日本の吹奏楽界におけるポップス・サウンドの大御所、岩井直溥が書いた軽快なマーチ『明日に向かって』を紹介する。彼はもともと、ジャズの世界でトランペットを吹いていたこともあり、このマーチではエイト・ビートで刻まれたジャズの雰囲気を感じることができ、従来の日本のマーチが持つイメージからは大きく飛躍した新しい感覚を覚えさせてくれる。シンコペーションによる独特のリズムもまた、この作品の大きな特徴といえる。

「明るく、楽しい」このマーチは、吹奏楽の定番として広く寵愛され続けている名作といえ、数多の作品を手がける彼の最も代表的な作品として、これからも演奏され続けるだろう。 ここで紹介する録音は一風変わった軍楽隊による録音だ。聴き慣れたサウンドも彼らの手にかかると、少し新鮮に聞こえてくるのが不思議である。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
古荘浩四郎/陸上自衛隊東部方面音楽隊[2004年1月録音]
【UNIVERSAL:UCCS-1058】