●危険運転致死で男に懲役5年=自殺しようと薬服用-静岡地裁浜松支部
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危険運転致死で男に懲役5年=自殺しようと薬服用-静岡地裁浜松支部
静岡県浜松市で3月、自殺目的で精神安定剤を大量服用後に衝突事故を起こし、女性を死亡させたとして、危険運転致死罪に問われた愛知県新城市の無職谷直樹被告(50)に対する判決公判が17日、静岡地裁浜松支部で開かれ、志田洋裁判長は求刑通り懲役5年を言い渡した。
精神安定剤の服用で危険運転罪が適用されるのは異例。
(時事通信) - 10月17日11時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061017-00000029-jij-soci より
危険運転致死罪は、自動車の危険な運転による死傷事犯を処罰することによって人の生命・身体の安全を保護することを目的とするもので、平成13年の刑法改正で新設されたものである。条文は次のようになっている。
第二百八条の二
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで四輪以上の自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2
人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。
複雑な条文だが整理すれば「酩酊運転致死傷罪」「制御困難運転致死傷罪」「通行妨害運転致死傷罪」「信号無視運転致死傷罪」に区別することができる。
記事で問題となったのは1項前段の酩酊運転致死罪である。ネット上では「飲酒運転であれば危険運転だ」といった類の主張がなされることがあるが、これは条文にそぐわない。飲酒していただけでは「正常な運転が困難な状態」には該当しない。「正常な運転が困難な状態」とは、道路の事情や交通の状況などに応じた正常な運転操作を行うことが精神的および身体的に困難な状態をいい、現に的確な運転操作をすることが困難な心身の状態にあることが必要である。したがって、飲酒により意識が朦朧としていたとか手足がしびれていたといった状態になっていなければならない。軽く一杯あおった程度で死傷事故を起こしたのであれば、刑法211条の業務上過失致死傷罪が成立するにとどまる。