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●<明石歩道橋事故>当時の署長の起訴申し立てへ

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<明石歩道橋事故>当時の署長の起訴申し立てへ

 兵庫県明石市で01年7月にあった歩道橋事故の遺族が、改正検察審査会法の施行後、当時の県警明石署長と副署長=いずれも不起訴処分=について、神戸検察審査会に起訴を申し立てることを決めた。事故から公訴時効期間の5年が既に経過しているが、刑事訴訟法では、共犯の公判中は時効を停止すると規定しているためだ。

(毎日新聞) - 10月17日15時36分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061017-00000060-mai-soci より


記事が言及している規定というのは刑事訴訟法の254条のことである。その第2項にこうある。


「共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。」


そもそも「公訴時効」というのは、一定の期間経過によって公訴の提起ができなくなる制度のことをいう。これとよく似た制度として「刑の時効」がある。これは刑の言い渡しを受けた後に一定の期間経過によってその執行が免除される制度をいう。




●危険運転致死で男に懲役5年=自殺しようと薬服用-静岡地裁浜松支部

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危険運転致死で男に懲役5年=自殺しようと薬服用-静岡地裁浜松支部

 静岡県浜松市で3月、自殺目的で精神安定剤を大量服用後に衝突事故を起こし、女性を死亡させたとして、危険運転致死罪に問われた愛知県新城市の無職谷直樹被告(50)に対する判決公判が17日、静岡地裁浜松支部で開かれ、志田洋裁判長は求刑通り懲役5年を言い渡した。
 精神安定剤の服用で危険運転罪が適用されるのは異例。 

(時事通信) - 10月17日11時1分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061017-00000029-jij-soci より


危険運転致死罪は、自動車の危険な運転による死傷事犯を処罰することによって人の生命・身体の安全を保護することを目的とするもので、平成13年の刑法改正で新設されたものである。条文は次のようになっている。


第二百八条の二
  アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで四輪以上の自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。

 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。

複雑な条文だが整理すれば「酩酊運転致死傷罪」「制御困難運転致死傷罪」「通行妨害運転致死傷罪」「信号無視運転致死傷罪」に区別することができる。
記事で問題となったのは1項前段の酩酊運転致死罪である。ネット上では「飲酒運転であれば危険運転だ」といった類の主張がなされることがあるが、これは条文にそぐわない。飲酒していただけでは「正常な運転が困難な状態」には該当しない。「正常な運転が困難な状態」とは、道路の事情や交通の状況などに応じた正常な運転操作を行うことが精神的および身体的に困難な状態をいい、現に的確な運転操作をすることが困難な心身の状態にあることが必要である。したがって、飲酒により意識が朦朧としていたとか手足がしびれていたといった状態になっていなければならない。軽く一杯あおった程度で死傷事故を起こしたのであれば、刑法211条の業務上過失致死傷罪が成立するにとどまる。

●朝鮮舞踊の会場使用取り消し=「市民の安全」理由に-岡山・倉敷市

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朝鮮舞踊の会場使用取り消し=「市民の安全」理由に-岡山・倉敷市

 朝鮮民族舞踊などの総合芸術団「金剛山歌劇団」が26日に岡山県倉敷市で予定していた公演について、会場の市民会館を管理する同市は16日、使用許可を取り消したと発表した。北朝鮮による核実験実施表明の前後から、公演に抗議する約70件の投書や電話が寄せられたため、市は「市民の安全確保を優先した」と説明している。 

(時事通信) - 10月16日18時0分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061016-00000095-jij-pol より

●承諾殺人の夫に猶予判決 奈良地裁支部

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承諾殺人の夫に猶予判決 奈良地裁支部

 奈良県香芝市の山林で7月、病弱な妻=当時(67)=との将来を悲観し、妻の承諾を得て絞殺したとして、承諾殺人罪に問われた住所不定、無職、河内武登志被告(68)に対する判決公判が16日、奈良地裁葛城支部で開かれた。

 榎本巧裁判官は「殺害以外の方法があったと思われ、決して認めることはできない」としたが、「妻は被告人を刑務所に入れることを望んでいないだろうし、被告人も反省している」として、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。

 判決によると、河内被告は、精神疾患などを患う妻との心中を決意し、7月19日午後4時ごろ、同市畑の山林で妻の首をひもで絞めて殺害。自身も自殺しようとしたが死にきれなかった。

(産経新聞) - 10月16日16時40分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061016-00000015-san-soci より

