
こんにちは、PR現代 代表の下島です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
今週は、今読み深めている、おそらく多くの経営者にとってとても面白いと思われる本のご紹介です。
『理念経営2.0 』 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ(著:佐宗 邦威)
その本は、『理念経営2.0 』 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ(ダイヤモンド社)。著者は、佐宗 邦威(さそう くにたけ)さんです。
この本は経営理念に関するハウツウ本としてだけではなかったのがまず驚きでした。
佐宗さんの会社がコロナ禍においてリモートワークを取り入れたとたんにこれまで一緒にやってきたベテラン社員が次々と辞めていく苦悩をかかえ、何か足りなかったのか、今後どうしたら良いのかなどの背景を描いてある読み物としてもたいへん興味深い内容です。
この会社では企業理念はこれまで何回も作ろうとしていたそうですが実はなかった!と著書の中に記されています。
佐宗 邦威さんは、株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー
多摩美術大学 特任准教授で、P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務めました。
その後ソニーを経て、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を創業。
企業・組織のイノベーションおよびブランディングの支援を行うほか、企業理念の策定および実装に向けたプロジェクトに関わった方です(Amazonの著者紹介より抜粋)。
著書にベストセラー『直感と論理をつなぐ思考法』(ダイヤモンド社)、『世界のトップデザインスクールが教える デザイン思考の授業』(日経ビジネス人文庫)、
『模倣と創造』(PHP研究所)などがあります。
一方的に浸透させる「社長の誓い」(=理念経営1.0)から問いかけて触発する「みんなの物語」(=理念経営2.0)へ!
「理念経営2.0」という名称ですが、著者は理念経営1.0と2.0の違いを次のように述べています。
理念経営1.0が創業者や組織の「答え=正解」を示すものだったとすれば、理念経営2.0の確信は「問い」にあります。
企業理念がすぐれたものであるかどうかは、それがその会社のすべてのステークホルダー、とりわけ社員に対する「問い」として機能するかどうかにかかっています。
働く人たちの主体的な語りや探究が生み出されているなら、その企業理念はまちがいなく会社の経営資源になってくれています。
これからの経営者に求められているのは「みんなの物語」が生まれてくるための「問う仕組み」をデザインすることなのです。(著書の扉より抜粋)
「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ
同著では7つのステップとして以下を挙げています。
1[ビジョン]ー私たちは将来どんな景色を作り出したいか?
2[バリュー]ー私たちがこだわりたいのは何か?
3[ミッション/パーパス]ー私たちは何のために存在しているのか?
4[ナラティブ]ー私たちの会社はどこから来て、どこに向かうのか? なぜここにいるのか?
5[ヒストリー]ー私たちの今を作っている原点は、どこにあったのか?
6[カルチャー]ー私たちの会社の「らしさ」とは何だろうか?
7[エコスステム]ー私たちの理念を育てるためには、どんな仕組みが必要か?
考え語り合うことが大切だと筆者は繰り返すすすめています。
会社は「利益を生み出す場」から「意義を生み出す場」へシフトしている
私見では特に「パーパス」がたいへん重要だということだと感じました。
パーパス(Purpose)とは「目的」「意図」という意味です。
最近よく聞く「パーパス経営」とは、企業の目的を明確にして社員・顧客・取引先・株主らとの強い共感関係で経営をする経営のあり方です。
特に社会問題や地球環境、人権等に対してどう貢献するのかを具体的にし、その目的が明確なものということです(たしかにこれを軸にすると求心力は高いですよね)。
理念経営2.0とは何か? なぜ必要なのか? その作り方、育て方(浸透・醸成)などを自社の危機と合わせて紹介している良書です。
繰り返し読んでみて、私も自社にどう活かすことができるのか考えてみたいと思います。これからの理念経営のよい参考書だと思いました。
【本書の主な構成】
はじめに──いま、なぜ経営者は「自社の存在意義」について考えるのか?
・ティールの罠──「自由で自律的」だったはずのチームに起きたこと
・わざわざ「群れ」で働く意味はあるんだろうか?
・あえて理念を決めたくない経営者の心理 …など
序章 21世紀の企業理念──ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスとはなにか?
・「だれ」が企業理念をほしがっているのか?
・組織が崩壊しないための3要素──「渡り鳥」の比喩
・パーパスとはなにか──「中年の危機」から抜け出す〝北極星〟 …など
第1章【ビジョン】未来への「動力」をつくる
・ビジョンとは「夢」である──あらゆる「資産」を動かすもの
・その未来像は十分に「具体的」か?──ビジョンの解像度
・[実践ワーク]だれもが未来思考になれる「未来新聞」 …など
第2章【バリュー】「こだわり」を可視化し、自分たちの輪郭を描く
・リモートワークが生み出す仲間意識の希薄さ
・共通の「嫌い」から浮かび上がる個性的な価値観
・[実践ワーク]「らしさ」の輪郭をつくる「こだわりキャンバス」 …など
第3章【ミッション/パーパス】組織の中心軸となる社会的意思を定める
・ミッションとの出会い方──意味の片づけをしよう
・企業の発達段階に合わせてつくるパーパス
・[実践ワーク]自社の「真ん中」にあるものを棚卸しする …など
第4章【ナラティブ】理念を「自分ごと」へと語り直す
・9つの問いで「組織のナラティブ」を引き出す──パーパスナラティブキャンバス
・いかにして組織の物語を「自分ごと化」させるか?
・[実践ワーク]日常にナラティブを埋め込むコツ …など
第5章【ヒストリー】会社に埋蔵された「原点」を掘り起こす
・「伝説」となった歴史を解きほぐす──パナソニックの方法
・「原点」を発見しよう──歴史編纂プロジェクトの6ステップ
・[実践ワーク]個人と組織をつなぐ「年表ワーク」 …など
第6章【カルチャー】理念を体現する文化づくり
・「価値創造モデル」によって自社の強みを見出す──可視化の方法
・「らしさ」を物語にしてみよう──文化醸成の方法
・[実践ワーク]組織の「クセ」を発見する口グセワーク …など
第7章【エコシステム】理念を育てる「生態系」をつくる
・ミッション・ビジョン・バリューの使い方
・「理念経営の生態系」が育む4つのサイクル
・[実践ワーク]自社流の「理念の生態系」を発明する
終章 意義をつくる会社へ
おわりに──私たちはなぜ群れるのか
[参考資料]各社の企業理念一覧