『武満徹の宇宙』と題されたこのアルバム。東京オペラシティコンサートホールでの開館10周年を記念した公演を収録したもの。今までに数多くの武満の作品が録音され、リリースされてきたが、この録音は実に聴き応え充分。
録音はライブならではの熱気と臨場感に包まれているが、『ジェモー』では一際、その熱気が溢れんばかりに躍動している。録音でこれだけの熱気なのだから、実際のライブでは大変なことになっていたに違いない。フランス近現代をも感じさせる独特の武満のハーモニーを30分の大作『ジェモー』で体感していただけるはずだ。晩年のあまり多くない若杉の録音でもあり、一度は聴く価値のある録音といえる。
【推奨盤】
若杉弘(第1オーケストラ指揮)/高関健(第2オーケストラ指揮)/古部賢一(Ob)/クリスチャン・リンドベルイ(Tb)/東京フィルハーモニー交響楽団[2006年5月録音]
【東京オペラシティ文化財団:TOCCF-10】