こんにちは、しもじんこと、PR現代の下島です。
今回は、先月、8月24日に90歳でお亡くなりになられた、日本を代表する実業家、京セラの創業者が遺した著書『経営12ヶ条』経営者として貫くべきこと(日本経済新聞出版)の紹介です。
稲盛和夫氏の本には難しいことは一切書かれていない
この本は稲盛さんが亡くなられた直後の9月6日に刊行されたものです。稲盛さんの本は何冊か持っていますが、その集大成ともいうべき一冊です。稲盛さんの本はどれもわかりやすく、難しいことは何も言ってないのですが、具体例を交えて本当にわかりやすい内容となっています。
私は2010年の4月からPR現代の3代目代表を務めていますが、これまで続けてこれたのも、稲盛さんの哲学を参考にしているところが多々あったと思います。
稲盛さんの経営結学には、人への愛、商品への愛、そして会社への愛が根底にるように思います。特に日本人の私にとってはとても共感でき、納得できる経営姿勢です。
本著『経営12ヶ条』には、京セラの創業やJALの再建を成し遂げた、稀代の経営者が生涯を通じて貫いたものが、12項目に要約され、紹介されています。
稲盛和夫の『経営12ヶ条』とは?
本著『経営12ヶ条』は次のとおりです(書籍の目次をもとに一部加筆)。
第1条 事業の目的・意義を明確にする
公明正大で大義名分のある高い目的を立てる
大義名分が人を動かす/若い従業員たちの反乱/従業員の幸福のために最善を尽くす/全社員が誇りとやりがいを持って働けるようにする/これほど立派な大義名分はない/など
第2条 具体的な目標を立てる
立てた目標は常に社員と共有する
混迷を極めるなかに血路を開き、集団を導く/従業員を鼓舞する壮大なビジョンを説き続ける/倦まず弛まず従業員に説き続ける/中長期計画はいらない/など
第3条 強烈な願望を心に抱く
潜在意識に浸透するほどの強く持続した願望をもつこと
どのくらい強く持てるかが成功のカギ/繰り返し経験することで潜在意識を活用する/強い願望は一瞬の出会いさえ逃さない/日本航空再建で抱いた強烈な願望/など
第4条 誰にも負けない努力をする
地味な仕事を一歩一歩堅実に、弛まぬ努力を続ける
全力疾走でフルマラソンを駆け抜ける/「私なりに努力をしている」では熾烈な企業間競争を勝ち抜けない/誰にも負けない努力を日々、絶え間なく続ける/など
第5条 売上を最大限に伸ばし、経費を最小限に抑える
入るを量って出ずるを制する。
利益を追うのではない、利益は後からついてくる
「足し算式の経営」をしてはならない/全員が経営に参加できる仕組みをつくる/採算が見えれば、創意工夫が生まれる/数字で経営する/高収益企業になるために/など
第6条 値決めは経営
値決めはトップの仕事、お客様も喜び自分も儲かるポイントは1点である
「1杯のうどんをいくらで売るか」に凝縮される経営の極意/お客様が喜んで買ってくださる「最高の値段」を射止める/仕入れやコストダウンと連動させて考える/など
第7条 経営は強い意志で決まる
経営には岩をもうがつ強い意志が必要
何が何でも目標を達成する/「経営者の意志」を「全従業員の意志」に変える/必死な姿で経営に取り組み、強い意志を示す/など
第8条 燃える闘魂
経営にはいかなる格闘技にもまさる激しい闘争心が必要
絶対に負けるものか/厳しい経済環境にも負けてはならない/命を賭けて従業員と会社を守る/など
第9条 勇気をもって事に当たる
卑怯な振る舞いがあってはならない
原理原則を貫く/知識を信念にまで高めた「見識」をもつ/「胆識」が備わって初めて真の経営者に/など
第10条 常に創造的な仕事をする
今日よりも明日、明日よりも明後日と、
常に改良改善を絶え間なく続ける、創意工夫を重ねる
傑出した技術力を最初から持っている会社などない/あらゆる事業に共通する真理/未来進行形で考える/など
第11条 思いやりの心で誠実に
商いには相手がある。相手を含めて、ハッピーであること。皆が喜ぶこと
自己犠牲を払ってでも相手に尽くす/買収や合併でも相手を最大限に思いやる必要がある/失敗と成功を分けた心の差異/など
第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で
どんな逆境にあろうとも自分の人生をポジティブに見る/善き心で善き行いを続ければ、すばらしい成果が訪れる/2つの他力を得て、さらなる成長発展を/など
リーダーにとって最も大切な勇気とは?
特に印象深かったのは、リーダーにとって最も大切な勇気とは? への返答です。稲盛氏は本の中で「経営者やリーダーにとって自分がおかした過ちを潔く認めて改めることは、勇気のなかでも一番大切なことです」と語っています。
なぜか?「これをしないと部下は尊敬どころか、信頼しなくなるからです。部下からの尊敬や信頼を失い、軽蔑を受けるようなことはあってはリーダーとしての資格を失ったも同然です」と記されています。わかりやすいですが、重たいことですね。
本のカバーには次のように記されています。
世の複雑に見える現象も、
それを動かしている原理原則を解き明かすことができれば、
実際には単純明快です。
こうした考えの下、
「どうすれば会社経営がうまくいくのか」
という経営の原理原則を、私自身の経験をもとにわかりやすくまとめたのが、
「経営12カ条」です。
簡単そうで実は多くの方が間違えやすい簡単ではないことが、この12項目ではないかと思います。それを貫き言い切る稲盛氏はまさに「平凡の非凡」を実践してきた、偉大な経営者だと思いました。
稲盛和夫氏のご冥福を心よりお祈りいたします。
【稲盛 和夫(いなもり かずお)】
1932年〈昭和7年〉1月21日生まれ。2022年〈令和4年〉8月24日没。
日本の実業家。京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者。
公益財団法人稲盛財団理事長。「盛和塾」塾長。日本航空名誉会長。
<『経営12カ条』の書籍内の紹介より>
1932年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。84年に第二電電(現KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高顧問。2010年には日本航空会長に就任。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問。1984年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。2022年8月逝去。著書に『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『高収益企業のつくり方』『人を生かす』『従業員をやる気にさせる7つのカギ』(いずれも日本経済新聞出版)、『成功への情熱』(PHP研究所)、『生き方』(サンマーク出版)など多数。