こんにちは。
もう三月、早いですね。
今年に入り、この二カ月間で得た知識はたくさんあると思います。
ただ、人間ですからね、忘れることがあります。
もう大丈夫って知識と少しすると曖昧になるものがあるはずです。
少し不安なものを定着させるよう努力しましょう。
今日の過去問は平成25年度問20の問題を○×式でやります。
それでは、早速。
問題
違法な課税処分によって本来払うべきでない税金を支払った場合において、過納金相当額を損害とする国家賠償請求訴訟を提起したとしても、かかる訴えは課税処分の公定力や不可争力を実質的に否定することになるので棄却される。
正解は?
×
今日の五問は最高裁の判例についてのものです。
この問題の内容は理解できますね。
1.違法な課税処分で多く税金を払った。
2.納税者としては返還して欲しいので国家賠償請求を提起した。
3.ただ、この訴えは課税処分の公定力や不可争力を否定することになる。
4.だから棄却だって内容なんですが、最高裁の判断はいかに?
平成21(受)1338 損害賠償請求事件 平成22年6月3日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所
行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては、あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない。このことは、当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており、その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば、結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。そして、他に、違法な固定資産の価格の決定等によって損害を受けた納税者が国家賠償請求を行うことを否定する根拠となる規定等は見いだし難い。したがって、(中略)、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。
国家賠償請求OKって内容です。
問題
自作農創設特別措置法に基づく買収計画が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該買収計画につき取消し又は無効確認の判決を得る必要はない。
正解は?
○
この問題は先ほどの判例で内容は出てましたね。
超有名な判例です。
参考書なんかにも載ってますね。
昭和35(オ)248 宅地買収不服、所有権確認請求 昭和36年4月21日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所 岡山支部
行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない~~~。
国家賠償請求は、民法の不法行為の特別法の扱いで民事訴訟の手続きで行われます。
そして、処分の取消しの訴え(取消訴訟)は、行政事件訴訟です。
訴訟内容が違います。
これ、仮に取消訴訟で取消判決を得ておかなければならない場合、出訴期間が過ぎた場合は、国家賠償請求はできませんよね。
この流れでは、被害者を救済するってことができなくなります。
それぞれ別個独立した異なった訴訟のため、取消訴訟の公定力や不可争力は、国家賠償請求訴訟には影響しない訳です。
そのため取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない訳です。
問題
刑事事件において無罪の判決が確定した以上、当該公訴の提起・追行は国家賠償法1条の適用上も直ちに違法と評価されるが、国家賠償請求が認容されるためには、担当検察官に過失があったか否かが別途問題となる。
正解は?
×
無罪の判決が確定→公訴の提起・追行は直ちに違法?
公訴の提起は、検察官が裁判所の審判を求める意思表示です。
犯罪の嫌疑に相当な理由があったればこその公訴です。
昭和49(オ)419 国家賠償 昭和53年10月20日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所
刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となるということはない。けだし、逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないのであるから、起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるからである。
問題
税務署長が行った所得税の更正が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、国家賠償法1条1項の適用上違法とはされない。
正解は?
○
基本となる前提要件は、公務員に故意・過失がなければ国家による損害賠償責任は認められません。
ようは、税務署長に故意・過失がなければ、国家賠償責任は負わない訳です。
平成3(行ウ)204 源泉所得税納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分取消請求事件 平成5年3月11日 東京地方裁判所 租税
税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法一条一項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けるものと解するのが相当である。
問題
経済政策の決定の当否は裁判所の司法的判断には本質的に適しないから、経済政策ないし経済見通しの過誤を理由とする国家賠償法1条に基づく請求は、そもそも法律上の争訟に当たらず、不適法な訴えとして却下される。
正解は?
×
この問題の結論は却下ではなく棄却です。
国家賠償法上の違法行為として問題を生ずるものとすることは出来ないと判断しました。
つまり、違法かどうかの判断、本案審理をしているので、訴え自体は適法なもので、法律上の争訟には当たるんですね。
昭和54(オ)579 庶民貯金減価損害賠償 昭和57年7月15日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
右上告人らのいう各目標を調和的に実現するために政府においてその時々における内外の情勢のもとで具体的にいかなる措置をとるべきかは、事の性質上専ら政府の裁量的な政策判断に委ねられている事柄とみるべきものであつて、仮に政府においてその判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成することができず、又はこれに反する結果を招いたとしても、これについて政府の政治的責任が問われることがあるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題を生ずるものとすることはできない。
法律上の争訟にはなるけど、棄却された判例ということです。
今日は組合せ問題を○×でやりました。
組合せ問題でしたので○が二つ、×が三つです。
一つ○が出たから後は×って学習はしてませんよね。
一肢ずつ検討して、言える、説明出来ること、アウトプットが大切です。
最後までお読みいただき有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
参考になった場合にポチッとお願いします。
足跡残したるって方はこちらをポチッと。