べりぃ的
のぼうの城
あらすじ
時は戦国時代末期。
忍の浮城という異名を持つ関東七名城の一つの武州、周囲を湖に囲まれた忍城(おしじょう)
(現在の埼玉県行田市に存在した城です。)
忍城当主は成田氏長。
成田家は北条家に臣従しており、天下統一目前の豊臣秀吉は関東最大の北条氏の小田原城の攻略しようとしており、当主の氏長は北条氏の加勢により不在。
よって城主の代わりは氏長の叔父である成田泰季だが病気のため倒れてしまい、成田泰季の嫡男の成田長親(なりたながちか)が城主の代わりの代わりとなっていた。
一方、天下軍のほうは、忍城を討ち武功を立てよと豊臣秀吉に命じられた石田三成はいつか豊臣秀吉のように水攻めで派手に戦をして勝つのが野望だった。
しかし、どの城も天下の軍には敵わないと戦う前に降伏するのを残念に思っていた。
そこで石田三成は弱いものには傲慢な振る舞いをする長束正家を忍城に軍使として遣わす。
石田三成の計らい通り、長束の偉そうな態度はあまりにもひどいものだった。
その態度に腹が立った城主の代わりの代わりである長親は、ただ一言、戦いますると言い放つ。
降伏し、戦わない予定だったはずの成田家の家臣一同は非常に驚く。
しかし、長親の強い意志に覚悟を決め、戦いましょう!と一同は決意をする。
翌日、天下軍と戦うことにしたと成田家の家老の丹波は百姓たちに伝える。
戦わず降伏すると思っていた百姓は最初は反対し誰が戦うと言い出したのかと怒りだすが、戦いを決意したのが長親だと知り、突然笑い出す。
そして、
しょうがねぇな。のぼう様のためならと共に闘うことを百姓たちも決意する。
長親は、でくのぼう→のぼうと呼ばれ、百姓たちにも非常に愛されている殿様だったのだ。
石田三成は忍城が戦うと決意したことを非常に喜び、2万を超える天下の軍を引き連れてくる。
しかし、戦うと決めたことを百姓に申し訳なく思い、更には父を亡くしてみんなごめーんと泣いてしまった長親を励まそうと百姓一同は
えいかえいかおー!と大声で叫び続ける。
百姓たちのこの一心不乱の掛け声は遠くまで響き、天下軍の元へも届いていた。
このようにたくさんの百姓までもが城主のために共に戦うことを決意したと分かり、聞こえてくる掛け声を異様に感じた大谷吉継は不穏の表情を見せ、
この城、敵に回したが間違いかと一言つぶやく。
グッときたポイント
⚠️ネタバレ注意⚠️
武ある者が武なき者を足蹴にし
才ある者が才なき者を鼻面を
いいように引き回す。
これが人の世か。
ならばわしはいやじゃ。


正木丹波守利英
柴崎和泉守
酒巻靱負
百姓たち
妻を襲われ武士のことを快く思わず
のぼうのことも嫌いな旦那
武士に襲われ
甲斐姫に助けてもらった妻
2人の娘
豊臣軍
豊臣秀吉
石田三成
大谷吉継
長束正家
ざっとこんな感じです。
甲斐姫は非常にきれいな姫ですが、喧嘩っぱやくやんちゃで、百姓を襲った家臣を追い詰めて殺してしまうほどの曲がったことが嫌いな姫です。
そんな甲斐姫は長親に心底惚れています。
おそらく長親も甲斐姫に惹かれていますが、長親の本当の心中は分かりません。
長親は非常に人に好かれる人物で、裏表がなく、でも何を考えているのかは幼い頃から仲良しの家老の丹波さえも分かりません。
長親は城の中にいるより百姓の田んぼに行き田植えの手伝いや赤ん坊の子守りをしている方が好きなのです。
そんなある日、豊臣軍から来た嫌味な男、長束正家。
彼の態度は見ている方もめっちゃイライラしてきます💢
わしは朝飯を食うておらん
はよ(降伏すると)返事しろと言ってきて
んなの知るかーってなります
そして、甲斐姫を豊臣秀吉に差し出せとも言ってきてその言葉に長親はとうとうカチン💢ときます。
思わず戦いますると伝えた長親の言葉に家臣たちは驚き、別室で話し合うのですが、その時に長親は家臣たちにこう伝えるのです。
武ある者が武なき者を足蹴にし
才ある者が才なき者を鼻面を
いいように引き回す。
これが人の世か。
ならばわしはいやじゃ。
人は誰かが自分よりも劣っていると思うと、その人物を馬鹿にして嘲笑っていいものなのだろうか。みんな平等じゃないのか。それが人の世ならばわしはいやじゃと伝えるのです。
その言葉を聞き、家臣たちはやっちまうか!と戦うことを決意し、百姓たちも長親と共に戦うことを決意しますが数にしてわずか500...
