こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘というテーマで

 

アンダーグラウンド

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

亡国の監督

 

本作は1995年に作られたユーゴスラヴィアの近代史を描いたフランス、ドイツ、ハンガリー の合作映画。

 

???

 

どうして他国が出資してユーゴスラビアの歴史映画を作ったの?

 

 

 

れそは本作が公開された当時、既にユーゴスラビアという国が消滅していたから!!

 

本作は、ユーゴスラビア生まれのエミール・クストリッツァ監督が描いた、ユーゴスラビア崩壊に至る悲劇をコミカルに描いた、アイロニカルな(皮肉に満ちた)ファンタジーなのです!!

 

↑さぁ、ユーゴスラビアの終わりの始まりだよ~ラブラブ

 

 

 

 アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ問題など、旧ユーゴスラヴィアの混乱の戦後50年の歴史を綴る映像絵巻。監督は「パパは出張中!」「ジプシーのとき」「アリゾナ・ドリーム」のエミール・クストリッツァ。エグゼクティヴ・プロデューサーはピエール・スペングラー。旧ユーゴ出身の劇作家デュシャン・コバチェヴィチの戯曲を基に、彼とクストリッツァが脚本を執筆。撮影のヴィルコ・フィラチ、音楽のゴラン・ブレゴヴィチ、「デリカテッセン」を手がけた美術のミリェン・クチャコヴィチ“クレカ”は、「ジプシーのとき」以来の常連スタッフ。
 中でも音楽は、民族音楽をアレンジしたサウンドが印象的で、また第二次大戦中のドイツで圧倒的な人気を集め、連合軍側でもヒットした『リリー・マルレーン』が挿入曲として使われて実に皮肉な効果を出している。
 出演は、ピーター・ブルックの劇団などで活躍する国際的な名優で、「マハーバーラタ」映画版(NHK教育テレビで放映、LD発売)にも出演した「パパは出張中!」のミキ・マノイロヴィチをはじめ、旧ユーゴ映画・演劇を代表する俳優たち。95年カンヌ国際映画祭で賛否両論を集め、やはり旧ユーゴ問題を背景にしたテオ・アンゲロプロスの「ユリシーズの瞳」を抑えてグランプリ(パルム・ドール)を受賞。96年度キネマ旬報外国映画ベストテン第3位。

 

…う~ん。

 

本差の場合、どうしても解説が長くなってしまいますね。

 

 

けれどストーリーには一切触れられておりませんので、私なりに少し解説を加えさせて頂くと、本作は第二次世界大戦のドイツ占領下、そして戦後、独自の社会主義国家時代、そして国家崩壊期の3部構成で作られた170分の長編映画!

 

 

と言っても本作は史実に基づいた歴史映画ではなく、ユーゴスラビアに住んでいたインテリの思想家マルコと、粗暴な電気工のブラッキーという二人の男が織り成す童話のようなファンタジー。

 

なにせストーリーが進行して間ずっと、謎の楽団がバックで民族音楽を渋さ知らず的な情熱で鳴らし続けているという謎演出なのです!

 

↑これがユーゴスラビアの音楽なんだよ~!

 

 

↑オープニングからバンドは飛ばし続けています!!

 

 

思想家のマルコは、第二次世界大戦中にパルチザンのチトーの部下として働きますが、荒事を実行するのはいつもブラッキー!

 

ブラッキーには政治思想はありませんがカリスマ性があり、ドイツ軍に対しても怒りをむき出しにして果敢に突撃してゆくタイプ。

 

↑誰も俺を止められんぞぉぉぉ!!!!

 

妻がいるのに女優のナタリアと浮気をしていたブラッキーでしたが、ナターリアは強引なブラッキーを敬遠しており、インテリのマルコと結婚したがっていましたが、長男を出産した際に妻が亡くなると、ブラッキーは早速ナターリアと強引に婚約!

