こんにちは。
今日の過去問は、「取消し」か「撤回」かをきちんと理解してますかって問題です。
実はこれ、私は、試験勉強を始めるまで意識したことがある内容ではなかったんですね。
何でもかんでも取消しって言ってた口です。
違いがあってこそ、問題として成立しますので、この機会にしっかりと理解しましょう。
今日の過去問は、平成20年度問8の問題をやりたいと思います。
本試験では、行政行為の「取消し」にあたるものはどれかと言う問題でした。
何故、取消しか、何故、撤回かの理由を考えて答えを出しましょう。
それでは、早速。
問題
国土交通大臣または都道府県知事は、建設業の許可を受けた建設業者が許可を受けてから一年以内に営業を開始しない場合、当該許可を取り消さなければならない。
正解は?
×(撤回)
今日の問題は、いろんな事案に応じてどちらかを問う問題ですが、その処分に関する個別の根拠法令や事案自体を知っている必要はありません。
問題で問われている取消しと撤回を理解していれば解ける内容です。
最初にそれぞれの違いを見てみましょう。
取消し=行政行為の発生時から存在した原始的な瑕疵を理由として、遡及的に行政行為の効力を消滅させるもの
遡及的にとなっていますので、取消しは、遡及効です。
撤回=有効に成立した行政行為の効力を、その後に発生した後発的な瑕疵を理由として、将来に向かって行政行為の効力を消滅させるもの
将来に向かってとなっていますので、撤回は、将来効です。
違いますね。
ポイントは、取消しは原始的瑕疵、遡及する、撤回は後発的瑕疵、将来に向かってってとこです。
これにあてはめて考えればOKです。
この一問目は、建設業の許可を受けた建設業者が、となっています。
適法に建設業の許可を受けた後に、1年以内に営業を開始していない訳です。
行政行為の成立後の後発的な瑕疵を理由とするものです。
この問題は撤回ですね。
どうですか
理解すると簡単だと思いませんか
引き続き問題を。。。
問題
一級建築士がその業務に関して不誠実な行為をしたとき、免許を与えた国土交通大臣は、免許を取り消すことができる。
正解は?
×(撤回)
内容を理解できれば簡単ですね。
この問題は、一級建築士がその業務に関して不誠実な行為をしたと言うものです。
免許取得後の業務で不誠実な行為と言うことですから後発的な瑕疵を理由とするものです。
これは撤回にあたります。
最初の解説が長かった分、理解できれば解説がありません。
ただ、参考書なんかにも書かれてますが、問題で取消しと書かれていても内容的に撤回ってのもあり得るってところは意識しておかなければなりませんね。
問題
国家公務員(職員)に対する懲戒処分について不服申立てがなされた場合、事案の調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消さなければならない。
正解は?
○(取消し)
この問題のポイントはなんでしょう。
そうですね、懲戒処分です。
懲戒処分を受けるべき事由がない
↓
行政行為成立時からの原始的な瑕疵がある
と言うことは、行政行為の成立時に遡って取消さなければなりませんよね。
行政法学上の「取消し」にあたる肢です。
問題
国土交通大臣は、浄化槽を工場において製造しようとする者に対して行う認定の基準となる浄化槽の構造基準が変更され、既に認定を受けた浄化槽が当該変更後の浄化槽の構造基準に適合しないと認めるときは、当該認定を取り消さなければならない。
正解は?
×(撤回)
この問題はもう解りますね。
許可自体は適法に取得しています。
浄化槽の構造基準が変更された結果、既に認定を受けた浄化槽が当該変更後の浄化槽の構造基準に適合しないものとなっています。
後発的な事由による物です。
と言うことで、撤回です。
どうですか
判断するのはそんなに難しくはないでしょう
きちんと理解していれば問われ方、問題の内容が変わっても対応できますね。
問題
市町村長等は、消防法上の危険物の製造所の所有者、管理者または占有者が、同法に基づき当該製造所について発せられた移転等の命令に違反したときは、当該製造所の設置許可を取り消すことができる。
正解は?
×(撤回)
この問題の取消しの対象となる行政行為は、「製造所の設置許可」です。
そして、「製造所について発せられた移転等の命令に違反した」ことを理由に取消す訳です。
移転してね、ってのを無視でもしてたんでしょう。
ですので後発的な事由です。
これは、許可後の移転等の命令に違反したことを事由として取消すので撤回ですね。
内容を理解すれば、試験会場でも対応はできるはずです。
最後に確認を!
取消し=原始的瑕疵、遡及効
撤回=後発的瑕疵、将来効
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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