こんにちは、Greerです。

 改めてですが・・・

 このブログ友人Kの身に実際起こったことをもとに、

 ・ 人物名・地名・などの固有名詞は基本、仮名です

 ・ 起こったことはほぼすべて現実ベースです

 ・ 登場人物の仕事・人間関係は身バレを防ぐための脚色あり

 

で小説形態で書かせてもらっています。

 

方針としてしては

 ・ 情報的な部分はできる限り正確に(老人ホームの料金プランとか)

 ・ コオのサイドから書いているので、小説の形態はとっているが、コオ以外の人物の感情は極力描写しない

 

・・・です。

 

 この週末、仕事のストレスもあったそうですが、Kはまったく外に出ず、部屋に引きこもっていたそうです。

仕事場にもいかないのは珍しいのですが、一つの気づきがあったようです。

ともかく今のメチャくそ動きの激しいRealTimeをあと3回分で収束させて、次のRealTimeに書いておきたいな、と思っています。

 

********************* 

これまでの話

Battle Day0-Day169 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

 

Day170- あらすじ

コオの父は、紅病院から北寿老人保健施設(通称北寿老健)に移った。

父の回復は順調で、カラオケを歌い、写経をし、本を読み、好きだった囲碁にも手を付けるようになっる。離婚後の一人暮らしは孤独であったコオだが、息子たちと訪れた父の施設での夏祭りなど、ひと時、穏やかな時を過ごしていた。1ヶ月がたち、父は自宅にもう戻らず、施設にはいるつもりであることを話し、永住型の施設を探してくれるようにコオに頼む。コオはケアマネージャー・立石に連絡を取り、高齢者住宅専門の業者を紹介してもらい探し始める。その過程で、コオは、父の年金額を知らなければ話をすすめられないと認識するが、莉子を経由しなければならず、いつまでたっても情報は手に入らない。コオは父と同年代の親戚をもつ職場の長田から得た情報をもと検討をつけたところで、コンタクトを取った業者のうちの一つと連絡をとり、候補施設を見学をはじめ、最初の施設で、説明を受ける。

 ****************************

 

 「問題は・・・この月々の支払いの変動部分ですよね?」

 

 2件目の施設に向かいながら、後部座席でコオは言った。

 

 「ええ、お父様は要介護2のご負担3割ですよね?パンフレットに書いてある額は、ご負担2割の場合なんです。ざっと計算して、プラス5万は感が他方がよろしいかと思います。」

 「5万かぁ・・・払えない額じゃないとは思うんですけど、余裕は持たせたいですよね。将来的に要介護度が上がれば月々の支払いも増えるわけだし。いずれにしても年金額が正確にわからないと決められない。」

 

 コオはため息をついた。

 

 「そういう意味で、これから参ります2件目の施設さんは、場所の利便性を考えますと、驚くほど費用が抑えられております。ただ、そのせいもあっていつも空き待ちの方がいらっしゃいまして、今も何人かお待ちです。たとえすぐ入所したい、という希望がございましても対処ができないのが、問題です。」

 

 藤堂はそう言って、2件目の施設に車を滑り込ませた。

 一件目からわずか10分。

 そこら辺のおっちゃんのような、施設長がでてきて、1件目と同じように案内をしてくれる。

 少し、狭い。共用スペースもすべてが少しずつ、狭い。そして、少し、古い。

 それはそうだろう。安いにはそれだけの理由があるのだ。

 値段的には、合格点。それ以外は・・・まぁ、及第点・・・と言っていい気もするが、気に入った、とはいいがたいな・・・というのがコオの印象だった。そもそも、待機人数が5人以上いるらしい。

 一通りの説明をうけ、コオは、急いではいないので、まずは待機待ちの順番に加えてほしい、と頼んだ。

 別のところに決めたらそれを連絡すればいいだけだ。コオは選択肢を増やしておきたかった。

 

 そして、再び藤堂の車に乗り込み、3件目に向かう。

 車の中でコオは言った。

 

