こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで

 

ロバート・アルトマン

ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男

(2014)

(原題:ALTMAN)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

タイトルの長短あせるあせる

 

本作の原題は「ALTMAN」!!

 

邦題の「ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」という長いタイトルに比べると、シンプルでカッコいいタイトルですね😘

 

 

ちなみに、ALTMAN=ロバート・アルトマン監督は、発掘良品シリーズでは常連の監督!!

 

これまで「M★A★S★H マッシュ」「ロング・グッドバイ」「ナッシュビル」「ザ・プレイヤー」の4作品が紹介されており、もしこのシリーズがこのまま続くようであれば「プレタポルテ」「三人の女」「ポパイ」「バード★シット」などの作品もセレクトされる可能性が高いのではないかと思います!!

 

↑とっても怖い日常系サイコサスペンス「三人の女」

 

 

 

そんなアルトマン監督の作品は、どれも一言で説明するのが難しい作品!!

 

なぜならば、彼の作る作品は「余人が作る事が叶わないオリジナリティのある作品」ばかりだからなのです😆😆😆

 

↑50年代に書かれたハードボイルド小説を

 1979年を舞台に映画化して

 時代に取り残された男の悲哀を描いた

 「ロング・グッドバイ」は原作と全く違う

 不思議な後味の作品なのですあせる
 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

「M★A★S★H マッシュ」、「ナッシュビル」など、数々の名作を世に送り出したアメリカ・インディペンデント映画の父、ロバート・アルトマン監督の実像に迫るドキュメンタリー。

ポール・トーマス・アンダーソンやジュリアン・ムーアを始めとした関係者の証言に、貴重なアーカイブ映像を交えて、その素顔が明かされてゆく。

 

 

 

う~ん。

 

確かにポール・トーマス・アンダーソンやジュリアン・ムーアは登場していますが、彼等は映画のラストでちょっとだけインタビューら答えているだけですので、彼等を目当てに観ると、ちょっとがっかりするかもしれません…

 

 

本作はタイトル通り、ロバート・アルトマン監督の人生を描いた映画であり、ロバート・アルトマン監督自身の言葉や、家族へのインタビューなどから、映画評論家などが解説するアルトマン像とは全く異なった実像に迫ろうとする作品!!

 

↑アルトマン自身や家族が撮った映像も多数!!

 「さぁ。海の見える自宅をみんな建造だ😄」

 

 

映像の世界へは、運命に導かれるように入っていったアルトマン監督でしたが、当初は映画界ではなくTV番組の製作として業界入りします!

 

ご存知の通り制約が厳しく、個人的な思いを描いた作品を作るのは難しいメディア!!

 

 

ですがそんなTV業界の中でもアルトマン監督は、「コンバット」という戦争英雄譚のドラマで、自分の描きたいテーマを思いっきりぶこんだ回を作ってしまいます!

 

その回の内容は、戦闘によるショックで、精神に異常を期待したアメリカ軍兵士が登場するという、番組の方向性がとは真逆の内容!

 

↑戦闘によって精神に異常をきたした兵士は…

 

↑死んだドイツ兵を弟だと勘違いして話しかけます!

 

 

…こんな展開の「コンバット」をTVで観た、出征兵士がいる家族は凍り付いてしまいますねあせるあせるあせる

 

 

 

けれど、これこそがロバート・アルトマン監督の撮りたかった世界!!

 

批判を受けながらも、映像作家としての評価を得たアルトマン監督は、いよいよ映画の世界へと入っていきますが、そこでも「よくある人気映画」は撮ろうとはしませんでしたあせるあせる

 

戦場における前線兵士たちのグダグダとした日常と隣り合わせと、次々と亡くなってゆく兵士たちの現実を合わせ鏡のように描いた「M★A★S★H マッシュ」や、カントリーの街ナッシュビルに集まって来たミュージシャンたちの様々な人生を俯瞰して描きながらも、カントリーの素晴らしさと、政治家の人気とりなどに利用される下衆な世界を同時に描いた「ナッシュビル」などは、普通のドラマとは全く異なった展開でありながらも、観終わった観客の胸に、ずっと記憶が残り続ける"作品"となってゆくのです…

 

↑当時ヒットしていた戦争映画は勇ましいもの!

 「いや。そういう映画は撮りたくなくってね…」

 

↑アルトマン監督はヒッピー崩れの劇団員が

 ぐだぐだ生活を演じた「M★A★S★H マッシュ」

 「うん。ホントの前線ってこうなんじゃない?」

 

↑「でも、そんな彼等の隣に死が横たわっている。

  そんな作品を撮りたかった」というアルトマン監督

 

 

そんな「M★A★S★H マッシュ」は、アカデミー脚本賞やカンヌ映画祭のバルムドールなど、早々たる賞を受賞しますが、アルトマン監督の作風は、いわゆる"儲かるヒット作"ではないため、作品が評価されているにも関わらず、ハリウッドにおけるロバート・アルトマン監督の居場所は、1980年代以降少しずつ奪われゆく事となるのです…

 

↑カリブの島に村を建造した「ポパイ」は大コケあせる

 本作は未だDVD化されない作品ですね汗

 

 

 

 

さて、他の誰にも真似する事がて゛きない作品を撮り続けたロバート・アルトマン監督の人生は、この後、どうなっていったのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑80年代はエンターテイメント全盛の時代!

 「スーパーマンⅡ」が大ヒットしていた時

 アルトマン監督のスタジオは身売りに!

 ロバート・アルトマン監督の明日はどっちだ!?

 

 

 

亡くなった後、評価される芸術家たち…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ロバート・アルトマン監督の作品は、彼の脳内で作品として構成されたものが映像化される、余人には作る事でできない作品!!

 

↑8分にも及ぶロングテイク(カメラを止めるな!)で

 描かれているのは、自分をコケにしたハリウッドの

 金儲け主義のプロデューサーの内幕という

 余人には絶対作れない作品「プロデューサー」!

 

 

ですがファン・ゴッホやモディリアーニと同様、確固たる意志を持って作られた作品は、必ずしも大衆に望まれる作品とはならないからこそ、ロバート・アルトマン監督の晩年は、その才能を惜しまれながらもハリウッドの大作を撮る機会を得る事なく終わりを遂げてしまいます…

 

↑活動の場をヨーロッパに映したアルトマン監督。

 才能を正しく評価されなずに逝ってしまった

 ゴッホの胸中を描いた「ゴッホ」を撮っていた時の

 アルトマン監督の胸中は…?

 

 

 

そう。

 

真の才能ある芸術家は、死後、正しく作品としての評価がなされるもの!!

 

 

 

砂の上にお城を築いて人々を驚嘆させても、明日には、その城があった事さえ忘れられてしまう虚しさを感じながらも、映画を撮り続けられたロバート・アルトマン監督作品の本当の価値は、今の私たちに届いているのではないかと思います😉

 

↑本作の冒頭は砂上の城の映像。

 注目されるのは一瞬の砂上の城ですが…

 

↑その城があった思い出は、みんなの胸に残ってる!

 それがアルトマン監督の映画なのだと思います😊

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

人生は戦場だ!

というテーマで

 

サム・ペキンパー 情熱と美学

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「ザ・プレイヤー」

 

80年代以降における映画プロデューサーの傲慢な実態を描いた本作は、いくら儲けられるかだけを問うプロデューサーたちによって、映画の質が陳腐化していったハリウッドの実情を描いた、コミカルなサスペンス映画なのです!