天球と地球のp15・16です。
いよいよ、ガリレオの時代には実証できなかった、地球の運動の証拠の話題です。
ガリレオの相対性原理は、厳密に言うと、「等速直線運動をしている世界と静止している世界は、まったく同じ物理法則が成立するので、いかなる物理実験によっても区別できない」ということになります。
地球の自転や公転も、身の回りに見える範囲で考える限り、近似的に等速直線運動とみなせるので、近似的にガリレオの相対性原理が成立します。
しかし、それはあくまでも「近似的に」ということ。
円運動は加速運動なので、静止している世界とは異なる物理法則になります。具体的にいえば、慣性力と呼ばれる見かけの力を使わないと、静止している世界と区別できてしまうんですね。
慣性力というのは、物理を高校レベル以上で習ったことのない人には、理解が難しいかと思いますが、小学校で習う遠心力が慣性力の一種なので、ここではそれで説明しておきます。
すべての「本物の力」は「力を及ぼし合う相手」が存在します。たとえば、リンゴが受ける重力は、リンゴと地球の間で及ぼし合う力なので、リンゴの受ける重力の「相手」は地球です。
ところが、遠心力などの慣性力には、この「力を及ぼし合う相手」が存在しません。つまり、偽物の力なんですね。
台風が渦を巻くのは、慣性力の一種である「コリオリの力」が原因です。コリオリの力は、物体の進行方向から見ると、北半球では右方へ余分に働く「みかけの力」です。
とっぴが偶然思いついた振り子の運動では、地球の自転によって「コリオリの力」が、揺れる振り子を少しずつ、進行方向から右方へ、振動面をずらしていきます。
この現象は「フーコーの振り子」として有名で、科学館などにデモンストレーションの装置が置いてありますね。
そして、これこそが、地球が円運動、つまり加速運動をしている証拠になるのです。
さらに、振り子の振動面の回転は、地球の自転の速さと、振り子を振る場所の緯度に依存しているので、フーコーの振り子の実験を精密にすることで、地球の自転運動について、さまざまな情報が得られます。
フーコー振り子の理論的な解析については、以前、理科サークル「みゃあみゃあ」でやったことがありますので、それが見つかりましたら、後日、別記事にてブログサイトに掲載したいと思っています。
理論的なことをお知りになりたい方は、少々お待ちください。
次回は、いよいよ「天球と地球」最終回です。
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