承諾殺人罪は人の承諾を受けて、これを殺害することをいい、刑法202条後段に規定がある。法定刑は通常の殺人罪が「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」となっているのに対して、承諾殺人罪は「6月以上7年以下の懲役又は禁固」と、かなり軽くなっている。このように刑法が承諾殺人について刑を軽くしているのは、被害者の承諾を得てこれを殺す行為は、被害者自身の生命に対する法益の法規を前提としてなされるものであるから、通常の殺人罪よりも違法性の程度が軽く、また、行為者の責任も減軽されうるからである。

さて、記事によれば、被害者である妻は精神疾患などを患っていたという。承諾殺人にいう「承諾」とは、通常の事理弁識能力を有する被害者である人の自由且つ真意にでたものでなければならないとされている。つまり、幼児や精神病者など「生命の放棄・死」の意味を理解することのできない者の承諾は刑法202条にいう「承諾」には含まれない。

では、記事中の妻にそのような事理弁識能力は備わっていたのだろうか。これは裁判所がどのような事実認定を行ったかとも関連するので一概には言えないが、妻の精神疾患の程度が軽ければ刑法202条の「承諾」として問題ないというべきだろう。

●<盗電>イカ釣りの照明に岸壁の水銀灯から 函館の男逮捕

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<盗電>イカ釣りの照明に岸壁の水銀灯から 函館の男逮捕

 イカ釣りに必要な照明器具の電源を得るため、北海道函館市が管理する岸壁の水銀灯から電気を盗んだとして、函館西署は15日、同市内のトラック運転手の男(41)を窃盗容疑で逮捕した。
 調べでは、男は同日午後5時ごろから約40分間、同市浅野町の函館港北ふ頭正面岸壁にある水銀灯の安定器に電気コードを接続。コンバーターで100ボルトから12ボルトに変圧し、12ボルトの80ワット電球2個を付けたさお立てにつないで点灯させ、同市の電気を盗んだ疑い。匿名の通報を受けて署員が現場に駆けつけた。
 男はライトを使ってイカをおびき寄せ、十数匹釣ったという。北海道電力によると、臨時に160ワットの電気を使用する場合、料金は最低単位の1日で約26円。変圧器も電気を消費するため、被害額は若干上回る見通し。
 同署は逮捕した理由について「被害額にかかわらず、手作りのライトを用意するなど計画的で悪質」と説明している。17日に男を窃盗容疑で函館地検に送検する予定。
【安味伸一】

(毎日新聞) - 10月16日14時33分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061016-00000059-mai-soci より

●即決裁判、25分で判決=不法滞在の中国人に有罪-東京地裁

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即決裁判、25分で判決=不法滞在の中国人に有罪-東京地裁

 起訴から14日以内に1回の公判で判決が出される「即決裁判」の審理が16日、東京地裁で開かれ、高麗邦彦裁判官は、入管難民法違反(不法在留)罪に問われた中国籍の女(35)に懲役2年6月、執行猶予5年の判決を言い渡した。開廷から約25分で判決までの手続きを終了した。同地裁の即決裁判では、初の判決。 

(時事通信) - 10月16日12時0分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061016-00000043-jij-soci より

●裁判員裁判60か所で、地裁に加え10支部でも

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裁判員裁判60か所で、地裁に加え10支部でも

 最高裁は、2009年から始まる裁判員裁判を実施する裁判所を、全国50か所の地方裁判所(本庁)と、愛知・岡崎や福岡・小倉など10か所の地裁支部の計60か所とする方針を固めた。

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 制度開始後は、殺人や傷害致死など裁判員裁判の対象となる重大事件は、すべてこれらの地裁・支部で審理されることになる。

 国民が刑事裁判に参加する裁判員制度では、裁判員に選ばれた人が裁判所に出向く時間的な負担を軽減するため、実施場所を出来るだけ多くするのが望ましいが、連日開廷などに対応できる裁判所、検察、弁護士の態勢を整える必要もあり、何か所の支部まで拡大するかが焦点となっていた。

 最高裁は約1年前から検討を続け、各都道府県の県庁所在地などにある50地裁に加え、八王子(東京)、小田原(神奈川)、浜松、沼津(静岡)、松本(長野)、堺(大阪)、姫路(兵庫)、岡崎(愛知)、小倉(福岡)、郡山(福島)の10地裁支部を制度スタート時の実施場所に選定した。

2006年10月15日11時46分 読売新聞)


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061015i303.htm より

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●<多重債務>障害年金標的 クレジット会社立て替え契約で

