世紀の経済社会を特徴づける「大量生産、大量消費、大量廃棄」は、人々の生活を豊かにしましたが、世界各地で深刻な環境破壊や異常気象等をもたらしました。

 そのような中、次世代に豊かな地球・自然環境を残すため、環境負荷が少ない経済活動の実現、環境物品等の調達の推進に努めなければならないということで、グリーン購入法が2000年に制定されました。

 なお、グリーン購入法の制定前の1994年、当時まだグリーン購入という言葉が無かった時代に、国内初の組織的な取組みとして、滋賀県が「環境にやさしい物品の購入基本指針」を策定し、「環境対応製品推奨リスト」を作成するなど、グリーン購入を率先して実行していました。

 また、1995年、政府による「率先実行計画」では、具体的な数値目標(※図:率先実行計画の数量的目標)を掲げ、「財やサービスの購入・使用に当たっての環境保全への配慮」「建築物の建築や管理等に当たっての環境保全への配慮」「その他行政事務に当たっての環境保全への配慮」「環境保全に関する職員に対する研修等の実施」「計画の推進体制の整備と実施状況の点検」を示していました。

 ※率先実行計画の数量的目標(出典:環境省)

 そして、1996年、グリーン購入に率先して取り組む企業、行政、民間団体等から成る非営利組織(グリーン購入ネットワーク:GPN)が設立され、環境配慮型製品の市場創出、持続可能な社会経済づくりに寄与していました。そして、2000年にグリーン購入法が制定されたという流れです。

 

 続いて、対象品目についてご紹介します。

グリーン購入法の対象分野及び品目は、2001年では14分野101品目だったものが、2016年には21分野270品目、2017年には21分野274品目、そして、2023年12月閣議決定され、2024年には22分野287品目になります。22分野287品目は以下のとおりです。

<22分野>

・紙類・文具類・オフィス家具等・画像機器等・電子計算機等・オフィス機器等・移動電話等・家電製品・エアコンディショナー等・温水器等・照明・自動車等・消火器・制服/作業服等・インテリア/寝装寝具・作業手袋・その他繊維製品・設備・災害備蓄用品・公共工事・役務・ごみ袋等

<287品目>

・紙類:コピー用紙・フォーム用紙・インクジェットカラープリンター用塗工紙・塗工されていない印刷用紙・塗工されている印刷用紙・トイレットペーパー・ティッシュペーパー 

・文具類:シャープペンシル・シャープペンシル替芯・ボールペン・マーキングペン・鉛筆・スタンプ台・朱肉・印章セット ・印箱・公印・ゴム印・回転ゴム印・定規・トレー・消しゴム ・ステープラー(汎用型)・ステープラー(汎用型以外)・ステープラー針リムーバー・連射式クリップ(本体)・事務用修正具(テープ)・事務用修正具(液状)・クラフトテープ・布粘着テープ(プラスチック製クロステープを含む)・両面粘着紙テープ・製本テープ・ブックスタンド・ペンスタンド・クリップケース・はさみ・マグネット(玉)・マグネット(バー)・テープカッター ・パンチ(手動)・モルトケース(紙めくり用スポンジケース)・紙めくりクリーム・鉛筆削(手動) ・OAクリーナー(ウエットタイプ)・OAクリーナー(液タイプ)・ダストブロワー・レターケース・メディアケース・マウスパッド・OAフィルター(枠あり)・丸刃式紙裁断機・カッターナイフ・カッティングマット・デスクマット・OHPフィルム・絵筆・絵の具・墨汁・のり(液状)(補充用を含む) ・のり(澱粉のり)(補充用を含む)・のり(固形)(補充用を含む)・のり(テープ)・ファイル・バインダー・ファイリング用品・アルバム(台紙を含む)・つづりひも・カードケース・事務用封筒(紙製)・窓付き封筒(紙製)・けい紙・起案用紙・ノート・パンチラベル・タックラベル・インデックス・付箋紙・付箋フィルム・黒板拭き・ホワイトボード用イレーザー・額縁・テープ印字機等用カセット・テープ印字機等用テープ・ごみ箱・リサイクルボックス・缶・ボトルつぶし機(手動)・名札(机上用)・名札(衣服取付型・首下げ型)・鍵かけ(フックを含む)・チョーク・グラウンド用白線・梱包用バンド 

・オフィス家具等:いす・机・棚・収納用什器(棚以外)・ローパーティション・コートハンガー・傘立て・掲示板・黒板・ホワイトボード・個室ブース・ディスプレイスタンド

・画像機器等:コピー機・複合機・拡張性のあるデジタルコピー機・プリンタ・プリンタ複合機・ファクシミリ・スキャナ・プロジェクタ・トナーカートリッジ・インクカートリッジ

