『鐘のひびき』と題された2分ばかしの小品だが、タイトルの通り鐘のひびきをショーロのリズムに乗せて表現している。今では、コンサートのアンコール・ピースとしても耳にする機会もあり、短いながらも楽しい気分にさせてくれる佳品である。
録音は村治佳織が17歳の時に録音した今は懐かしい8mm盤のシングルCDがお薦めだ。まだ幼さが残る彼女の音色ではあるが、若さに溢れた溌剌とした雰囲気が音楽に表出している気がする。
【推奨盤】

村治佳織(G)[1996年1月録音]
【Victor:VIDC-1】
20年以上前、フジテレビ系のスポーツ番組のテーマ曲として使われていた懐かしいマッコイの『消燈(ライツ・アウト)』を紹介する。まだ「夏木ゆたか」と「鈴木淑子」が司会を務めていた某番組で馴染みが深い人も多いだろう。
曲そのものは20世紀初頭にアメリカのアール・エレソン・マッコイが海軍の訓練所のために書いた作品だが、演奏効果に優れ、華麗にして親しみやすい曲調から、スポーツシーンに幾度と登場している。カリフォルニア大学の応援歌としても流用されている曲だ。
ちなみに、吹奏楽ファンや高校野球ファンに馴染みが深い、『アフリカン・シンフォニー』を作曲したマッコイとは全くの別人である。
【推奨盤】
進藤潤/航空自衛隊航空中央音楽隊
【KING RECORDS:KICW 3013】
『武満徹の宇宙』と題されたこのアルバム。東京オペラシティコンサートホールでの開館10周年を記念した公演を収録したもの。今までに数多くの武満の作品が録音され、リリースされてきたが、この録音は実に聴き応え充分。
録音はライブならではの熱気と臨場感に包まれているが、『ジェモー』では一際、その熱気が溢れんばかりに躍動している。録音でこれだけの熱気なのだから、実際のライブでは大変なことになっていたに違いない。フランス近現代をも感じさせる独特の武満のハーモニーを30分の大作『ジェモー』で体感していただけるはずだ。晩年のあまり多くない若杉の録音でもあり、一度は聴く価値のある録音といえる。
【推奨盤】
若杉弘(第1オーケストラ指揮)/高関健(第2オーケストラ指揮)/古部賢一(Ob)/クリスチャン・リンドベルイ(Tb)/東京フィルハーモニー交響楽団[2006年5月録音]
【東京オペラシティ文化財団:TOCCF-10】
どの国にも必ずといっていいほどに「マーチ王」と呼ばれる作曲家がいる。そこで今日はイギリスのマーチ王を紹介する。
日本では行進曲『ボギー大佐』で馴染みが深い、ケネス・アルフォード(1881~1945)である。日本ではその『ボギー大佐』でしか接することがない作曲家ともいえる。ただ、「マーチ王」と称されてはいるものの、オリジナルの行進曲は18曲しか作曲をしていない軍楽隊長なのである。しかし彼の残した数少ない作品はどれも聴き応えのある名作ばかり。今日紹介する『シン・レッド・ライン』はラジオ日本の某スポーツ番組で使用されており、一部のファンだけには馴染みが深い作品かもしれない。ゆったりとした伸びのあるフレーズが特徴といえるアルフォードのマーチの真骨頂といえる作品だ。
吉永雅弘/陸上自衛隊第1音楽隊[2002年8月録音]
【UNIVERSAL:UCCS-1022】