物理ネコ教室212クーロン力 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 イラストは、クーロンではなく、イギリスのヘンリー・キャヴェンディッシュ(以下、キャベンディッシュと表記)。

 じつは、クーロンの実験と同じ実験、この人の方が先にやっていたんですね。

 まったく同じタイプの装置を使って、万有引力定数の測定もやっています。論文のタイトルは「地球の重さ量り」。うならされるタイトルです。

 他にもたくさんの論文が見つかっていますが、割愛します。

 どれも後世、「○○の法則」と呼ばれるものばかり。

 でも、キャベンディッシュは自分の研究を公表せず、なくなった後、知人が遺品を整理していて論文を見つけ、世に出ました。その論文の価値を認めたのがアイルランドのウィリアム・トムソンとスコットランドのマクスウェル。

 生きている間に論文が公表されていたら、キャベンディッシュの名は高校物理の教科書に燦然と輝いていたでしょうね。 (その代わり、いま「○○の法則」として知られている科学者の名は何人も消えてしまいますが)

 

 では、そのクーロン力のお話です。

 

(ちなみに、物理ネコ教室の記事に書いてあるこれらのトリビア的な話は、実際の授業で話す内容を再現したものです。話し言葉にはしていませんが)

 

 

 

 ぼくのプログラムでは、電気に入る前に万有引力の法則を習っていますので、クーロン力は余裕。キャベンディッシュの万有引力測定装置のことも学習済み。

 

 基本的にクーロンの法則(静電気力の法則)と万有引力の法則は、まったく同じ逆2乗法則です。距離が2倍、4倍になると、力が1/2倍、1/4倍になります。

 

 ただし、クーロン力の測定装置では、教科書には載っていない重要なことがあります。

 それが、1の実験のポイント(3)電荷Qを1/2、1/3倍にするには・・・というところです。

 万有引力の測定では、使用する鉛球の質量を変えるのは簡単です。はかりで量れば正確に1/2、1/3倍にできます。

 しかし、目に見えない電気量を1/2、1/3倍にするのはどうすればいいのか?

 

 新しい物理実験をやれば、かならずぶつかるタイプの問題ですね。

 

 これは必ず生徒に発問しています。

 クラスで何人か、方法を思いつく生徒がいますね。

 

 実際の授業でびっくりするのが、3のクーロン力を使った力のつりあいの問題で、普通につりあいの問題が解けない理系の3年生がいるということです。

 実力のつく学習方法に移行することをしないまま(つまり、定期考査の前だけ集中して勉強し、普段ほとんどやらないまま)3年生になってしまった人たちですね。

 まあ、受験は失敗します・・・自業自得。

 よほど性根を入れ替えて覚悟を決めれば、光明も見えてきますが・・・

 

 4の問題は重要。意外に分からない人が多い。ちょっと考えれば答は出ます。考えてみて下さい。

 静電エネルギーつまり、静電気力による位置エネルギーは、簡単には導出できませんが、同じことを万有引力のエネルギーのところでやっているので、それとの比較で簡単に済ませています。

 とはいっても、忘れている人がちらほらいるので、必殺技の「次元解析」つまり単位で式を予想する、というのを、ここで紹介しなおしています。

 

 力F(N)に距離r(m)をかければ、単位が(Nm)すなわち(J)になります。これはエネルギーUの単位ですから、Uの数式がこれによって予測できます。(符号や、定数はわかりませんが、物理では強力な武器ですね)

 

 実際、逆2乗のクーロン力に距離rをかけると、rに反比例する静電エネルギーの式ができます。

 

 6は積分を使って、これを本格的に導出する内容。オマケでつけてあります。

 

 理系の3年生になると、微分積分を使った方がわかるという生徒も出てきます。本来、物理学は微分積分で表現した方が理解しやすい学問ですから、当然ですが。(ニュートン自身は自分の研究には自分で開発した「流率」という名の微分を用いました。でも、プリンキピアを本にするには微分はいっさい使わず、幾何学を駆使しています。そのおかげで非常に読みにくいんですが、微分の数学的な説明から入ると、他の科学者に読んで貰えなかったでしょうね)

 

 では、書き込んだもので、内容を確認して下さい。

 

 

 実験のとき電気量を1/2、1/3倍にするのは・・・

 

 そう、帯電していないまったく同じ球を用意しておいて、それを1個、あるいは2個、帯電球に接触させればいい。そうすると、電荷が2等分、3等分されます。

 見えない電荷の量を操作する・・・

 なんか、かっこいいですね。

 

 

 5の「保存力のする仕事は経路によらない」という概念は力学で位置エネルギーを考えるときに習う重要な概念ですが、たいていの教科書が強調していないので、ほとんどの人は忘れてしまっています。

 仕事量が経路によらず、出発点と到着点の位置だけで決まるので、その仕事量分を位置エネルギーとして扱うことができるんですね。

 

 では、今回はこのへんで。

 

 

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静電気<物理ネコ教室3年>

211静電気

212クーロン力

 

電場と電位<物理ネコ教室3年>

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217電位

218電場と電位

219静電遮蔽

223静電気の物理量など

224電場演習

 

 

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