マーケティング・コンサルタント弓削徹 -269ページ目

クーポンのタイムセールス

あなたが飲食店を経営しているなら、集客や販売促進にクーポンの活用を考えるチャンスです。

時間限定、数量限定、さらに地域限定でクーポンをウェブ販売する、というサービスの話です。たとえば、レストランの1万円のディナーを楽しめるクーポンを4,800円で販売する。お客様はお得に食事ができ、レストランは集客やリピートの元を得ることができ、クーポンサイトは手数料がもらえる、というビジネスモデルなのです。

販売されるクーポンの種類は、レストランや遊園地、エステ、スポーツイベント、ゴルフ場などが中心。いずれも原価コストが低いか、お客様が入っても入らなくても維持費がかかる、といったビジネスであると想像されます。

このサービスも、やはりというか、米国発でありまして、元は「GROUPON<グルーポン>」(2008年11月創業)というサイトです。グルーポンは、サービス開始から1年で黒字化し、2年目は推定年商3.5億ドル(約300億円)と、順調すぎる成長を遂げています。これを見て、国内でも2010年に入って同様のサイトが立ち上げられています。ちょっと挙げてみただけでも…

「Piku割」「KAUPON」「ミナワリ」「Qpon」「ニコポン」「クーポッド」「PREPON」「GOTi」などなど
クーポン販売促進ほとんどのサイトがツイッターを活用していますが、「購入者が一定数に達しないと取り消し」という設定のクーポンもありますので、有効に機能しているようです。つまり、「安いからあなたもどお?」とつぶやきが駆けめぐる過程こそが、“バズ・マーケティング”(口コミ)になっているわけです。

こうしたサービスが定着することで、いわゆるフリーペーパーの立場はきびしくなっていくでしょう。「ホットペッパー」や「クーポンランド」などの“リアル”クーポン誌は、即時性、エリア限定特性、決定的販売促進性などの点でかないません。コスト効率も(取材して編集して印刷して配本)、対抗できません。

さらに、同様のサービスサイト同士の競合も、今後は激しくなっていくことでしょう。生き残るためには、店舗から案件を取り付ける営業力と、お客様に認知されて選ばれるための宣伝力が求められます。

強い営業力とテレビCMや販売促進ができる資本力。…リクルートですよね。もしも、後発でリクルートがこのサービスを始めれば、結局は勝者となるのは目に見えています。ホットペッパーとの連動も利用できますしね。

ともあれ、みなさんは「このクーポンサービスを活用することで、ビジネスによい効果をもたらすことができるか」という観点でちょっと考えてみてください。

検索広告のリアル版、登場

こんどは、「フォースクエア ( foursquare ) 」だそうです。

「フォースクエア」とは、mixiのようなソーシャル・ネットワーキング・サービスに位置情報を組み合わせたもので、現在、50万人程度の利用者がいます。サービス開始は2009年、米国です。

利用者は、携帯電話などのモバイル端末で参加でき、駅やレストランなどあらかじめタグのついている場所でアプリを開き、位置情報を発信すると、その場所に「足跡」が付けられ、ポイントを得ることができます。ポイントに応じてバッジのアイコンが発行されたり、「常連」の認定を受けられたりします。

「実際に特定の場所を訪れて…」と聞くと、旅行がてら拠点ポイントをクリアしていく日本の携帯ゲームを思い出しました。フォースクエアでも、ゲーム性と同時に販売促進に活用できる点に注目しています。

たとえば米国のスターバックスでは、「店舗の『常連』にコーヒーを割り引き」というキャンペーンを試行。こうした感覚では、日本の携帯ユーザーのほうがぴんと来るかもしれませんね。最前に書いた携帯ゲームのほか、マクドナルドやTSUTAYAでクーポン利用の経験がありますから。

また、フィナンシャルタイムズでは、若年層(読者として取り込みたい)が多いエリアのカフェを訪れると、有料記事が無料で読めるというプロモーションを実施。もちろん、これら有名ブランドでなくとも、「ウチのカフェに来て」と広告料を払えば、フォースクエアがタグを貼ってくれて、ユーザーが来店してくれる、というわけです。

iPhoneや携帯アプリのような“ネットワーク”の最たるツールで、渋谷や近所のカフェなどリアルな店頭ごとの「お得」が享受でき、小さなお店側も仕掛ける甲斐がある。これはGoogleが検索結果にキーワード広告を掲載するビジネスを始めたときを彷彿させます。あとは、ユーザーが拡大するかどうか、来店の動機付けを強められるかどうか、にかかっていますね。

