愛と信頼のホルモン オキシトシン その2 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます 

昨日の記事を「愛と信頼のホルモン オキシトシン その1」としました。ちょっと補足しておきたいことが出てきたので、今日の記事をその2とします。それは、オキシトシンが自閉症の症状改善に有効かもしれないという話。

↓下記のニュースをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。去年の4月のニュース。

ホルモンで自閉症改善 金沢大が臨床例発表(2010/04/23 19:16 47ニュース
 自閉症患者が「オキシトシン」というホルモンを服用すると症状が改善したとの臨床結果を、金沢大などの研究グループが23日、発表した。
 3歳から自閉症とされてきた20代男性で、会話ができず、人と交流ができずにいた。両親が2008年、スイスからオキシトシンの点鼻薬を輸入し服用すると、男性は診察で担当医の目を見て笑い「はい」「いいえ」と答えるようになり、担当医が驚いたという。
 オキシトシンは視床下部などで作られるホルモンで、男性は血中のオキシトシン濃度が低かったことが判明。これまでアスペルガー症候群などに効果があった例は海外で報告があるが、同大の東田陽博教授(神経化学)は「重度の知能障害がある自閉症患者が長期間服用し、改善が確認されたのは初めて」と話した。
 オキシトシンは母乳を分泌させたり、出産で子宮を収縮させる働きがあるという。信頼感を強める機能があり、人が社会で活動するために必要なホルモンと指摘する研究者もいる。自閉症の治療薬としては認められておらず、男性の点鼻薬は母乳分泌用だった。


この発表があってから、ネット通販で オキシトシン点鼻薬を買い求める人が殺到して、軒並み在庫切れになったとか。ん~、自閉症のお子さんをかかえる親御さんの気持ちを考えると、無理もないかなぁ…とも思うけど、ちょっと待って!と言いたい。

これって、たった1件の症例報告に過ぎず、「可能性があるかもしれない」という程度の話なんです。母乳分泌促進用のオキシトシン点鼻薬が、本当に自閉症改善に効いたのかどうか、この事例だけではわかりません。薬の効果として認められるには、プラセボ薬と比較する二重盲検による治験を重ねないと。

オキシトシン点鼻薬が母乳の分泌促進に効くのは、ホルモン剤として働く先が乳房だから。つまり、鼻粘膜から吸収されて、血流に乗って乳房に届く。これがそのまま脳にも届くとは考えられないんですよねぇ…。だって、脳には血液‐脳関門という門番がいるんだもの。

向精神薬やパーキンソン治療薬などは、血液‐脳関門を通過できるようにつくられてますが、オキシトシン点鼻薬は、オキシトシンと同じペプチド構造になるように合成されたホルモン剤で、血液‐脳関門を通過できるようにつくられてるワケじゃないもの。

ただ、血液中のオキシトシン濃度が低い、つまりホルモンとしてのオキシトシンが少ない場合、ホルモンの部分が点鼻薬によって補われて、脳内の神経伝達物質としてのオキシトシン量に余裕が生じる可能性が考えられなくもない。

自閉症の中には、オキシトシンを十分につくれないタイプの人がいるようなので、↑上記の金沢大学のケースは、そのタイプの人だったのかもしれませんね。

あ!オキシトシンは正のフィードバックするんだった!つまり、血液中のオキシトシンが増えると、脳でのオキシトシン分泌も増えるんだった!となると、血液‐脳関門うんぬんは、ここでは関係ないか…。

いずれにしても、今後さらなる研究報告が待たれますね。自閉症やアスペルガー症候群の治療薬になる可能性はあるんですから。

ちなみに、現在、乳汁分泌促進や子宮収縮促進に使われるオキシトシン薬は、点鼻薬としてのスプレーか静脈注射薬です。オキシトシンが愛と信頼のホルモンとして認められるようになってから、あやしげなオキシトシンサプリメントも出てるようですけど、口から飲んでも分解されて、そのまま吸収されるワケじゃありませんよ。

一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。


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