中には城外へ逃げていく百姓も。
長親や武士をあまりよく思わない百姓旦那も家族をおいて城外へとにげていきます。
↑こちらの方
そして、とうとう天下の2万の軍勢が忍城に押し寄せ、その数の多さに圧倒される丹波。
ですが、
坂東武者は非常に強かった!
百姓さえも強かった!
っていうか、
百姓、
逃げ腰の武士を
押し倒しながら
真っ先に敵に向かっていく!
忍城の周りは田んぼなので天下軍の武士より百姓のほうが慣れていたのもあり、それに百姓もみんな体のどこかに坂東武者の血が流れているのです。
そこが私的に熱かった。
最初に武なき者とバカにしてきた長束正家に腹を立てた長親にこの百姓が敵に向かっていく姿はアンサーとして表れているのだと思います。
人はみんな平等。
ここでは武士も百姓も女も子どももない。
みんな共に戦う戦士なんだと。
だからバカにすんじゃねぇと。
それにバカにしてきた長束正家は運悪く、最も強い正木丹波が守っている門にあたり、突破しようとしていましたがあやつは戦い方もめちゃくちゃ下手でした。
部下が敵を十分に引きつけてから鉄砲を撃てと言っているのに、長束は早々と撃ってしまい、次の銃の準備をしている間にたくさんの仲間の兵が撃たれてしまいます。
部下がだから言ったのに!と言っても聞く耳を持たない長束に愛想を尽かしてしまった部下は、自ら離れて戦っていきます。
この部下の態度から見ても長束は部下からも好かれない、人望のない人間だったのだなということが分かります。
結局、豊臣軍はこの日、どの門も突破することができず、石田三成は忍城は水攻めで落とすと決めます。
水攻めとは川の水を堤で堰き止めて決壊させるというひどいものですが、結局水攻めをしても忍城周辺はやや高い立地のため完全に城を水没させることはできず失敗してしまうのですが、
水攻めで被害に遭った赤ん坊たちの遺体を見て、長親は非常に心を痛めてしまいます。
そして、わしは悪人になると自ら田楽踊りを披露するために豊臣軍に近づいていきます。
長親の楽しい踊りは敵も味方も魅了しますが、長親にはある策があったのです。
石田三成は田楽踊りを踊っている者が城主の長親だと分かり、兵に鉄砲を撃つよう命令します。
ですが、それこそが長親の策なのです。
踊りながら、早く撃てと目で合図をする長親。
しかし賢い大谷吉継は、何か策があることに気づき、撃つなと言いますが、結局長親は肩を撃たれてしまいます。
長親が撃たれたことを見てしまった百姓は怒り狂います。でも1番、怒ったのは城外に逃げた百姓です。
↑こちらの方
田んぼをダメにされ、嫌っていたはずののぼうも目の前で撃たれ、ショックを受けた城外の百姓は水攻めを破ろうと川の水を止めている堤を壊していき結局翌日の水攻めは失敗してしまいます。
それこそが長親の策だったのです。
一命を取り留めた長親は、
城外の百姓も我らの味方さ。
と笑いながら言います。
長親は最初からわかっていたのでしょう。
城外に逃げた百姓は必ず協力してくれるはずだと。なぜならここは彼らの故郷だからです。
結局、豊臣軍は忍城を落とすことができず、石田三成は負けます。
しかし、負けた負けた〜と笑いながら去っていく石田三成の姿はなんだか清々しい。
これほどまでに百姓に愛された城主との戦いはきっと石田三成にとって初めてのことだったのだろうと思います。
2万の天下の軍 VS たった500の忍城
しかし、最強の武力は数じゃない。
人を掴む心なんだよ。
そんなことを教えてくれるステキな映画です