こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と貴君の名は。
というテーマで
劇場版“文学少女”
という映画を
ご紹介させて頂ければと思います。
前回のイノセンスは
様々な格言が引用されている
知性的なアプローチが魅力の作品。
↑えっ、この文章って何!?
というのを観終わってから検証するような
知的なお楽しみがある作品です。
イノセンスの回はコチラ
そして、このような引用が好まれたのが
90年代の風潮でもありました。
豊富な知識を持ち
その知識を引用できる人が優秀
と信じられていた90年代の風潮は
大学教授や評論家などの言葉遣いから始まり
後に映画や音楽やコミックなどの
サブカルチャーにまで広がっていき
引用と修飾(レトリック)だらけの文章や作品が
世の中に溢れまていました。
↑90年代を代表する雑誌「STUDIO VOICE」は
引用とレトリックの洪水のような雑誌。
これを読み解けられるようになれば
ポップカルチャーの最先端を理解できるという
サブカル知識層のバイブルでした。
表紙にも情報がギッシリですね!
けれど、21世紀になって
そんな知識偏重の反動ともいうべき
新しい引用のカタチが生まれてきたのです
\(^▽^)/
このシリーズで
本作品を選ばせて頂いた理由は3つ。
推薦理由①
21世紀に誕生した
観客と感覚を共有できる引用が
なされている映画だから
本作はタイトルからも分かるように
文芸少女が登場するお話。
と言っても、従来のコミックなどによく登場する
本を読んでいる印象だけのキャラではなく
実際に文学を読み
その文章に対する想いを言葉にする
実践型の文学少女です。
↑文学に萌える三つ編み少女の名は天野遠子。
彼女はあまりにも文学が好き過ぎて
好きな文学が書かれた本のページを食べて
作者の文体や内容を
↑ああ、なんて素敵な味のする文学なんでしょう!
…どうかしてますね
(-"-;A
そんな彼女が部長勤める文学部は
部員が彼女と後輩一人だけの弱小クラブ。
けれど彼女は全く気にする事なく
後輩の井上心葉が
彼女のために書いてくれた小説を
読んで食べる日々を送っているのです。
↑本だらけの部室で
井上の小説が書きあがるのを楽しそうに待つ遠子先輩。
これが文学部の活動なのです。
井上は、強引に部員にされた
なんとなく全てに消極的な感じがる男の子。
↑遠子先輩に押し切られて入部した井上くん。
あまり感情を見せない男の子です。
そして本作の主人公はなんと
食べる文学少女の遠子先輩ではなく
地味な井上くんなのです!
井上くんは多くを語らないキャラなので
映画の冒頭では彼のキャラが掴む事ができず
オドオドとした青年という感じなのですが
彼がオドオドとしているのは
彼の過去に起こったショッキングな出来事に
原因があったのです!
↑井上くんの頭の中で繰り返し思い出す
謎の少女の転落!
そんな二人に向かって
ある日、謎の手紙が送られてくるようになります。
そこに書いてあるのは文章ではなく
鳥のような奇妙な怪物の絵。
井上には、それが何の絵なのか
全く理解できませんでしたが
遠子は、その絵が宮沢賢治が書いた
敗れし少年の歌へる
という詩の横に書かれていた落書きだと気づき
井上と一緒に図書館で
宮沢賢治の本を確認しに行きます。
そしてそこで遠子が
宮沢賢治の魅力を語るために
黄いろのトマトという童話を暗唱しはじめると…
突如井上は、真っ青になって
苦しみ始めたのです!
さて、井上は一体なぜ
宮沢賢治を聞いて苦しみ始めたのでしょう?
そして謎の怪物は
何を意味していたのでしょう?
それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。
↑映画の前半、黙ってひたすら苦しんでいる井上。
彼の過去には、一体何が!?
本作はミステリーでもあるので
これ以上の解説は差し控えさせて頂きますが
ストーリーが進むうちに
井上の過去に何があったかだけでなく
なぜ彼は小説が書けるのか?
そして、なぜ小説を遠子先輩以外には見せず
食べて消えてしまうのを許しているのか
という理由も分かってきます。
けれどその間
遠子先輩はほとんど活躍する事がなく
井上の過去を巡って
とても深刻な事態になっていくのです。
けれど、最後の最後に
遠子先輩は全ての問題を
宮沢賢治の銀河鉄道の夜の解説と共に
解決してくれるのです。
↑文学を語りつつ、人生を語る遠子先輩!
遠子先輩は、難しい事は一切言いません。
けれど、彼女の宮沢賢治の解説は
追い詰められていた井上や周囲の人々の心を
優しい光で満たしていくのです。
そう。
単に文学を引用するのではなく
自分なりの解釈で、その魅力を伝えていく!
これが21世紀に起こった
キュレーターやアーカイブという思想に近い
新しい引用の手法なのです!
推薦理由②
知識は他者と共有してこそ
楽しいものである
本作で遠子先輩が紹介してくれるのは
ポール・ギャリコの
スノーグース
宮沢賢治の
敗れし少年の歌へる
黄色いトマト
夜鷹の星
そして
銀河鉄道の夜
文学を愛する遠子先輩の話を聞くと
映画が終わった後に
それらの文学を読みたくなってくる…
そんな文学との新しい出会いを
提供してくれるのが本作の魅力なのです!
↑まるで銀河鉄道の
ジョバンニとカンパネルラのようになって
夜鷹の星を見る遠子と井上。
ああ、なんて素敵な時間なのでしょう!!
この世の全ての作品は
誰かに魅力を伝えてもらえなければ
やがては色褪せ
そして失われてしまいます。
愛する作品を伝えるための引用は
作品がずっと輝き続けられる
魔法のようなものでもあるのです
ヽ(=´▽`=)ノ
推薦理由③
引用によって
作品の魅力を伝える事は
その作品への
最大の貢献になる
↑TVでも放映されていた文学少女ですが
劇場版単独でも十分に楽しめる
完成度の高い映画です。
と言う訳で次回は
せっかくですので宮沢賢治関連で
イーハトーブと
アタゴオル
というテーマで
銀河鉄道の夜
という映画を解説してみたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
↑本作を監督された多田俊介氏は
TVアニメのテニスの王子様や黒子のバスケで
着実に実績を積んでいらっしゃったプロフェッショナル。
そんな実績を認められ、本年度スタートの
「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅」
の監督に就任なされました!
これからのご活躍を期待しております
\(^▽^)/
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