こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘というテーマで

 

ボーイ・ミーツ・ガール

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

カラックス監督の原点

 

レオス・カラックス監督のアレックス三部作と呼ばれている3本の作品がセレクトされているTSUTAYAさんの発掘良品は第33弾なのですが、不思議な事に紹介されている順番は…

 

1.ポンヌフの恋人(1991年)

2.ボーイ・ミーツ・ガール(1983年)

3.汚れた血(1986年)

 

という年代を無視したものとなっていますあせるあせる

 

 

もちろん単に適当に並べただけなのかもしれませんが、もしこれがTSUTAYAさんがお勧めする順番だったとしたら、一体どういう意味があるのでしょう?

 

ですので本日は、作品解説と併せて、アレックス3部作を観る順番についても考えてみたいと思います😊

 

 

 

タイトル

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

失恋した少年と少女との一夜の出会いから思いがけぬ悲劇までを描く。製作総指揮はアラン・ダアン、製作はパトリシア・モラーズ。監督・脚本は「汚れた血」のレオス・カラックスで、本作品が長編第一作である。撮影は「汚れた血」のジャン・イヴ・エスコフィエ、音楽はジャック・ピノーが担当。出演は「汚れた血」のドニ・ラヴァンとミレーユ・ペリエ、キャロル・ブルックスほか。84年カンヌ映画祭ヤング大賞、85年シネデクヴェルト賞を受賞。

 

えっ。

 

ポンヌフの恋人はハッピーエンドなのに、本作は悲劇なの!?

 

 

はい。

 

実はレオス・カラックス監督の恋愛観は、とても破滅的であり悲劇的なもの!

 

前回のポンヌフの恋人だって、ラスト直前までは絶望的に悲劇的な展開ですあせる

 

↑愛する彼女の失明を願うアレックスの想いは絶望的に悲劇的です!

 

 

では、一体なぜポンヌフの恋人はハッピーエンドとなったのか?

 

それは、ミシェルを演じたジュリエット・ビノシュが悲劇的な結末に強く抗議をして、ラストを変えさせたから!

 

当時カラックス監督と交際をしていたミューズの意見によってハッピーエンドとなったポンヌフの恋人は、1992年のヨーロッパ映画賞で主演女優賞、撮影賞、編集賞に輝いただけでなく、ミニシアター系恋愛映画の金字塔となって、今でも多くの方から愛され続けています。

 

↑ハートウォーミングなラストを迎えるポンヌフの恋人

 

 

…では、レオン・カラックス監督の思い描いていたポンヌフの恋人の悲劇的なラストとは、一体どんなものだったのでしょう?

 

 

それを想像しながらボーイ・ミーツ・ガールを観て頂けると、何となくですがカラックス監督の恋愛観が理解できるような気がするのです。

 

 

本作の内容を簡単に説明すると、友人に恋人を取られ絶望したアレックスが、行く当てもなく夜のパリを彷徨い歩き、新しい恋に巡り合うが、その愛もまた成就する事なく、アレックスの心は絶望の闇へと落ちてゆく…というもの。

 

↑アレックスは絶望して夜のパリを彷徨っていきます。

 

 

恋人に裏切られたアレックスは自室の壁の地図に「最初の殺人未遂、83年5月25日」と書き入れて外出しますので、死ぬ気で外へと飛び出し街を徘徊します。

 

↑アレックスが決めた死に場所はセーヌ河の左岸!

 

 

 

街で出会った愛し合う恋人を見つめていても、彼にはそんな愛に巡り合えません。

 

↑手に入らない愛を見つめる虚しさ…

 

 

けれど、街をさ迷った後にたどり着いたマンションで開催されていたパーティの会場で、アレックスは、そこにいたミレーユという哀し気な目をした女性に一目ぼれしてしまうのです!

 

女優を目指してパリに来たミレーユもまた、彼氏と破局したばかり!

 

↑目がうつろなミレーユ。

 

 

パーティ会場から消えてしまったミレーユを探してトイレのドアを開けたアレックスは、そこに自殺しようとしていたミレーユを発見してしまったのです!!

 

↑あっ…

 

 

自殺をしようとしていたボーイと、自殺をしようとしていたガールは、まるで数奇な運命の巡り合わせのように出会う事になったのです!

 

 

 

さて、心に傷を持つアレックスとミレーユは、果たして幸せになれるのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑恋愛で傷ついた2人は結ばれるでしょうか?

 

 

虚無な心

 

本作は、失恋で苦しむアレックスの心の中を描いたような抽象的な世界観が描かれている作品。

 

ですので恐らく、本当に悲しい失恋を経験した事がない方にとっては、何が描かれているのか分からず、意味不明の映画のように感じられるかもしれません…

 

↑絶望を絵に描いたようなアレックスの部屋!

 

 

恋愛を望みながらも、失恋によって傷つき、女性との接し方が分からないアレックスは、最良の恋愛対象になりそうなミレーユとも上手く話す事ができず、二人は相性の良さを感じながらも結ばれる事なく、映画は絶望的なラストへと突き進んでいきます…

 

 

そう。

 

愛というものは、心から望んでいても手に入らず去ってゆくもの…

 

 

本作の恋愛観がレオス・カラックス監督の真意だとするならば、恐らくポンヌフ恋人も絶望したアレックスとミシェルの死で幕を閉じのではないかと思います。

 

↑愛する相手に去られる絶望は死に匹敵するのです!

 

 

ですので、まず最初にポンヌフの恋人を観て、映像の美しさや繊細な心の描き方に興味を持って頂いた方にとって、次に観て頂くべきはレオス・カラックス監督の恋愛観がハッキリ描かれている本作!

 

そして映像美と、恋愛の絶望感が見事に融合した作品として最後にご覧頂くべきなのが、汚れた血というタイトルの最後の一作ではないかと思います。

 

 

 

という訳で次回は

 

美しき絶望

というテーマで

 

汚れた血

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

合格おまけ合格

①愛を知らない人間の絶望を描いた作品に興味がある方へ…
 「バッファロー66」


音譜バッファロー66の回はコチラ

 

②心の中の漆黒の心象風景が映像化された作品に興味がある方へ…
 「イレイザーヘッド」

音譜イレイザーヘッドの回はコチラ

 

③想いを上手く伝えられない感覚が描かれた映画に興味がある方へ…
 「天使の涙」


音譜天使の涙の回はコチラ