ショパンが作曲した『子守歌』は、彼の作品の中でも際立って霊妙な作品といえるのが特徴である。主題を転調することなく、装飾音等を用いて16回の変奏を繰り返すもので、霊感に満ち溢れている。
円熟味を増したピリスの録音は、アンニュイに揺蕩う、まさに揺り籠がゆっくりと揺れ動くような自然な音楽進行が耳に心地良い。流石の演奏である。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
マリア・ジョアン・ピリス(Pf)[1998年7月録音]
【DG:457 585-2(輸)】