こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑭というテーマで

 

死刑台のメロディ(1971)

(原題:SACCO E VANZETTI

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

マイルス・デイビスの曲の映画ではありません…

 

「死刑台のメロディ」と言えば、マイルス・デイビス氏が即興で作った有名な曲を思い出す方もいらっしゃると思いますが、それは「死刑台のエレベーター」という映画の曲と勘違いされたのではないかと思います…

 

↑誰もが一度はイントロを聞いた事がある

 「死刑台のエレベーター」のメイン・テーマはコチラ!

 

 

 

 

本日の作品名は「死刑台のメロディ」!

 

「死刑台のエレベーター」と「死刑台のメロディ」は、混同しやすいタイトルだと思われますが、原題が「SACCO E VANZETTI(サッコとヴァンゼッティ)」という人名にもかかわらず、邦題が「死刑台のメロディ」となっているのは、似たような作品名で観客を惑わそうとしたものではなく、ちゃんとした理由が存在するのです

 

↑こちらも一度は耳にしたことがあると思われる

 「死刑台のメロディ」の主題歌「勝利への讃歌!」

 

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

一九二〇年にアメリカで実際に起った、サッコとバンゼッティ事件の人種的・思想的偏見に満ちた裁判を忠実に映画化した作品。

監督はジュリアーノ・モンタルド、脚本はモンタルドとファブリツィオ・オノフリ、撮影はシルヴァーノ・イッポリティ、音楽は「わが青春のフロレンス」のエンニオ・モリコーネが各々担当。テーマ曲の“サッコとバンゼッティのバラード”と“勝利の讃歌”を、ともにジョーン・バエズが歌っている。

出演は「仁義」のジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョーラ、シリル・キューサック、ロザンナ・フラテッロ、ジェフリー・キーン、ミロ・オシーなど。

 

 

はい。

 

本作は1920年にアメリカで起こった「サッコ・ヴァンゼッティ事件」の顛末を映画化したもの。

 

サッコ・ヴァンゼッティ事件とは、サッコとヴァンゼッティというイタリア人活動家が微罪で逮捕された後に、別の事件の関係者だと断定されて裁判にかけられた事件の事!

 

 

真夜中に仲間たちと一緒にイタリア人の自宅の前をうつろいていたサッコとヴァンゼッティは通報され、その後、電車に乗って逃走していた所を逮捕されてしまいます。

 

↑深夜、電車で逃走していたサッコとヴァンゼッティは

 警察に捕らえられてしまいます!

 

 

 

警察で尋問を受けた2人でしたが、彼等の返答はあやふやな上、二人は銃を所持していたのです!!

 

なぜ、他人のイタリア人の自宅の前にいたのか?

 

イタリア人の家の前にいた彼等の仲間は誰だったのか?

 

なぜ、銃を所持していたのか?

 

 

要を得ない返答ばかりしている2人に不信感を抱いた警察は、彼等が直近に起きた強盗殺人事件の容疑者ではないかという疑惑を抱きます。

 

彼等が逮捕される1ヶ月、製靴工場が5人組のギャング襲われ、多額の現金が奪われた上に、2人が射殺されるという大事件が発生していたのです!!

 

 

事件が起きたのは、彼等が住んでいるマサチューセッツ州!

 

サッコは靴職人ですが、襲われたのも製靴工場!

 

事件当日の彼等のアリバイも判然としません!

 

 

 

警察は彼等を製靴工場襲撃事件の容疑者として再逮捕し、2人は殺人事件の容疑者として裁かれる事となってしまったのですあせるあせる

 

↑突然、殺人事件の容疑者とされ驚くヴァンゼッティ!

 

 

 

さて、果たしてサッコとヴァンゼッティは、殺人事件の犯人だったのでしょうか?そして、彼等は何故、夜中に銃を持って市中をうろついていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑状況証拠だけで殺人事件の容疑者となった

 サッコとヴァンゼッティの運命は!?

 

 

 

サッコ・ヴァンゼッティ事件で考えるべき事…

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、私としては「サッコ・ヴァンゼッティ事件」の裁判の是非や、彼等の有罪・無罪にいては、ここで論じる事は差し控えさせて頂き、2人の置かれていた状況にだけ解説させて頂ければと思います。

 

1920年代に起こっていた問題とは、資本主義に対するアンチテーゼとして共産主義が台頭していた時期!

 

ご存知のようにアメリカは資本主義国家ですので、国家の根幹である資本主義を否定する共産主義に対して敵愾心を持つ人が多くなるのは当然の帰結ではないかと思います。

 

↑映画の冒頭、共産主義のビラを印刷している

 イタリア人移民の住居を襲撃する警察官。

 これは共産主義国家で資本主義を唱える人が

 排除されてしまうのと同じ理屈ですね。

 

 

そんな中、イタリア人移民としてアメリカに入国したサッコとヴァンゼッティは、アメリカの資本主義的な価値観を憎み、共産主義活動に参加していきます。

 

裁判でヴァンゼッティは、当時のアメリカ人の義務であった徴兵から逃れるためにメキシコに一時的に逃亡し、ほとぼりが冷めた頃にアメリカに戻ってきた事を指摘され、自分はアナーキストであると告白します!

 

アナーキストとは、国家を望ましくなく不必要で有害なものであると考える思想の事。

 

 

 

彼の証言は陪審員たちに、他国から移民しながら国民の義務を果たさないどころか、自分の意思に沿わない国家を倒そうとする身勝手な人間であると映ったのだと思われます。

 

 

 

そう。

 

裁判というのは、ロボットのような機械的に結論を出すものではなく、その国に住んでいる人たちが納得できね結論を出すために、人間が人間を裁くものであり、サッコとヴァンゼッティの行動や発言は、多くの国民を納得できるようなものではなかったのです…

 

↑俺はアナーキストだ!アメリカで絶望した!

 良い社会にするため戦っている!!!

 これは普通に暮らす人に反感を感じさせる意見です…

 

 

そして現在アメリカの司法では、保守と革新の立ち位置が逆転し、保守である人間をイデオロギー違いで嫌悪したり、自分たちの思想を押しとおすために、裁判で恣意的な判決を出すようなっているよう見受けられます。

 

 

本作は、無罪かもしれなかったサッコとヴァンゼッティの死刑判決に対して抗議する人たちを描いた「無実の者を裁くな!」という人々の叫びを描いた作品!!

 

↑サッコとヴァンゼッティの死刑に抗議する

 当時の人々が訴えたのは「裁判の公正さ」です!

 

 

ですが残念ながら現代においても、思想の左右に関係なく、自分たちの意に沿わない人間を、あらゆる手段を使ってでも断罪しようとする人々は、存在し続けているのです…

 

↑「死刑台のメロディ」とは「勝利への賛歌」という

 ジョーン・エバンスの歌の事!

 この歌は共産革命を賛美する歌ではなく、

 正当な裁判を受けられなかった2人への鎮魂歌。

 思想は無関係という事をご理解頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

邪悪な存在とは?

というテーマで

 

回転

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★
併せて観たい発掘良品!
「地球爆破作戦」

 

では、人間のイデオロギーを一切排除した国家とは、どんなものなのでしょうか?

 

それは恐らく、コンピュータによって人類が管理された究極の賢人統治社会!!!

 

どちらの未来を選ぶべきなのかは、悩ましいところですね😥