こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も2021年のアーカイブというテーマで

 

想像力と発掘良品の発掘⑭

 

というシリーズで選んだ作品について総括してみたいと思います。

 

本日は、本シリーズで選ばせて頂いた29作品のうち、21~29番目までの作品をご紹介させて頂きます。

 

 


 

㉑スキャンダル

 

本作の原題はイタリア語の「SCANDALO」ですが邦題は「スキャンダル」。

ですがキャンダルという邦題の映画は、確認できただけでも8作品もあり混乱してしまうかもしれませんねあせるあせる

 

 

そんな、よくありそうなタイトルが付けられた本作ですが、内容は地獄の熱愛サイコサスペンスともいうべき、あまり類を見ない作品!!

 

 

簡単にストーリーを紹介すると、薬屋を営んでいる裕福な女性エリアーヌが、下働きの男性アルマンと不倫関係になるという、よくありそうな話!

 

映画の冒頭はお色気コメディか、昼メロのような雰囲気ですが、一度関係を持った後も、エリアーヌが夫に何も言っていない事に気づいたアルマンは、それまで尊敬していたエリアーヌの事を、発情した雌犬のような目で見て、平然と彼女に言い寄って来るようになり、二人はスキャンダラスな関係となってゆくのです…

 

↑順風満帆だと思っていた人生が、本当は

 時間を空費しているだけと気づいたエリアーヌ。

 彼女はアルマンに求愛される事で

 心が満たされる事に気づいてしまうのです…

 

 

 

 

 


 

㉒ロマン・ポランスキー 初めての告白

 

本作は場合、2009年から2010年にかけてスイスで自宅軟禁となっていたポランスキー監督のインタビューをベースにしたドキュメンタリー映画。

 

ポランスキー監督は、1969年に起こったポランスキー監督の伴侶であるシャロン・テート氏の惨殺事件と、1977年に少女との淫行の容疑でアメリカで逮捕されて有罪の判決を受けた直後、アメリカから出国したという2つの暗い過去があり、人物評や作品解説をする際にも、注意を要する可能性がある人物。

 

 

ですが我々が認識しているポランスキー監督像は、当時のマスコミになって作られたシャロン・テート殺害の主犯だと断定したような印象操作によるものではないでしょうか?

 

 

本作は、長年彼の事を良く知るビジネスパートナーで映画製作者であるアンドリュー・ブラウンズバーグ氏によって撮られたインタビュー。

 

彼はずっとロマン・ポランスキー監督のそばにいた人物であり、スクープを狙う芸能記者でも、イデオロギーに染まった人権活動家でも、書物などでしかポランスキー監督の事を知らない映画評論家でもない、友人としての眼差しでポランスキー監督へのインタビューを行い、ポランスキー監督もまた、できるだけ彼に自分の想いが伝わるよう話を続けているのです…

 

↑スイスで新しい妻子と暮らしていたポランスキー監督。

 彼は果たして収監されてしまったのでしょうか?

 

 

 

 

 


 

㉓映画と恋とウディ・アレン

 

本作は、あのウディ・アレン監督の経歴と時代毎の代表作をウディ・アレン監督自身が解説してゆくという、とっても豪勢なドキュメンタリー作品!!

 

前後編のボリュームがある180分の長編ドキュメンタリー作品ですが、前半では、生い立ちからコメディ映画監督時代、そして「アニー・ホール」のダイアン・キートンとの関係を経て、繊細な心の動きを描ける監督となってゆくまでの人生を、そして後半では、ミア・ファローをパートナーとして、彼女の知られざる才能を開花させながらも離婚に至る経緯と、その後の作品群について詳細に語ってくれています。

 

↑例え宇宙人が来襲しても映画を撮り続ける。
 それがウディ・アレン監督の選んだ人生なのだと思います…

 
 

 

㉔ロバート・アルトマン
ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男

 

本作の原題は「ALTMAN」!!

 

邦題の「ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」という長いタイトルに比べると、シンプルでカッコいいタイトルですね😘

 

 

本作はタイトル通り、ロバート・アルトマン監督の人生を描いた映画であり、ロバート・アルトマン監督自身の言葉や、家族へのインタビューなどから、映画評論家などが解説するアルトマン像とは全く異なった実像に迫ろうとする作品!!

 

 

そんなロバート・アルトマン監督の作品は、彼の脳内で作品として構成されたものが映像化される、余人には作る事でできない映画ばかり!!

 

確固たる意志を持って作られた作品は、必ずしも大衆に望まれる作品とはならないからこそ、ロバート・アルトマン監督の晩年は、その才能を惜しまれながらもハリウッドの大作を撮る機会を得る事なく終わりを遂げてしまいます…

 

真の才能ある芸術家とは、死後、正しく作品としての評価がなされるものなのです!

 

↑本作の冒頭は砂上の城の映像。

 みんなに注目されつつも、翌日には忘れられる

 砂上の城のようなアルトマン監督の作品ですが…

 

 

 


 

㉕サム・ペキンパー 情熱と美学

 

「ワイルド・バンチ」「ガルシアの首」「戦争のはらわた」などで有名なサム・ペキンパー監督の作品はすべて、修羅場に直面しても恐れる事なく戦火の中で斃れてゆく男たちを描いた、とてつもなくハードな"死に様映画"!!!

 

まるで最前線の兵士のように撮影現場で怒鳴りまくるサム・ペキンパー監督は、実際に第二次世界大戦で最前線に立っていた海兵隊出身の映画監督!!

