バスケのディフェンスが向上する重心移動トレーニング | 石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

▼待望の著書 #ゼロ・グラヴィティ理論 が4月刊行▼過度なウエイトトレ不要の世界を目指し"7つ"の新法則を提供中。ストレッチ,トレーニング,スポーツ動作の指導が得意▼2019年北海道〜沖縄の全国で受講者数229人/3月現在▼株式会社カラダラボ代表取締役

バスケにおいてサイドステップは重要な技術である。

だからこそ正しい身体の使い方で行う必要がある。

サイドステップを身につけるために、重心移動トレーニングをご紹介します。

 

 

バスケにおけるディフェンスのサイドステップ

 

▷重心移動の注意点 

・進行方向の足の膝皿を小指より外側にくるようにする(膝皿が内側に入らない)

・進行方向とは逆足の重心を足の外側に乗せる 

・背筋を伸ばす

・手首・膝の力を脱力させる

・骨盤を立てS字型を保つ 

 

▷運動の原則 

・進行方向の足をいったん正中線(身体の中心線)に近づけてから、遠ざける

 

この注意点と原則を加味して、サイドステップを行いディフェンスの動きにつなげる。

行ってはいけないパターンは、進行方向に対して逆足から足を出すことである。

重心移動がきちんとされず、足の力感だけでスライドしてしまうため、

上半身との連動性を作ることができない。

バスケットのディフェンスにおいて上肢と下肢が連動しないのは致命的である。

 

動き出しのタイミングで、進行方向とは逆の足を一度踏ん張ってから地面を蹴ると、

足への負担がとても大きくなる。

進行方向の足を出すためには、正しい重心移動をし、

重心がもうこれ以上移動できないという状態になり、勝手に足が出てくるパターンが望ましい。

身体の状態を不安定にするということである。

その状態が最も身体が軽くなり、最小限の力感で足を出すことができる。

 

もう一つ留意するべきポイントは、正中線に足を一度近づけてから進行方向の足を出すことである。

進行方向の足が一度正中線に戻るように見える。 

足の土踏まずにある足底筋を使い、地面を蹴り戻すということを行っている。 

足底筋がハムストリングと連鎖運動することで、ただ単に足を進行方向に出すよりもスピードが上がる。

 

昔は「頭を突っ込みながら足を出せ。」と指導している現場が多くありました。 

過程は違えど、やりたいことは一緒なのである。

頭を突っ込むことにより、身体の状態は進行方向に大きく動く。

その結果、身体の状態が不安定になり、身体が軽くなる。

足の力感が必要なくなるのである。

 

 

ボールの位置で重心移動の動きを変える

 

重心移動トレーニングを行うときは、3つのゾーンに分けます。

 

①身体の重心移動のみで、足を動かさないゾーン 

②身体の重心移動と一歩のサイドステップが必要なゾーン

③②の動きから進行方向の足又は逆足をさらに一歩だすゾーン

 

③はさらに3種類のステップに分けられる。

  1.サイドステップ(進行方向の足をもう一歩だす)

  2.脊柱を右に回転しクロスステップ(逆足を身体の前にステップ)

  3.脊柱を左に回転しバックステップ(逆足を身体の後ろにステップ)

 

②のゾーンで行ったディフェンスパターンの練習を紹介します。

重心移動と足底筋とハムストリングの連鎖から、サイドステップを繰り出すというトレーニングである。

 

 

【サイドステップver1】 

足底筋・ハムストリング・上肢の連鎖ステップ

 

・足を肩幅より広めにひろげる

・ボールを使い、ボールの位置に合わせ、身体のみ重心移動する

・最後に踏み出す足はいったん正中線に寄せてから、一歩出す

・すべてを同位置で行う

 

 

 

【サイドステップver2】 

足底筋・ハムストリング・上肢の連鎖ステップ 

 

・ボールが進行方向と逆にあるときは、身体のみ重心移動

・ボールが進行方向にあるときは、進行方向の足を正中線に寄せてから、一歩踏み出す

・進行方向と逆の足はすり足

・同一方向へ進んでいく

 

 

 

【サイドステップver3】 

足底筋・ハムストリング・上肢の連鎖ステップ 

 

・ペアになって、オフェンスとディフェンスに分かれる

・オフェンスはその場でボールをバウンドさせる

・ディフェンスは実際にゾーン②の中で、Ver.1で練習したサイドステップの動作を取り入れる 

・最後、足を踏み出すときにオフェンスのボールをはじく

・手の出し方は上肢のカウンターからスナップ動作

 

 

 

②のゾーンではこのように3段階に分けて練習を行った。

ゾーンの中でも何種類かのトレーニングに分けることで、動作が身につきやすくなる。

いきなり難しい動きを教えてしまっては、選手は身体の動きを正しく身につけることができない。

脳は間違った動きを自動修正できない。

最初から教え直さないといけないのである。

これはゾーンが変わるときも同じである。

各ゾーンでの動きを正しく脳に覚えさせ、考えなくても身体が動くようになったら、

次のゾーンでのトレーニングを始める。

順序が大切である。

段階を踏んで、トレーニングを行う必要がある。

順序通りに行うことで、選手の成長曲線がしっかりあがっていくのである。

 

 

トレーニングを構成するときのポイント

 

皆さんはどのようにトレーニングを構成し、指導をしていますか?

新しいトレーニングを始めるときは、どのようなタイミングで取り入れていますか?

それが選手やチームの成長に大きく影響してきます。

 

▷成長曲線を描くためにおさえるべきPoint 

・新しい技術を覚えることで、ベースの技術が向上するパターン 

・ベースの技術を確実に練習することで、ベースの技術が向上するパターン 

・平均的に練習することで、ベースの技術が向上するパターン

 

覚えて欲しい技術があれば、実直に一つのことを行えば習得できると考える。

しかし、必ずしもイコールではないときがある。 

それは以下のときである。

 

・環境の変化(大会シーズンのオン/オフなど)

・指導者の視点(チームインテリジェンスの変化)

・新しい技術を知ることができる高揚感(選手たちのモチベーション)

 

これらでベースの技術が向上することもある。 

人間の”知りたい”という欲求は、思っている以上に高いのである。

指導者はこれを加味してトレーニングを構成する必要がある。

どのタイミングで新しいことを覚えさせるのがベストなのかを、常に考えなくてはいけない。

このタイミングを間違えると、成長曲線は下降してしまうのである。

 

 

重心移動トレーニングを他のスポーツで応用

 

これまで、バスケのディフェンスに活用できるということで

重心移動トレーニングを紹介してきました。

しかし、ステップパターン連鎖トレーニングは、様々なスポーツに応用できます。

 

・野球の投球動作・バッティング・内野守備 

・サッカーのディフェンス

・バレーボールのディグ 

・テニスのステップ 

・バドミントンのステップ

 

バスケ以外でも活用できるトレーニングなので、ぜひ参考にしていただきたい。