#12ー3☆
『須田!勝手な真似は、今すぐ、お止めなさい!』
突如
六階の部屋の隅にあるスピーカーから、マサナの怒気を含んだ声が、響いた。
アカリは、それを耳にし、
「はーい。マサナさんの言うことは、ぜったーい!」
と、素のアカリに戻り、発勁の構えを解いた。
あっさりとー。
前田に背を向け、部屋を出ようとする。
が、いたずらっぽく振り返り
「それじゃ、最後に、もうひとつだけ」
アカリは
右手で前髪を、かきあげた。また、雰囲気が一変していた。
「『前田!マジの意味を、教えてやるよ!』」
(優子さん…?)
「じゃ、まったねー。ばいばいぴょーん」
アカリは、飛び跳ねながら
部屋を出ていった。
謎だけを残してー
「戻ってきた途端、どうしたんだ?」
マサナは、司令室に戻り、
アカリが闘ってる姿を、モニターで視認した途端、六階につながるマイクを握っていた。
「物事には、順序というものがあります。まだ、須田の出番ではなかった、ただ、それだけのことです」
アカネが、納得のいく返答ではなかった。
「前田には、七階で、地獄を見てもらいましょう。二度と、我々に敵対しようなどと思わないように…」
「カナ、大丈夫?」
脳震とうを起こしたカナを
傍で、気遣う前田。
「お姉さま…。アカリは…?」
「なんか、マサナとかいうひとが、スピーカーで闘いを止めたんだ。そしたら、出てったよ」
「そうですか…総参謀、大矢マサナ。組織の実質ナンバー2の…とても、恐ろしいひと…このゲームをはじめに考えたのも、動かしているのも、全部、総参謀なんです」
「大矢…マサナ」
「はい…。そして、総参謀が、いま一番興味を示してるのが、さっきの須田アカリ。親衛隊十人衆史上でも、最強クラスだと言われてます。本当は、九階にいるはずだったのに…。アカリの恐ろしいところは、一度、闘った相手になりきることができることです。技だけじゃなく、口調や闘い方まで…」
「そうだったのか…」
それで、前田は、理解することができた。信じられない部分はあるがー。
急に、カナのつぶらな瞳に、堪えていたものが溢れだした。
絶対泣かない、頑張るって決めたのにー
「ごめんなさい…何も…何もできなくて…マジに生きるって決めたのに…」
「カナ、お前は…マジだ。もう、その一歩を、踏み出してる。それは…自分の手で、勝ち取ったものなんだ」
「お姉さま…」
前田は、やさしく微笑んだ。
そして、感謝の言葉を残し、六階の部屋を後にした。
「神様、お姉さまを…護って…」
自らの行動により
裏切り者の汚名を着せられ、命の危機にさらされながら
それを省みず、前田の無事だけを祈るカナであった。
突如
六階の部屋の隅にあるスピーカーから、マサナの怒気を含んだ声が、響いた。
アカリは、それを耳にし、
「はーい。マサナさんの言うことは、ぜったーい!」
と、素のアカリに戻り、発勁の構えを解いた。
あっさりとー。
前田に背を向け、部屋を出ようとする。
が、いたずらっぽく振り返り
「それじゃ、最後に、もうひとつだけ」
アカリは
右手で前髪を、かきあげた。また、雰囲気が一変していた。
「『前田!マジの意味を、教えてやるよ!』」
(優子さん…?)