 

けれど派手な披露宴を開催していた時にドイツ軍に急襲され、拷問施設へと送られるてしまいます!

 

↑強い電流で拷問されるブラッキー!

 

 

恋の邪魔者がいなくなったマルコとナターリアですが、ブラッキーの力なくしてドイツ軍への抵抗活動はできません!

 

マルコは意を決して一人で拷問施設へ侵入し、敵を倒して重傷のブラッキーを供出して地下室に匿う事にしたのです。

 

 

おお!

 

つまり本作は、マルコとブラッキーの麗しい友情の映画?

 

 

 

…いいえ。

 

 

戦争が終わってもマルコは、地下で療養していたブラッキーにその事を伝えず、地上ではまだドイツ軍がお前を探していると言って騙し、ブラッキーと彼の仲間たちを15年間の間、地下生活を強要し、その間自分とナターリアは救国の英雄として、地上で優雅な生活を送り続けていたのです!

 

↑やあ同士諸君!大戦の英雄であり思想家のマルコです。

 

 

さて一体なぜマルコは、ブラッキーたちに戦争が終わった事を告げずに、自分だけで栄誉を独占していたのでしょうか?そして地下で暮らすブラッキーたちは、どんな生活を送っていたのでしょう?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑ブラッキーたちは地下で一体何をしていたの?

 

 

 

利己的な諍いの果てに…

 

先ほども書きましたが本作は、ファンタジーのカタチを取ったユーゴスラビア崩壊の寓話。

 

↑美しくも哀しい国家崩壊の原因を描く物語…

 

 

主要メンバーのマルコ、ブラッキー、そしてナターリアは誰もが利己的に生きており、それぞれに人生を楽しんでいますが、仲間を想う気持ちや愛国心は決定的に欠落しています。

 

↑ズッ友だけど、お互いを大切にはしてないよ!

 

 

マルコはブラッキーを死んだ英雄に仕立て上げ、彼の雄姿を語る事で人気者となりますが、その栄誉を守るためには、ブラッキーたちを軟禁し続けなくてはなりません。

 

またマルコの妻となったナターリアは、マルコのおかげで豪奢な生活を続けていますが、ブラッキーに嘘をついている罪悪感から酒浸りになって堕落していきます。

 

↑ブラッキーを騙している二人も決して幸せとは言えません…

 

 

そしてブラッキーは、自分から状況を把握しようとせず、地下でひたすら武器を作り続け、仲間と享楽的な日々を過ごしています。

 

↑武器作ってマルコに売ってもらおうぜ!

 

 

そう。

 

国民がこんな状態では、国は良い方向に向きませんあせる

 

 

 

英雄チトーが死んだ後、民族が分裂したユーゴスラビアは内部から崩壊し、1991年に消滅した後も分裂し続けています…

 

↑分裂し続け、もう元には戻らないユーゴスラビア。

 

 

本作のラストは、分裂していく国を象徴するような映像で終わりますが、分裂している土地の上で人々は尚、何が起こっているのかを理解できずに踊り歌い続けているのです。

 

 

何世紀も後、本作は昔話のように語られるのではないでしょうか?

 

昔々、自分勝手な人たちが住むユーゴスラビアという国があったそうな…

 

↑誰も真剣に国を考えず崩壊していった国家。

 


 

 

という訳で次回は

 

一期一会

というテーマで

 

アウト・オブ・サイト

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

合格おまけ合格

①何も考えない人たちによって終焉を迎える物語に興味がある方へ…
 「マカロニ・ウェスタン800発の銃弾」

音譜マカロニ・ウェスタン800発の銃弾の回はコチラ

 

②何も考えない人が考える事で終焉を回避する物語に興味がある方へ…
 「ハイ・フィデリティ」


音譜ハイ・フィデリティの回はコチラ

 

③ひとつの国家が消滅していく過程を描いた発掘良品に興味がある方へ…
 「クンドゥン」

音譜クンドゥンの回はコチラ