東京での活用はまだまだこれからですが、そういういまだからこそ取り入れることで取材もあり、「恵比寿の個人店がフォースクエアを活用へ」という記事になる、のかもしれませんよね(2010年6月25日記事の知恵より)。

※実は以前、同じ開発者が同じようなシステムをGoogleに売却しています。しかし、Googleはそれをうまく成長させられなかったようです。

週刊粧業さまに掲載されました

$マーケティング・コンサルタント弓削徹-業界紙掲載

化粧品業界向けの経営コンサルタントの特集があり、ほかの方々とともに掲載されました。

プレスリリース活用術(5)

プレスリリースを誰に送ればよいか、という疑問。

よく、「新聞社、雑誌社の誰宛てに送ってよいかわからないし、PR会社に頼んだ方が確実でしょうか」と質問されます。たしかに業界紙などの場合、取材してくれた記者さんと名刺交換をしていれば、当面はその方へメールを送れば確率は高まります。

しかし、媒体社も異動や退職があって担当者も代わりますから、それらを数十社レベルで追いかけるリストを保有し続けることは現実的にはムリです。PR会社でも、なかなかむずかしいことでしょう。ですので、「部門・部署」は的確にしておかなければいけませんが、それほどコネにこだわる必要はありません。

むしろ、アイデア出しの方が肝心ですね。よい切り口であれば、向こうの方から捜してくれます。そこを、自社商品をよく知らないPR会社にスポットで依頼しても、なかなかいいアイデアは出ません。やはり、あなた自身か、あなたが日頃から相談できるコンサルタントが考えることなのです。

もちろん、基本は正攻法です。つまり、「新製品を発売します」「展示会に出展します」「新技術を開発しました」…というもの。ここに、奇策をからめていくことで相乗効果が生まれます。今回の一連の記事(2)、(3)などで紹介した方法などです。

そのときどきに注目されている流行に盛り込むカタチで製品を紹介するのもいいですね。「…こうした流れの象徴的なものが、この新製品です!」など。新製品発表会にタレントを呼んで取材してもらうやり方は大手では当たり前ですが、広報担当者が「美人過ぎる」というのもありですよね、極端な話。

あとは、書き方。忙しい人たちが相手ですから、だらだら書いても読んでもらえません。簡潔に書く、箇条書きにする、写真を添えるなど、このへんはプレスリリースの書き方の本を読まれたらいいと思います。同じ情報は、ウェブサイトにもきちんとアップしてください。つまり、リリースを集めたページをつくっておくということです。いながらにして最新の情報、写真データなどが取得できれば、記者さんの助けになりますから。

プレスリリース活用術(4)

媒体によって、取り上げたいと考える対照・内容はちょっと異なります。

まず、ワールド・ビジネス・サテライトの人気コーナー、「トレンドたまご」を連想してください。やはりテレビ的というかビジュアル化でき、なおかつ一見して理解できる、といったシンプルさが求められます。午前中のワイドショー、夕方のニュース、「王様のブランチ」なども同様です。

それゆえ、東京スカイツリー人気に便乗して、近所の飲食店が出している「スカイツリーどんぶり」みたいなメニューは、正直なところずいぶん雑な仕上がりですが、すでに数番組で紹介されているようです。

ですので、あなたの商品がビジュアル化による理解を与えづらく、しかしあきらめたくない場合、その商品の使用によって発生する状況や成果を映像化、または数値データ化(グラフ化)する必要があります。

見えづらい商品のひとつといえるIT系サービスでは、そのインターフェイス画面や、サービスによって変わる人の動きを映像化したり、専門家の評価コメントや、イベント・展示会での模様などを映像コンテンツとして残し、提示していくことを心がけるとよいでしょう。

化粧品などでも、肌や髪を健康で美しくする、とうたっていても、即効性を提示できるものではありません。ですので、一定期間のビフォア・アフターを顕微鏡撮影する、大学教授の証言をもらうなどの補強を考えるとよいでしょう。こうしたデータは、もちろんカタログ制作にも再利用できるものです。

一般にテレビは、雑誌や新聞、場合によっては他番組が取り上げ済みの旬の情報を取り上げる傾向があります。これに対して、新聞や雑誌は過去に露出の少ない、新鮮な情報、コアな情報を好んで取り上げる傾向があります。

つまりあなたの会社は、専門誌や業界紙に情報を流して取り上げてもらい、それを一般紙誌に普遍的な切り口で載せてもらって、それを見たテレビ番組に登場してブレイクする、というロードマップが理想となるわけです。この項、ちょっと間をあけて続きます。