こんにちは。
相性、そんなことを最近考えます。
先日、山中さんが負けましたね。
残念でしたが、なんとなくそうなるような気がしていました。
相手にはパワーと勢いを感じましたが、それ以前に相性かなと。
ファイティング原田VSエデル・ジョフレ戦(古いすか?)を思い出していました。
あれも相性なのかなと。
あなたの相性は合っていますか?
今日の過去問は、平成24年度問18の問題です。
行政処分に関する記述で、最高裁判所の判例に照らし、○×れって問題です。
それでは、早速。
問題
(旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。
正解は?
×
税関長が行うこの通知は、一定の事実を通知するものです。
聞いたことがあると思います。
観念の通知。
事実を伝える、事実を知らせるだけのものです。
ただ、この通知によって、貨物を適法に輸入することができなくなってしまいますよね。
親分が輸入禁制品に該当する貨物だって言ってる訳ですから、下の者が入れてくれる訳がありません。
これ、法律上の効果が生じてしまってますね。
昭和48(行ツ)86 異議申出棄却決定取消 昭和54年12月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
被上告人の関税定率法による通知等は、その法律上の性質において被上告人の判断の結果の表明、すなわち観念の通知であるとはいうものの、もともと法律の規定に準拠してされたものであり、かつ、これにより上告人に対し申告にかかる本件貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものというべきであるから、行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するもの、と解するのが相当である。
処分性があるので取消訴訟の対象になるってことです。
問題
都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。
正解は?
×
用途地域=都市計画法の地域地区の一つで、住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、用途の混在を防ぐことを目的としている。
簡単に言うと住環境を守るために建築を規制するということです。
住宅街にど~んと大きな工場があったら変じゃないですか
国交省のページに以下の内容がありました。
「都市における住居、商業、工業といった土地利用は、似たようなものが集まっていると、それぞれにあった環境が守られ、効率的な活動を行うことができます。しかし、種類の異なる土地利用が混じっていると、互いの生活環境や業務の利便が悪くなります。」
確かにそうかもしれませんね。
本題に戻しまして、この用途地域の指定は行政処分に該当するのかってことですが、これは難しいです。
指定によっては建てられたはずの建物が建てられなくなったりするので建築を予定していた人は困ります。
ただ、判例は不特定多数の者に対する一般的抽象的なものだから取消訴訟の対象となる処分ではないと判断しました。
昭和53(行ツ)62 盛岡広域都市計画用途地域指定無効確認 昭和57年4月22日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所
都市計画区域内において工業地域を指定する決定は、(中略)当該地域内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、その限度で一定の法状態の変動を生ぜしめるものであることは否定できないが、かかる効果は、あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎず、このような効果を生ずるということだけから直ちに右地域内の個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があつたものとして、これに対する抗告訴訟を肯定することはできない。
問題
地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。
正解は?
×
条例の制定行為は処分なのか
処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます。
具体的には、国や公共団体が行う行為で、われわれ国民の権利義務を形成し、その範囲を確定することが法律上認められているものをいいます。
国民の権利義務を形成するもの
↓
この場合の国民は、具体的な個人又は一定範囲の国民を言う
そして、その行為に処分性があるので取消訴訟が提起できる訳です。
この取消訴訟を提起できるのは誰でしょう
処分を受けた人(具体的な個人又は一定範囲の国民)ですよね。
それを裁判で救済できるようにしてある訳なのです。
水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、その地域住民全員に対して影響が及ぶものです。
地域住民全員です。
地域住民全員に対して処分性があるってのは変じゃないですか。
平成15(行ツ)35 給水条例無効確認等請求事件 平成18年7月14日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 東京高等裁判所
抗告訴訟の対象となる行政処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうものである。本件改正条例は、旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって、そもそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく、本件改正条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないから、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないというべきである。
問題
医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。
正解は?
×
最初に病院開設中止の勧告は何なのかを確認します。
行政手続法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~五 略。
六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。
七、八 略。
勧告は行政指導として定められています。
この行政指導は、相手方の国民の任意の協力に基づいて行われるものでした。
それでは処分性はないのかってことですが。
以下の判例です。
ちょっと長いですが参考書などでも紹介されていますね。
平成14(行ヒ)207 勧告取消等請求事件 平成17年7月15日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 名古屋高等裁判所 金沢支部
病院開設中止の勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。そして、いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院で受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになる。このような医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、【要旨】この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。
病院開設中止の勧告は、法律上は行政指導だけど、処分性があるので行政処分に当たると判断しています。
問題
地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。
正解は?
○
条例の制定行為は処分性があるのか
一般的には処分性が認められることはないでしょう。
あくまで一般的な規範を定めるためのものですから。
ただ、この廃止を定める条例の制定行為(本件改正条例)は、保育所の廃止のみを内容とするものでした。
この問題、三問目で見ましたが、その施行によって、保育所廃止の効果を生じさせ、一定範囲の国民に対して影響が出るから処分性ありと判断した訳です。
平成21(行ヒ)75 横浜市立保育園廃止処分取消請求事件 平成21年11月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
本件改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。(中略)以上によれば、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。
今日の判例は有名なものが多く、知っているのがあったんじゃないかと思います。
参考書にも載ってますし、予備校の模試でも取り上げられますから。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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