子どもの生活習慣病は自尊心の欠如が原因? | 春月の『ちょこっと健康術』

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子どもの高脂血症や糖尿病が問題になっていますが、そうした生活習慣病の影に、自分のからだやこころを大切にする「自尊心」の不足があるようです。


「熱中症? それともペットボトル症候群?」「熱中症? それとも心筋梗塞?」 などで引用した日経メディカルオンライン 、第43回日本動脈硬化学会のダイジェスト記事に、↓以下のようにありました。


子供の自尊心を育てることで生活習慣病を予防する

 高校生を対象とした生活習慣病検診や小中学生に対するアンケートから、子供たちの肥満や生活習慣病の背景には自らの心や体を大切にする「自尊の心」の欠如がうかがわれるという。そこでNPO法人による社会への啓発活動を通じて自尊心を育成し、生活習慣病予防につなげようとする試みが行われ、成果が上がってきた。7月15日から札幌市で開催された日本動脈硬化学会(JAS2011)で、千葉県医師会理事(西船内科院長)の篠宮正樹氏が報告した。

 千葉県下の高校1年生374人を対象とした生活習慣病検診から、(1)肥満度20%を超えるような男子では、既に高血圧、脂質異常、肝機能障害などが認められた、(2)超音波検査から男子の10.4%、女子の8.8%が内臓脂肪型肥満と判定された、(3)男子16.6%、女子30.4%の生徒が、脂肪肝の徴候とされる肝腎コントラストが陽性だった――といった問題が明らかになった。

 この検診では同時に、肥満や生活習慣病にかかわる因子についても検討され、(1)運動の励行、(2)テレビ視聴やゲームを控える、(3)良い食習慣を身に付ける、(4)ウエスト周囲径が80cmを超えた場合は医師に相談する、(5)やせ過ぎもまた不健康であることを知っておく――といった指導をすべきとの結論が得られた。

 また肥満度の高い生徒では、例えばテレビ視聴やゲームに費やす時間が長い傾向がみられたが、彼らの両親にも同様の生活習慣が認められた。これから、親の世代に対する介入も必要ということが分かった。

 生活習慣病の背景因子として篠宮氏は、子供の自尊心の欠如という問題に注目している。小学5年生に対するアンケートでは、友人との関係や両親との関係、物事が思い通りにならないことなどを理由として、4割程度の児童が日常的にストレスを感じていることが明らかになった。

 大阪医科大学の田中氏らによる中学生に対する調査でも、「家や学校でストレスを感じる」、あるいは「死にたいと思うことがある」、「かっとなりやすい」、「私の人生はつまらない」と回答した日本の中学生は、スウェーデンの中学生の2倍以上にのぼった。逆に、「私は幸せである」、「家族は私の努力を理解してくれる」といった回答は、日本がスウェーデンの半分だった。

 そこで篠宮氏は有志で2005年にNPO法人「生活習慣病に取り組む市民と医療者の会」(愛称:小象の会、理事長:篠宮氏)を立ち上げて、生活習慣病予防の大切さを説き、一般市民に正しい医療情報を得る場所を提供するキャンペーン活動を始めた。特に子供たちに対しては、「あなたたちは素晴らしい体と心を持って生まれて来た」というメッセージを強調しているという。

 千葉県南房総市での地域ぐるみの活動が、実際に子供の血圧や肥満度の低下につながっている例も出てきた。篠宮氏は、「自尊感情を育てることは、過去のデータ、諸外国のデータからみても生活習慣病の予防において有効である。今後も多くの方の協力を得て、この活動をますます広げていきたい」と述べた。 (日経メディカル別冊編集)


おとなの生活習慣病に対する指導は、厚生労働省の「健康日本21」キャンペーンや「特定健診・特定保健指導」によって、かなり進んできました。ところが、生活習慣病対策としては、おとなだけじゃダメなんですね。


日本学術会議臨床医学委員は、『出生前・子どものときからの生活習慣病対策』 (pdf)を出して、子どもに対する健全な環境づくりを提言していますが、その背景となったのは↓次のような理由とのこと。


① 低出生体重児(出生時の体重が2500g未満)、すなわち胎児期に低栄養があると、将来、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などになりやすく、心血管障害による死亡率を上昇させるリスクが高い。そんな低出生体重児は、年々増加している。低出生体重児が増えている理由のひとつは、やせすぎの女性が増えていること。


② 出生時の体重が少なく、出生後に体重が急激に増加すると、インスリン抵抗性が増し、レプチン感受性が下がる可能性が高い。


③ 子どもの肥満が増えている。肥満児の中には、すでに生活習慣病を発症している子どももいる。肥満の経過年数が多いほど、心血管障害を若いうちに発症するリスクが高い。子どものうちに肥満していると、おとなになっても肥満である確率が高い。


④ 子どもの体力・運動能力が低下している。とくに女子で著しい。幼児期の不活発さは、そのまま思春期へと持ち越される傾向にある。


そこで、①に対しては、やせすぎの女性を増やさないために、女性の「やせ願望」を探ること、思春期からの食育を充実させることなどが、②に対しては、母乳育児の推奨と育児用ミルクの改良が、③に対しては、小学校から高校まで、栄養教諭による食育の充実、家族全員の食生活改善などが、④に対しては、身体活動を増やす体制づくりをすることなどが、提言されています。


日本学術会議の提言では、「こころのケア」までは言及されていませんが、↑上記のようなことを指導していく上では、当然避けて通れないことですよね。とくに、やせ願望を正しい方向、つまり健康的なやせ方へと持っていくには、子どもたちが納得できる理由を与えて、こころの余裕も持たせなくちゃ。ね?


子どもたちの健康に関しては、「子どもたちが心配だぁ~」 では低体温のことを取り上げました。そこにも書いたように、社会環境を整えることも必要。でも、なんだかんだ言っても、子どもはおとなを見て育つ。おとなが手本にならなくちゃ。


一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。


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