・電子計算機等:電子計算機・磁気ディスク装置・ディスプレイ・記録用メディア

・オフィス機器等:シュレッダー・デジタル印刷機・掛時計・電子式卓上計算機・一次電池又は小形充電式電池

・移動電話等:携帯電話・PHS・スマートフォン

・家電製品:電気冷蔵庫・電気冷凍庫・電気冷凍冷蔵庫・テレビジョン受信機・電気便座・電子レンジ 

・エアコンディショナー等:家庭用エアコンディショナー・業務用エアコンディショナー・ガスヒートポンプ式冷暖房機・ストーブ 

・温水器等:ヒートポンプ式電気給湯器・ガス温水機器・石油温水機器・ガス調理機器

・照明:LED照明器具・LEDを光源とした内照式表示灯・電球形LEDランプ 

・自動車等:乗用車・小型バス・小型貨物車・バス等・トラック等・トラクタ・乗用車用タイヤ・2サイクルエンジン油

・消火器:消火器

・制服/作業服等:制服・作業服・帽子・靴

・インテリア/寝装寝具:カーテン・布製ブラインド・金属製ブラインド・タイルカーペット・ニードルパンチカーペット・タフテッドカーペット・織じゅうたん・毛布・ふとん・ベッドフレーム・マットレス

・作業手袋:作業手袋

・その他繊維製品:集会用テント・ブルーシート・防球ネット ・旗・のぼり・幕・モップ

・設備:太陽光発電システム(公共・産業用)・太陽熱利用システム(公共・産業用)・燃料電池・エネルギー管理システム

・生ゴミ処理機・節水機器・給水栓・日射調整フィルム・低放射フィルム・テレワーク用ライセンス・Web会議システム 

・災害備蓄用品:災害備蓄用飲料水・アルファ化米・保存パン・乾パン・レトルト食品等・栄養調整食品・フリーズドライ食品・非常用携帯燃料・携帯発電機・非常用携帯電源 *毛布 *作業手袋 *テント *ブルーシート *一次電池 (*は他の分野と同品目)

・公共工事:【資材】建設汚泥から再生した処理土・土工用水砕スラグ・銅スラグを用いたケーソン中詰め材・フェロニッケルスラグを用いたケーソン中詰め材・地盤改良用製鋼スラグ・高炉スラグ骨材・フェロニッケルスラグ骨材・銅スラグ骨材・電気炉酸化スラグ骨材・再生加熱アスファルト混合物・鉄鋼スラグ混入アスファルト混合物・中温化アスファルト混合物・鉄鋼スラグ混入路盤材・再生骨材等・間伐材・高炉セメント・フライアッシュセメント・エコセメント・透水性コンクリート・鉄鋼スラグブロック・フライアッシュを用いた吹付けコンクリート・下塗用塗料(重防食)・低揮発性有機溶剤型の路面標示用水性塗料・高日射反射率塗料・高日射反射率防水・再生材料を用いた舗装用ブロック(焼成)・再生材料を用いた舗装用ブロック類(プレキャスト無筋コンクリート製品)・バークたい肥・下水汚泥を用いた汚泥発酵肥料(下水汚泥コンポスト)・LED道路照明・再生プラスチック製中央分離帯ブロック・セラミックタイル・断熱サッシ・ドア・製材・集成材・合板・単板積層材・直交集成板・フローリング・パーティクルボード・繊維板・木質系セメント板・木材・プラスチック再生複合材製品・ビニル系床材・断熱材・照明制御システム・変圧器・吸収冷温水機・氷蓄熱式空調機器・ガスエンジンヒートポンプ式空気調和機・送風機・ポンプ・排水・通気用再生硬質ポリ塩化ビニル管・自動水栓・自動洗浄装置及びその組み込み小便器・大便器・再生材料を使用した型枠・合板型枠

【建設機械】・排出ガス対策型建設機械・低騒音型建設機械

【工法】・低品質土有効利用工法・建設汚泥再生処理工法・コンクリート塊再生処理工法・路上表層再生工法・路上再生路盤工法・伐採材又は建設発生土を活用した法面緑化工法・泥土低減型ソイルセメント柱列壁工法

【目的物】・排水性舗装・透水性舗装・屋上緑化 

・役務:省エネルギー診断・印刷・食堂・自動車専用タイヤ更生・自動車整備・庁舎管理・植栽管理・加煙試験・清掃・タイルカーペット洗浄・機密文書処理・害虫防除・輸配送・旅客輸送(自動車)・庁舎等において営業を行う小売業務・クリーニング・飲料自動販売機設置・引越輸送・会議運営・印刷機能等提供業務

・ごみ袋等:プラスチック製ごみ袋

 

以上、グリーン購入法の目的や背景などをご紹介してきました。最後に、グリーン購入にあたって、今消費者が買物する際に重要視しているポイントをご紹介します!それは、製品やサービスを購入する際
 ・環境を考慮して、
 ・必要性をよく考え、
 ・環境への負荷ができるだけ少ない製品やサービスを選び、
 ・環境負荷低減に努める事業者から優先して購入すること
です。これからの時代、企業の更なる発展や永続企業の条件は、グリーン購入法への対応よしあしかも知れませんね。

 

<今までのコラムの一例とお問合せ先>

☆容器包装リサイクル法(背景や目的など)

 

☆家電リサイクル法(背景や目的など)

 

☆建設リサイクル法(背景や目的など)

 

☆食品リサイクル法(背景や目的など、そして、食品ロス)

 

☆自動車リサイクル法(背景や目的など)

 

☆小型家電リサイクル法(背景や目的など)

 

☆プラスチック資源循環促進法(背景や目的など)

 

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