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<多重債務>障害年金標的 クレジット会社立て替え契約で

 宮城県に住む難病の50代男性が、障害年金を妻の宝飾品購入の返済にあてる立て替え払い契約を、大手クレジット会社から無断で結ばれていたことが分かった。一家は多重債務に陥り、男性は「公序良俗に反する契約」と同社を訴えた。同社は契約を解消し、既に払われた代金も返還した。
 男性は10年前に筋ジストロフィーを発症し、両手足がまひして会社を辞めた。住宅ローンを抱え、2カ月に1度支給される障害年金約27万円で家族5人が暮らしていた。
 昨年9月、男性は妻から、通りがかった宝飾店の店員に指輪を強く勧められ、分割払いで買ってしまったと打ち明けられた。妻は「健康食品の販売を始めたがまだ収入がなく、夫の障害年金だけで暮らしている」と断ったが、店員に「障害年金を支払いに充てればクレジットの審査が通るから大丈夫」と2時間がかりで説得されたという。
 店はこの大手クレジット会社と加盟店契約を結んでいる。妻は店員の指示で契約申込書を書き、夫の勤務先の欄に「障害年金」、収入欄は空白のままにした。クレジット会社は妻に支払い能力があると判断し、手数料を含め72万円を60回で払う契約を結んだ。
 その後も妻は同じ店員に「あなたが売っている健康食品を買ってあげるから」などと次々に購入を勧められ、契約は5点計200万円に上った。妻は宝飾品を一度も身につけることはなく、月々2万5000円の返済に悩んでうつ病になり、入院した。
 契約を知った男性は支払いの継続を拒否し、クレジット会社は妻に残額の返済を求めて提訴。男性は今年5月、同社に損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。6月、同社は男性の主張を受け入れ、代金を全額返還し契約を解消することで和解した。
 割賦販売法で、クレジット会社は顧客の収入などを審査し、支払い能力を超える契約を結ばぬよう定めている。男性の代理人を務める小野寺友宏弁護士は「障害年金を当て込み、その額を聞いてもいない。まともな審査をしたとは考えられない」と話す。一方、この大手は「顧客の収入などを総合的に判断したうえで契約しており、障害年金しかないからといって審査を通さないわけではない。ただ今回の場合、契約者の状況を踏まえ、キャンセルが妥当と判断した」としている。【多重債務取材班】

(毎日新聞) - 10月15日3時7分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061015-00000005-mai-soci より

●50代母、30代娘の卵子で「孫」を代理出産…国内初

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50代母、30代娘の卵子で「孫」を代理出産…国内初

 子宮を摘出して子どもを産めなくなった30歳代の女性に代わり、この女性の卵子を使って女性の50歳代の母親が妊娠、出産していたことを、実施した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が14日、明らかにした。

 祖母が孫を産む形の代理出産で、米英での実施例はあるが、国内では初めて。家族関係が極めて複雑になるだけに、代理出産を巡る議論が再燃するのは必至だ。

 根津院長によると、今回、代理出産に踏み切ったのは、ともに30歳代の夫婦で、妻は結婚後、子宮の摘出手術を受けていた。女性の実母の申し出を受けて2004年、夫の精子と妻の卵子を体外受精させ、受精卵を実母の子宮に移植した。実母が昨春、出産した。母子ともに健康だという。子どもの性別は明らかにされていない。子どもは戸籍上、妻の実母の実子として届け出た後、夫婦の子として養子縁組した。

(読売新聞) - 10月15日10時8分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061015-00000101-yom-soci より

●<静岡民宿殺人>女性経営者に賠償命令 「事件回避怠る」

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<静岡民宿殺人>女性経営者に賠償命令 「事件回避怠る」

 静岡県の民宿で02年に起きた殺人事件を巡り、被害者の男性歯科医と加害者の男の双方と交際していた民宿経営者の40代女性に対し、東京都内の歯科医の遺族が約1億1500万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は13日、6800万円の支払いを命じた。藤下健裁判長は「男がしっと心から凶行に及ぶことを女性は予想できたのに、(民宿の勝手口を)施錠して事件を回避する義務を怠った過失がある」と指摘した。
 判決によると、加害者の50代の男=1審で懲役14年の実刑判決=は02年8月20日未明、女性が経営する静岡県沼津市の民宿に無施錠の2階勝手口から侵入。2階客室に泊まっていた歯科医(当時53歳)を包丁で刺殺した。
 藤下裁判長は「勝手口の無施錠が殺害行為を容易にした」と指摘。事件前の施錠時には男は民宿に侵入しておらず「施錠していれば事件が発生しなかった可能性は十分あった。女性の過失により事件が発生したと言うべきで、加害者の男との共同不法行為に当たる」と判断した。【高倉友彰】

(毎日新聞) - 10月13日22時32分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061013-00000136-mai-soci より