イラストはドイツの数学者フリードリッヒ・ガウス。若い頃より、年齢を重ねてからの方が特徴的な顔つきになるのですが、それはまた別の機会に。
なぜガウスなのかは、のちほどわかりますので、そのときに。
ファラデーの電気力線と電場の概念は、マクスウェルがまとめたものとはちょっと違っています。ファラデーは複数の電荷が作る合成電場を実験により直接見て、それを電気力線に表しました。(下のプリントの1-3〜1-6:1-5が実験の写真です)
ファラデーは電気力線がゴム管のようにそれ自体は縮もうとし、お互いは押し合うと考えました。その結果、電気力線の端にある電荷が動く、というところでしょうか。
マクスウェルが加わったことで、電場と電荷のイメージはさらに簡単になり、電荷がまず電場をつくり(1-1や1-2)、そこに別の電荷を置くと、その電荷が電場から力を受ける、と整理しました。
それにより、電場の数学的な定義が可能になり、電荷が電場から受ける力も数式で表せるようになりました。
前回の214電場で出てきたF=qEですね。
とはいえ、やはりファラデーの電気力線はすばらしいイマジネーションの産物で、多くのことを教えてくれます。
プリントでは2の電気力線を「電場ベクトルをなめらかにつないだ矢印」と説明していますが、これは歴史的な経緯とは逆です。ファラデーが電気力線を考え出し、それをマクスウェルが電場ベクトルで再構成したのです。
歴史的な順に教えるのも、時としてはわかりやすいのですが、科学の様々な理論は、実際には非常に特殊で複雑な形で生み出されることがままあります。たとえば、マクスウェルが最初に考えた場の理論は空間にぐるぐる回る架空の渦を想定しています。(現在は使われていませんが、マクスウェルが使った数学記号rot(ローテーション)にその名残があります)
学ぶ人のわかりやすさも考えると、歴史的な順にこだわらない方がいい場合が多いですね。
でも、歴史的な順に学ぶことも、ときには必要。そこには、どうやって新しい法則や現象に気がついたかという、発送の秘密が隠されています。
2の(5)「電気量の等しい電荷に出入りする電気力線の本数は等しい」は、ファラデーの見つけた非常に数学的な性質です。
マクスウェルはファラデーのことを、数式を使っていないだけで、その論文は非常に数学的な発想が使われていると評したことがあります。まさにそうですね。
3の電気力線の定義はマクスウェルによるものですが、これも2の(5)を応用した定義ですね。
3は電場をイメージ的に考える上で、非常に重要な内容です。それも、おいおいわかってくると思います。
ガウスの法則は、ファラデーの電気力線の性質2(5)を数学的に表したものです。
冒頭のイラストでガウスが登場したのは、こういう事情でした。
ファラデーの電気力線の性質が、非常に数学的な発想で見抜かれたものであることがわかりますね。
ガウスの法則は高校生には少し扱いが難しい題材ですが、ファラデーの「電気力線の数と電荷の量が対応している」というのを数式で表しただけだということが理解できれば、さほど難しい理論ではありません。高校では、初等的な数学で計算できる例しか扱いませんから。
ただし、数式に出てくるQが、面が包み込む電荷であることを強調しておかないと、誤解を生むところでもあります。
2の(問)は自力で答えられる人はあまりいませんが、必ず発問することにしています。答えが出なくても、考えること自体に意味があるからです。場のイメージに慣れるための訓練の一つですね。
4の(問)は電気力線の図1-6に関するオリジナル問題です。プリントに書き間違いがあり、「図1-1」は「図1-6」です。プリントには訂正が書き込んでありますが。
ファラデーの電気力線の性質2(5)、すなわちガウスの法則は、図と数学が直結している法則ですので、電気力線の数を数えるだけで、電荷量の比がわかるのです。
ガウスの法則を学ぶ前に、ファラデーの性質2(5)を使う問題を解くことで、ガウスの法則への導入としています。
4は点電荷のつくる電場の式と電気力線の本数の定義3を用いて、電荷から出る電気力線の総数を求め、ガウスの法則の式を完成させます。たった一つの例ですが、こうしてガウスの法則を自分の手で作ることで、難しい理論も簡単に感じられるようになります。
5はガウスの法則の代表的な応用例。高校で登場するのは、これ以外では、後に学ぶコンデンサーの極板電荷のつくる電場を求めるときだけですね。
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