「じゃ、まったねー。ばいばいぴょーん」
アカリは、飛び跳ねながら
部屋を出ていった。
謎だけを残してー
「戻ってきた途端、どうしたんだ?」
マサナは、司令室に戻り、
アカリが闘ってる姿を、モニターで視認した途端、六階につながるマイクを握っていた。
「物事には、順序というものがあります。まだ、須田の出番ではなかった、ただ、それだけのことです」
アカネが、納得のいく返答ではなかった。
「前田には、七階で、地獄を見てもらいましょう。二度と、我々に敵対しようなどと思わないように…」
「カナ、大丈夫?」
脳震とうを起こしたカナを
傍で、気遣う前田。
「お姉さま…。アカリは…?」
「なんか、マサナとかいうひとが、スピーカーで闘いを止めたんだ。そしたら、出てったよ」
「そうですか…総参謀、大矢マサナ。組織の実質ナンバー2の…とても、恐ろしいひと…このゲームをはじめに考えたのも、動かしているのも、全部、総参謀なんです」
「大矢…マサナ」
「はい…。そして、総参謀が、いま一番興味を示してるのが、さっきの須田アカリ。親衛隊十人衆史上でも、最強クラスだと言われてます。本当は、九階にいるはずだったのに…。アカリの恐ろしいところは、一度、闘った相手になりきることができることです。技だけじゃなく、口調や闘い方まで…」
「そうだったのか…」
それで、前田は、理解することができた。信じられない部分はあるがー。
急に、カナのつぶらな瞳に、堪えていたものが溢れだした。
絶対泣かない、頑張るって決めたのにー
「ごめんなさい…何も…何もできなくて…マジに生きるって決めたのに…」
「カナ、お前は…マジだ。もう、その一歩を、踏み出してる。それは…自分の手で、勝ち取ったものなんだ」
「お姉さま…」
前田は、やさしく微笑んだ。
そして、感謝の言葉を残し、六階の部屋を後にした。
「神様、お姉さまを…護って…」
自らの行動により
裏切り者の汚名を着せられ、命の危機にさらされながら
それを省みず、前田の無事だけを祈るカナであった。
#12ー2☆
六階ー
ボクシングジムのように、リングがあり、サンドバッグ、ウォーターバッグ、トレーニング機器等が充実しているフロア。
その中に、前田敦子、平松カナ、須田アカリの三人。
「カナカナは、なんで、ここにいるのカナ?」
逆に、カナに問いかけるアカリ。
「こ…このゲームを止めに来たんだ。人質をとったり、ひとりに対して、親衛隊が何人も…。こんな卑怯なこと、もう、やめようよ!」
カナが震えながら、懇願する。
「カナカナは、裏切り者なのカナ?そうなると、マサナさんは、容赦ないよー。わたしは、マサナさんに従うだけ。マサナさんの言うことは、ぜったーい!」
ははは、と可笑しそうにアカリは笑った。
前田は、カナを庇うように前に立つ。
「もう、いいよ。カナ。言っても無駄みたいだ。それに、こいつは、仲間を傷つけた」
マジすか女学園の教室でー。
そう言って
前田が、先手をとった。
途端ー
「消えた?」
アカリの姿が、見えなくなった。
一瞬後
前田の背中から、肩を、ポンと叩くアカリ。
ラッパッパ元四天王のブラックよりも、動きは迅く感じられた。チームホルモンの証言は正しかった。
前田が、振り返ると、そこに、アカリの指があった。前田の頬にふれる。軽いいたずら。
「ひっかかったー!」
アカリの無邪気な闘いぶりに、困惑する前田。
「お姉さま!気をつけて!アカリの本当の恐ろしさは…」
最後まで、言い終えることなく、カナは、アカリの背後からの頭部への手刀攻撃で、意識を失った。
「カナ!」
「おしゃべりさん。先にネタを言っちゃうと楽しくないでしょ」
と言うと、急に
アカリの目つき、顔つきが、がらりと変わった。ボクシングのファイティングポーズのような構え。上下にトントンと跳び、リズムをとる。
ひゅっと、空気を裂く音。
アカリの左ハイキックが、前田を捉えた。
「ぐはっ!」
強烈な衝撃に、吹き飛ぶ前田。
「『シュートボクシングは最強だ!』」
口調も何もかも
まるで、ひとが変わったかのようだった。
「っていうのが、この六階の親衛隊十人衆の小木曽ちゃんでーっす」
アカリの口調や、態度が、不意に、元に戻った。
前田には、何が何だか、わからない。
「じゃ、次、行きまーっす。これは、わかるかなー?」
アカリのとった構えは、中国武術の少林拳ー。
また、顔つきが変わった。武人のように真剣な眼差し。
「『須田アカリ、参る!』」
いきなりの跳躍からの、飛び蹴り。
前田が、両手でブロックする。
(まさか…)
経験したことのある攻撃。
次から次と、突きや蹴り、ヒジ、ヒザを交えた連続攻撃。
(この攻撃は、三階の…?)
