愛と信頼のホルモン オキシトシン その1 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます 

昨日の「あくびにも関係しているオキシトシンって何?」からの続きです。オキシトシンについて、今わかっていることを、私が調べた範囲の中で、かいつまんでお話ししますね。大脳生理学の研究はずいぶん進んできましたけど、まだわかってないこともたくさんあるんです。

まずは、オキシトシンのホルモンとしての働き。「あくびって何のためにあるの?」にも書いたように、オキシトシンは下垂体後葉ホルモンとして、生殖に深く関係しています。

そのひとつが、分娩時の子宮収縮。赤ちゃんの頭が、お母さんの子宮頚部を押し広げると、その刺激が知覚神経を通じて視床下部に届きます。すると、視床下部にあるオキシトシン神経がオキシトシンをつくって分泌します。血流に乗って子宮に届いたオキシトシンは、子宮平滑筋を収縮させるというしくみ。

もうひとつは、射乳反射。赤ちゃんがお母さんのおっぱいに吸いつくと、この刺激も知覚神経を通じて視床下部に届きます。それでオキシトシンが分泌されて、お母さんの乳房に届くと、乳汁の腺房や導管を取り囲む筋上皮細胞を収縮させ、乳汁分泌が促進されるというしくみ。

この射乳反射、赤ちゃんを見たり、赤ちゃんの声を聴いたり、赤ちゃんがおっぱいを吸引する予感がしたりするだけでも起こります。その一方で、お母さんが恐怖や怒り、強いストレスを感じると、オキシトシンの分泌が抑制されるので、乳汁分泌も抑えられてしまいます。

「思いっきり泣くと脳が活性化する?」にあるように、視床下部のある間脳は「たくましく生きる」ための脳。情動の中枢でもあるワケで、とくに生死に直結しそうな感情の影響を受けやすいんです。

だって、外敵を目の前にしたら怖いでしょ?すぐに逃げなきゃってなるでしょ?自律神経やホルモン分泌をすぐコントロールして、逃げやすいからだの状態にする反応を起こさなくちゃなりませんよね?自分と赤ちゃんの命を守るために。

そんなときに、飲んだり食べたりできないし、授乳してる場合でもない。だから、そうした反応をコントロールする中枢としての機能が、間脳に集まってるんですね。でもって、オキシトシン分泌も感情の影響を受けやすい。

一方で、脳内快感物質といわれるドーパミンが放出されると、オキシトシンの分泌が増えることもわかっています。うれしい、楽しい、気持ちいい、愛おしいといった感情があると、ドーパミンが出て、さらにオキシトシン分泌も増える。

このあたりに、オキシトシンが愛情ホルモンとか、癒しのホルモン、幸せホルモン、あるいは信頼のホルモンなんて呼ばれる理由がありそうですね。

さまざまな研究や実験の結果、オキシトシンは対人コミュニケーション能力をよくする、人に対して寛容になる、信頼感を高める、愛情を深める、安心感を生む、睡眠を誘導するなどの効果があると言われています。

子どもや人、ペットに対しても、可愛いとか愛おしいとかのやさしい感情を持つと、ドーパミンが出てオキシトシンの分泌が増えます。すると、さらにやさしい感情が増えていくことになります。まさに正のフィードバック。

タクティールケアというやさしくなでるように触れる療法でも、オキシトシン分泌が増加することがわかっています。タクティールケアでは、触れるほうも、触れられるほうも、オキシトシン分泌が増えるようですよ。

一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。

 
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