 

 

幼い頃から、守るべきもののために戦う誇りを学び、本当の戦場で人間の生き死にを観て来た、職人気質のドイツ系男子のサム・ペキンパー監督は、映画界に入ってからも、彼の人生で学んできた姿勢を崩さず、自分にしか撮る事ができない"死に様映画"を撮り続ける事となるのです…

 

 

↑サム・ペキンパー監督は1984年に59歳で逝去。
 死因は心不全だったそうです…

 

 

 

 
 

 

㉖ファンタスティック・プラネット

 

本作は、発掘良品初のアニメーション映画。

 

ただしアニメと言っても、子供がみるような作品ではなく、70年代初頭のデストピア的な世界観が伝わって来る、ダーク・ファンタジー!

 

 

虫けらのように必死で生き延びようとして足掻いている人間と、日々空想に耽る巨人が住む世界を舞台にした作品は、圧倒的なチカラを持つ巨人と、非力ながら創意工夫を重ねて行く人間との違いが判明した時、進化や努力する事を忘れた人間の先には、空疎な人生しか待っていない事が理解できるようになります。

 

世界の変化に対応できない生物は、適者生存の理から外れ、滅びてしまっても仕方がないのかもしれませんね…

 

↑瞑想を始めると忘我の境地に至る巨人たち!

 ですが忘我に耽って現実を忘れる種族は

 やかで克己する種族に敗北する事となるのです…

 

 

 

 


 

㉗処刑教室

 

本作の原題は「CLASS OF 1984(1984年の教室)」

 

映画が公開されたのが1982年ですので「今からの2年後の教室」という事になりますね😊

 

 

では1982年頃の学校の教室とは、どんな状況だったのでしょうか?

 

本作は、80年代に世界中に吹き荒れた校内暴力をテーマに、行き過ぎた自由に果てに待っている絶望の世界を描いたデストピア映画なのです!!

 

 

頭の回転が良く、どう立ち回ればよいかを理解している不良少年ステッグマンは、未成年を守る法律について熟知しており、校長や母親には従順な姿を見せる裏で、学生はもちろん教師にまで攻撃を仕掛けて来るのです!

 

↑ですが狡猾なステッグマンは、
 自傷して被害者を装う事を画策し

 新任の教師ノリスを暴力教師として告発!

 邪悪な学生の実態が描かれた作品です。

 

 

 

 
 

 

㉘女子大生・恐怖のサイクリングバカンス

 

本作の原題は「AND SOON THE DARKNESS(そして、すぐに暗闇が)」

 

なんだか意味深なタイトルですが、邦題は「女子大生・恐怖のサイクリングバカンス」というストレートに内容が分かりやすいタイトル!

 

 

ですがなんと本作は、女子大生が登場しない映画!!

 

主人公の女の子は看護師ですので、ロリータ美少女というのも正確な表記ではありません😅😅😅

 

 

なんだか誤解を受けそうな邦題の本作は、知らない土地で不安な気持ちになる感覚を視覚化したサイコ・サスペンス映画の傑作

 

イギリスで看護師をしているキャシーとジェーンは、休日を利用してフランスの地方を自転車で巡るバカンスに向かいましたが、純粋にサイクリングを楽しみたいジェーンと、道中でアヴァンチュールを愉しみたいキャシーとで意見が対立して別れ別れになってしまいますが、土地勘も言葉も分からない外国で独りぼっちになってしまうと、どうなってしまうのでしょう?

 

 

本作でジェーンが体験する恐怖は、暴力的なもではなく、英語のほとんど通じないフランスの地方で体験した様々な不安の種だったのです!!

 

 


 

そんな80年代初頭に作られた本作は、詐欺、インチキ、老人虐待、死体遺棄、危険運転、ヌードシーンなど、2020年代のTVでは絶対に地上波で放送する事ができないようなギリギリ。アウトなギャグが満載のエクストリームなコメディ映画😆

 

↑外に誰かが立っているだけでも怖い!!

 これが"海外で独りぼっち"の恐怖なのです!

 

 

 

 

 


 

㉙グレート・ウォリアーズ/欲望の剣

 

本作は「ロボコップ」や「スターシップ・トゥルーパーズ」を撮られた"残酷上等!"のポール・ヴァーホーヴェン監督の作品!

 

そんな本作はファンタジーではなく、中世の戦場で起こっていた事を忠実に描いた、残酷上等の中世攻城戦映画!!

 

童話やアニメやファンタジーなどで描かれている中世の世界は、お姫様と騎士がプラトニックな恋をしたり、騎士道精神に則った決闘をしたり、攻城兵器を駆使した兵士同士の戦闘などが描かれているものが少なくありませんが、本作の中世は、世俗の欲に塗れた人々が蠢く、中世暗黒時代と呼ぶに相応しいカオスな世界!!

 

 

騎士の鎧を身に纏った兵士と一緒に行動している傭兵部隊に混じって子供や娼婦や司祭まで戦場に同行している戦場は、綺麗なファンタジー映画の中世ではなく、不潔で混沌とした現実の中世!!

 

彼等は生き残るために、そして自分の欲望を満たすために、あらゆる手段を使って勝利を模索し続け、その結果として、文明を発展させていったのです…

 

↑首吊り死体に平然と近づいてゆくお姫様は

 「死体から流れた精液がマンドラゴラを産むの」

 と、無邪気に話しています。
 本作は、死体と疫病と陵辱と妄信が描かれた

 アンチ・ファンタジーなのです!

 

 

 

 

という訳で、ここまでで2021年にご紹介させて頂いた290作全てを改めてご紹介させて頂く事ができました😄

 

2014年からスタートした本ブログも来年で9年目!

 

 

来年も、より良質で分かりやすく映画の魅力を伝えていけるブログを発信できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 

今年もありがとうございました!

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

↑ちょっとだけ来年の予告です😄