前田は、受けるのが精一杯で、壁際に追い込まれた。
すると、アカリは、軽い身のこなしで、後方に跳び、距離をとって、構えた。
(あの構えは…)
左手を前に伸ばし、半身(はんみ)になり、右の掌をソフトボールを握るくらい広げ、腰にあてる。
「『別了(ビェラ)!前田!』」
アカリの右掌の前の空気が、揺らめいて見えた。
ボクシングジムのように、リングがあり、サンドバッグ、ウォーターバッグ、トレーニング機器等が充実しているフロア。
その中に、前田敦子、平松カナ、須田アカリの三人。
「カナカナは、なんで、ここにいるのカナ?」
逆に、カナに問いかけるアカリ。
「こ…このゲームを止めに来たんだ。人質をとったり、ひとりに対して、親衛隊が何人も…。こんな卑怯なこと、もう、やめようよ!」
カナが震えながら、懇願する。
「カナカナは、裏切り者なのカナ?そうなると、マサナさんは、容赦ないよー。わたしは、マサナさんに従うだけ。マサナさんの言うことは、ぜったーい!」
ははは、と可笑しそうにアカリは笑った。
前田は、カナを庇うように前に立つ。
「もう、いいよ。カナ。言っても無駄みたいだ。それに、こいつは、仲間を傷つけた」
マジすか女学園の教室でー。
そう言って
前田が、先手をとった。
途端ー
「消えた?」
アカリの姿が、見えなくなった。
一瞬後
前田の背中から、肩を、ポンと叩くアカリ。
ラッパッパ元四天王のブラックよりも、動きは迅く感じられた。チームホルモンの証言は正しかった。
前田が、振り返ると、そこに、アカリの指があった。前田の頬にふれる。軽いいたずら。
「ひっかかったー!」
アカリの無邪気な闘いぶりに、困惑する前田。
「お姉さま!気をつけて!アカリの本当の恐ろしさは…」
最後まで、言い終えることなく、カナは、アカリの背後からの頭部への手刀攻撃で、意識を失った。
「カナ!」
「おしゃべりさん。先にネタを言っちゃうと楽しくないでしょ」
と言うと、急に
アカリの目つき、顔つきが、がらりと変わった。ボクシングのファイティングポーズのような構え。上下にトントンと跳び、リズムをとる。
ひゅっと、空気を裂く音。
アカリの左ハイキックが、前田を捉えた。
「ぐはっ!」
強烈な衝撃に、吹き飛ぶ前田。
「『シュートボクシングは最強だ!』」
口調も何もかも
まるで、ひとが変わったかのようだった。
「っていうのが、この六階の親衛隊十人衆の小木曽ちゃんでーっす」
アカリの口調や、態度が、不意に、元に戻った。
前田には、何が何だか、わからない。
「じゃ、次、行きまーっす。これは、わかるかなー?」
アカリのとった構えは、中国武術の少林拳ー。
また、顔つきが変わった。武人のように真剣な眼差し。
「『須田アカリ、参る!』」
いきなりの跳躍からの、飛び蹴り。
前田が、両手でブロックする。
(まさか…)
経験したことのある攻撃。
次から次と、突きや蹴り、ヒジ、ヒザを交えた連続攻撃。
(この攻撃は、三階の…?)
