こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで

 

スキャンダル(1976)

(原題:SCANDALO)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

スキャンダルがいっぱい!

 

原題はイタリア語の「SCANDALO」ですが邦題は「スキャンダル」。

 

 

ですがキャンダルという邦題の映画は、確認できただけでも8作品もあり、「スキャンダル」というタイトルだけで検索すると、どの作品なのか分からず混乱してしまうかもしれませんあせるあせる

 

↑本作と同年に公開されたジェーン・バーキンの

 「LE DIABLE AU COEUR」という作品の邦題も

 「スキャンダル」ですので、混乱してしまいますね😅

 (DVDは「ジェーン・バーキン in スキャンダル」)

 

 

 

そんな、よくありそうなタイトルが付けられた本作ですが、内容は熱愛サイコサスペンスともいうべき、あまり類を見ないタイプの作品となっているのです…

 

↑本作は、とても怖い恋愛映画なのです…

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ブルジョア女性をモノにし、彼女達のすむ階級へ復讐する下男の行動を描く。

製作はシルヴィオ・クレメンテッリ、監督は「青い体験」のサルヴァトーレ・サンペリ、脚本はオッタヴィオ・ジェンマとS・サンペリ、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、音楽はリズ・オルトラーニが各々担当。

出演はリザ・ガストーニ、フランコ・ネロ、レイモン・ペルグラン、アンドレア・フェレオル、クラウディオ・マルサーニなど。

 

 

階級へ復讐する下男??

 

 

なるほど!そういう観方もできる作品かもしれないですね😉

 

ですが私としては、本作は階級闘争というより、愛という感情の負の側面を描いた恋愛映画ではないかと考えています。

 

 

 

主人公のエリアーヌは、パリで豪華な薬局を経営している大学教授の妻。

 

夫のアンリはエリアーヌの仕事には口出しをせず、エリアーヌも夫の仕事に干渉せず、二人は適度な距離感を持った夫婦関係を維持していたのです😊

 

↑おしゃれなエリアーヌの薬局は大盛況!

 

 

 

ですが、そんなエリアーヌの平穏な日々が、ある日突然破壊されてしまいます!

 

きっかけは、薬局で長年下男として働いていたアルマンが、薬剤師としてエリアーヌの店で働いていたジュリエットと勘違いをして、暗闇でエリアーヌの体を求めた事!

 

ジュリエットは既婚者ですが身持ちが悪く、時よりアルマンとの逢瀬を楽しんでおり、事件が起きた晩も、暗くなった薬局の店じまいをしていたエリアーヌをジュリエットと勘違いしたアルマンが触って来てしまったのです!!

 

驚いたエリアーヌは、アルマンを引っぱたいてその場から逃げ出しますが、一言も言葉を発しなかったのでアルマンはエリアーヌを触ったとは気が付きませんでした。

 

↑言い寄って来たアルマンを叩いて逃げたエリアーヌ!

 

 

下男に言い寄られるなんて信じられないセクハラですね!!

 

エリアーヌは即刻、アルマンをクビにしたの?

 

 

 

 

いいえ。

 

エリアーヌは、翌日何事もなかったようにアルマンと接しますが、ジュリエットと話して、前日の晩に自分が触った女性がジュリエットではなくエリアーヌだと知ったアルマンは、今まで向けた事のない毒蛇のような目つきでエリアーヌを見るようになったのです…

 

↑「昨日は行けなくてゴメンなさいね~」

 「昨日、来なかったのか?」

 

↑「じゃあ俺が触ったのは…ご主人か!?」

 

 

 

ですがどうしてエリアーヌは、アルマンが触って来た事を非難しなかったのでしょう?そして、この後2人は一体どんな関係になって行ったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑(な、なんで奥様は俺の事を叱責しないんだ汗汗

 

 

 

魂を取り戻した後で…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでは映画の冒頭10分の展開!

 

映画の冒頭の雰囲気は、お色気コメディか、昼メロのような展開に感じられるかもしれませんが、エリアーヌが何も言ってこない理由気づいたアルマンは、それまで尊敬していたエリアーヌの事を、発情した雌犬のような目で見て、平然と彼女に言い寄って来るようになり、二人はスキャンダラスな関係となっていきます!!

 

 

ですが仕事も家庭も持ち、何不自由なく暮らしいたエリアーヌは、一体なぜ、アルマンの行為を非難しなかったのでしょう?

 

恐らくですがその理由は、夫アンリとの関係に愛を感じられなくなっていたから…

 

 

 

大学教授のアンリはエリアーヌの仕事に立ち入らない代わりに、劇中でエリアーヌの行動に一切興味を示そうとしません。

 

アンリが仕事の話をするのは娘のジュスティーヌとだけ!!

 

↑日常的な会話は交わしていても、

 仕事には立ち入らないアンリとエリアーヌ。

 

 

狡猾なアルマンは、夫婦の関係を確かめるために、わざと宛名を書いていないラブレターを薬局のドアに挟んでおきます。

 

それを発見したエリアーヌは、血相を変えてアンリにその手紙を見せますが、アンリは「何かの間違いだろ」と言った後で「もし君がアルマンに不満を感じているならクビにすればいいよ」と当事者とは思えない返答をしてしまいます。

 

↑エリアーヌ宛のラブレターを見せても

 たいして関心を寄せず、読書に戻ってしまうアンリ。

 エリアーヌの事かせ心配じゃないの?

 

 

 

そう。

 

人間とは、自分にとって心地よい距離を置いた関係を続けて行くと、他者への愛情や親近感を感じなくなってゆくもの。

 

↑逆にアルマンは、常にエリアーヌの体を求め続けます!

 

 

 

仕事と家庭と資産に恵まれ順風満帆に生きていたと思っていたエリアーヌは、ある日突然、自分の人生がいかに空疎なものだったかに気づいてしまったのです!

 

本作の舞台は、第二次世界大戦開戦直後のパリ!

 

 

 

アンリはラジオでドイツの侵攻情報を耳にしていますが、パリは大丈夫だろうと考え、今まで通りの日々を過ごしています。

 

けれどナチスドイツは、そんなアンリの予想を裏切り、アッという間にパリを占領してしまいます!

 

そしてそれは、これからもずっと問題ないと考えていたエリアーヌとの関係の終焉にもリンクしてゆくのです…

 

↑母の異変に気付き相談し行ったジュスティーヌに

 「今、その話をしなきゃダメか」と無関心を装うアンリ。

 

↑そんな心地よい無関心を求めたアンリですが

 パリも家族も、気が付けば崩壊していたのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

仲間だから語れる事

というテーマで

 

ロマン・ポランスキー 初めての告白

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「ボーイ・ミーツ・ガール」

 

レオス・カラックス監督のパリ三部作の第一作目。

「ポンヌフの恋人」の主人公であるアレックスの心の原風景とは、どんなものだったのでしょう?
 

友人に恋人を取られ絶望したアレックスは、死を決意して夜のパリを彷徨い歩きます。
新しい恋に巡り合っても想いを打ち明けられなくなってしまったアレックスの心は、恋を求めながら、恋を怖れて千々に乱れてしまうのです…