こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで

 

ジプシーのとき(1989)

(原題:DOM ZA VESANJE)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

幻想のような現実の話

 

本日の作品は、TSUTAYA発掘良品第32弾にセレクトされている「アンダーグラウンド」という映画を撮瀬れたエミー・クストリッツァ監督の作品!

 

↑「アンダーグラウンド」はこんな映画!

 

クストリッツァ監督は、東ヨーロッパの雰囲気を強く感じさせるファンタジックな作品を得意としていますが、映画で描かれているテーマは、単なるファンタジーではありません!

 

彼は、かつてユーゴスラビアと呼ばれていた国に生まれた亡国の監督!

 

彼が描く世界は、ひょっとしたら今後亡くなってしまうかもしれない、滅びゆく世界をフィルムに焼き付けていくような、歴史遺産的な作品となっているのです😄

 

↑まるで幻想世界のような「アンダーグラウンド」は

亡きユーゴスラビアの記憶遺産のような作品!

 

↑そんなクストリッツァ監督が本作で描いたのは

 私たちが知らいジプシーの人々の生活なのです😊

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

神秘に包まれた流浪のジプシーたちの世界を、一人の青年の成長を通して描いた叙事詩的作品。

監督は「パパは、出張中!」のエミール・クストリッツァ、エグゼクティブ・プロデューサーはミラン・マルティノヴィッチ、製作はミルザ・バシッチ、脚本はエミール・クストリッツァとゴルダン・ミヒッチ、撮影はヴィルコ・フィラチ、音楽はゴラン・ブレゴヴィッチが担当。出演はダヴォール・ドゥモヴィッチ、ボラ・トドロヴィッチほか、リュビシャ・アジョヴィッチなど本物のジプシーが多数参加している。

 

 

この解説は素晴らしいですね😆

 

解説にある通り本作は、ヨーロッパ各国の主要都市で姿を見る事ができるジプシーたちの暮らしや人生観が理解できるようになる、大変完成度の高い叙事詩的な作品!!

 

 

私たちが日本人が知っているジプシーとは、街角で歌やダンスやのじないを披露していたり、子供たちが集団でスリを行ったりする不思議な人たち!

 

他の民族の人たちが店を構えたり、マーケットに出店したりしているのに対して、ジプシーの人たちは、街角や交通機関をうろついて客引きをしている"住所不定な雰囲気"が漂っている謎めいた人たちです汗

 

↑「ホステル」も、東ヨーロッパのスロバキアが舞台!

 突然現れる無表情な子供たちにドキッとしますあせるあせる

 

 

本作の主人公のベルハンは、旧ユーゴスラヴィアのジプシー村で生まれ育った青年。

 

ベルハンは祖母と叔父メルジャンと足の悪い妹ダニラとの4人暮らし。

 

 

一家の生活は楽ではなく、祖母は全く仕事をしないメルジャンに愛想を尽かし、心優しいベルハンに愛を注ぎ込んでいます!

 

↑ほぼ寝たきりのダニラを看病するベルハン。

 

 

けれどジプシーの村には、仕事らしい仕事はなくベルハンも無職!

 

村娘のアズラに恋してるベルハンでしたが、アズラの母は無職のベルハンの求婚を何度も断り、傷ついたベルハンは何度も自殺未遂を繰り返していました…

 

↑「お義母さん、アズラと結婚させて下さい!」

 「はぁ?無職のお前が娘を幸せにでんのかむかっ

 

 

ですがそんなある日、ベルハンの運命を大きく変える出来事が起こります!!

 

イタリアからの遠征を終え、大金持ちになって村に帰って来たアーメドという男の幼い息子が危篤になり、ジプシーの秘術に精通していたベルハンの祖母の手によって一命を取りとめたのです😄

 

↑自家用車を持ち、スーツも着用しているアーメド!

 

↑そんなアーメドの息子の命を救ったベルハンの祖母!

 

 

息子の命を救ってくれた祖母に深く感謝したアーメドは、お礼としてアズラの足を治療するために街の病院へ入院させると言い、ベルリンは一人で病院に行くのを怖れたアズラに付き添って、生まれて初めて村を離れ、アーメドと一緒に外の世界へ出て行く事になったのです!!

 

↑「孫を病院で治療させておくれよ」「わかった!」

 「私、一人で病院に行くのはイヤよあせる

 

↑さらば故郷!

 

 

 

 

さて、果たして村を出たベルハンとアズラには、どんな運命が待っていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑「ベルハン、絶対私から離れないでね…」

 

 

 

継承されない経験の悲劇…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ここまでの展開は映画の1/3程度であり、この後ベルハンは、想像もしていなかったような人生を歩む事となります!

 

 

 

えっ?

 

なんで妹の病院に付き添っただけで運命が変わるの!?

 

 

 

それはもちろん、アーメドが悪い人間だから!!

 

ジプシーの村で生まれ育ったベルハンは、純粋で優しい人間ですが、彼には父母はおらず、祖母や叔父もベルハンに教育を施せるような人たちではありませんので、恐らくですがベルハンは、一般常識は元より文字の読み書きさえ知らない男!

 

↑ベルハンのスキルは七面鳥の羽を上げさせる

  という呪術っぽい事!

 

 

父母から何も伝達されておらず、読み書きさえできないベルハンのようなジプシーの若者は、都会に行っても生活する手段がなく、悪辣なアーメドのようなジプシーの手足となって物乞いや泥棒や売春のような仕事で日銭を稼ぎ、アーメドに養ってもらうしかなかったのです…

 

↑「アーメドさん。妹と一緒にいさせて下さい!」

 「なんでお前の滞在費まで払う必要がある?

  自分の滞在費は自分で稼げ!!」

 

 

そう。

 

教育とは、過去の失敗から積み重ねられた、生きて行くための知恵。

 

 

 

子供の頃に教育を受けるチャンスを失ったジプシーの子供たちは、明日も世界のどこかで、アーメドのような人間に使役され続けているのです…

 

↑ベルハンより幼い子供たちの仕事は物乞い!!

 これがヨーロッパの観光地にいるジプシーの現実あせるあせる

 

 

 

本作は、そんなジプシーたちの地獄の無限ループのような現実と、彼等の生来持っている呪術的な人生観の素晴らしさの両面が描かれた、ジプシーの生き方を知る事ができる傑作映画!!

 

神秘のチカラを内包しながらも、同胞に虐げられ続けるジプシーたちには、一体どんな未来が待っているのでしょうか?

 

↑祖母の力を受け継ぎ、母の霊が見えるアズラと…

 

↑スプーン程度のものを念動力で動かせるベルハン。

 神秘の力を持っているにも関わらず、

 彼等は、絶望的な人生を繰り返していくのです… 

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

レット・イット・ビー

というテーマで

 

黒猫・白猫

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「アンダーグラウンド」

 

無限ループの悲劇を味わっている民族はジプシーだけではありません。

 

本作は、今は亡きユーゴスラビアという国が、消滅へと向かって行く過程をファンタジー映画のよう映像化した亡国の映画!!

 

ユーゴスラビアに住んでいたインテリの思想家マルコと、粗暴な電気工のブラッキーは、どちらも国家のためではなく、個人の欲望だけを追求して騙し合った結果、国の中では争いが絶える事がなく、気が付いた時には国は消滅してしまっていたのです…