前田は、受けるのが精一杯で、壁際に追い込まれた。
すると、アカリは、軽い身のこなしで、後方に跳び、距離をとって、構えた。
(あの構えは…)
左手を前に伸ばし、半身(はんみ)になり、右の掌をソフトボールを握るくらい広げ、腰にあてる。
「『別了(ビェラ)!前田!』」
アカリの右掌の前の空気が、揺らめいて見えた。
#12ー1☆
「鉄拳制裁!鉄拳制裁ー!」
と楽しそうに、次々と、アンダーガールズ隊員を、殴り倒していくミナ。
「俺様の鉄の拳の餌食になりたいたいやつは、前に出ろ!」
白銀色の革グローブをはめた拳を、これ見よがしに掲げていた。
「バカ!“どや顔”してる場合か!ほらっ!後ろー!」
相棒である、IQ180の天才、スズランが叫ぶ。
「うわっ!あぶねー!」
ミナの背後から、木刀が飛び出してきた。すんでのところで、かわすことが出来たがー。
紫の特攻服の隊員の中に、もうひとり、黒い特攻服の少女がいた。身長は、ミナと同じくらいで、どちらかと言えば小さいほうだ。おでこが特徴的な黒目がちな少女。
「こいつ、殺しちゃってもイイデスカー?」
特注品の黒檀の木刀を片手に、黒の特攻服の少女が問うと、
まわりの隊員が、
「イイデス!イイデス!イイデスねー!」
と、声を合わせた。
「なんだ?変な宗教か?」
ミナは、面食らった。
「大場!気をつけなさい!そいつは、親衛隊十人衆です!」
少し離れた場所から、マナツが、注意を促した。
ひゅっ、と空気を切る音ー
もうひとりの十人衆
汐莉の強烈な左ハイキックを、右腕でブロックするマナツ。
「気をつけるのは、どっちだ?」
「なかなか、いい“蹴り”ですね。アカネほどじゃありませんが」
親衛隊の長、高柳アカネの名を出し、牽制する。
「“蹴り”だけだと思うな!」
汐莉は、ボクシングのファイティングポーズのような構えで、上下にトントンとリズムを刻む。
「シュートボクシング…」
マナツは、知っていた。汐莉が、シュートボクシングの達人だということをー
シュートボクシング…パンチ、キック等の打撃のみでなく、投げ、締め、立ち関節と、多種多様な技を繰り出す、立ち技最強ともいわれる格闘技である。
「どの技で倒されたいんだ?パンチか?キックか?それとも投げ技か?」
余裕を見せる汐莉。
「どの技できても、構いませんよ。倒されるのは、あなたのほうですから。理由は…」
「知らなーい、か?」
汐莉は、マナツの口癖を揶揄した。
「知っています。あなた如き倒せないようでは…前田には、勝てないからです!」
「ほざけ!」
親衛隊十人衆と、元特攻隊長の、闘いは激しさを増していった。
と楽しそうに、次々と、アンダーガールズ隊員を、殴り倒していくミナ。
「俺様の鉄の拳の餌食になりたいたいやつは、前に出ろ!」
白銀色の革グローブをはめた拳を、これ見よがしに掲げていた。
「バカ!“どや顔”してる場合か!ほらっ!後ろー!」
相棒である、IQ180の天才、スズランが叫ぶ。
「うわっ!あぶねー!」
ミナの背後から、木刀が飛び出してきた。すんでのところで、かわすことが出来たがー。
紫の特攻服の隊員の中に、もうひとり、黒い特攻服の少女がいた。身長は、ミナと同じくらいで、どちらかと言えば小さいほうだ。おでこが特徴的な黒目がちな少女。
「こいつ、殺しちゃってもイイデスカー?」
特注品の黒檀の木刀を片手に、黒の特攻服の少女が問うと、
まわりの隊員が、
「イイデス!イイデス!イイデスねー!」
と、声を合わせた。
「なんだ?変な宗教か?」
ミナは、面食らった。
「大場!気をつけなさい!そいつは、親衛隊十人衆です!」
少し離れた場所から、マナツが、注意を促した。
ひゅっ、と空気を切る音ー
もうひとりの十人衆
汐莉の強烈な左ハイキックを、右腕でブロックするマナツ。
「気をつけるのは、どっちだ?」
「なかなか、いい“蹴り”ですね。アカネほどじゃありませんが」
親衛隊の長、高柳アカネの名を出し、牽制する。
「“蹴り”だけだと思うな!」
汐莉は、ボクシングのファイティングポーズのような構えで、上下にトントンとリズムを刻む。
「シュートボクシング…」
マナツは、知っていた。汐莉が、シュートボクシングの達人だということをー
シュートボクシング…パンチ、キック等の打撃のみでなく、投げ、締め、立ち関節と、多種多様な技を繰り出す、立ち技最強ともいわれる格闘技である。
「どの技で倒されたいんだ?パンチか?キックか?それとも投げ技か?」
余裕を見せる汐莉。
「どの技できても、構いませんよ。倒されるのは、あなたのほうですから。理由は…」
「知らなーい、か?」
汐莉は、マナツの口癖を揶揄した。
「知っています。あなた如き倒せないようでは…前田には、勝てないからです!」
「ほざけ!」
親衛隊十人衆と、元特攻隊長の、闘いは激しさを増していった。