 「基本的には・・・お金の都合さえつけば、1件目が、いいなぁって思いました。」

 「嶋崎さん、私は施設を選ぶときに私の中に基準があるんですが・・・」

 

 運転しながら藤堂が言った。

 

 「におい、です。」

 

 ああ、とコオは思った。それはコオが気になっていた事でもあったから。

 

 

 

********************* 

これまでの話

Battle Day0-Day169 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

 

Day170- あらすじ

コオの父は、紅病院から北寿老人保健施設(通称北寿老健)に移った。

父の回復は順調で、カラオケを歌い、写経をし、本を読み、好きだった囲碁にも手を付けるようになっる。離婚後の一人暮らしは孤独であったコオだが、息子たちと訪れた父の施設での夏祭りなど、ひと時、穏やかな時を過ごしていた。1ヶ月がたち、父は自宅にもう戻らず、施設にはいるつもりであることを話し、永住型の施設を探してくれるようにコオに頼む。コオはケアマネージャー・立石に連絡を取り、高齢者住宅専門の業者を紹介してもらい探し始める。その過程で、コオは、父の年金額を知らなければ話をすすめられないと認識するが、莉子を経由しなければならず、いつまでたっても情報は手に入らない。コオは父と同年代の親戚をもつ職場の長田から得た情報をもと検討をつけたところで、コンタクトを取った業者のうちの一つと連絡をとり、候補施設を見学することになる。

 ****************************

 

 「父は、最初の老健入所で個室だったんです。孤独感があって嫌だった、といってました。2回目の大部屋の方がよかったみたいです。ですから、できる限りたくさんイベントがあるような、集まれる場所があるのがいいと思ってます。」

 

 そういったコオに、所長と名乗った女性はカレンダーを見せながら、

 

 「そうですね、毎日、何かしらのイベントは行ってますよ。場所は、皆さんと食事をされる大食堂、もしくはその隣の談話室ですね。」

 

 30日のカレンダーのマス目には、カラオケ、とか習字、とか陶芸教室とか、そんなことが書いてあった。保育園の行事業のようにかわいいイラストが加えてある。

 

 「参加したくなければお部屋にいても構わないんです。参加しませんか、とお声はかけますけどね。陶芸教室など材料費が少しかかるイベントは、少しご負担く場合はあります。リハビリは、老健とはことなりまして、基本的には生活リハビリです。つまり、生活の上での動き自体がリハビリ、という考え方です。食事のたびに部屋から食堂まで歩く、ということ自体がリハビリなんです。ですからリハビリの時間、というのはないですがお声がけして、機能回復訓練室にお誘いすることはできます。基本的には本人のご希望ですけれど。その際はもちろん職員が付き添います。」

 

 少しずつコオはわかってきた。なるほど。

 こういう永住型の老人ホームは、必ず介護者の目があるとはいえ、マンション生活のようなものなのだ。だから基本強制はない。本人の意志が最重要なのだ。

 

 「お父様は、要介護2ですよね。自立歩行も問題ない。でしたら3階ですね。2階は・・・もう少し症状の重い方が入所されてますので。」

 

 特に認知に問題のない入所者と、認知症の入所者はフロアを分けてある。これも基本は3つの施設で同じだった。

 車いすの通れる広い廊下。少し古いが清潔感のある建物。なにより、コオは介護職員の人たちの雰囲気がいい、と感じたのでこの1番目の施設はとても気に入った。

 次は、かかる費用の説明を受けた。

 この日は3つ、また後にコオはいくつかの施設を見学することになるのだが、基本的に費用のパターンは施設ごとに2つのプランをもっていた。

 

 プランA: 月々の支払 XX 万円+オプション(医療費、おむつ代、有料イベントへの参加費)

 プランB: 前金 + 月々の支払〇〇万円 +オプション(医療費、おむつ代、有料イベントへの参加費)

 

 さて、AとBの月々の支払額は大きく異なる。例えばこの一つ目の施設では5万円ほどBプランの方が安い。

 けれど、前金は300万円だ。

 通常前金300万円は5年をかけて償却される。月当りにするなら5万円。

 つまり最初の5年だけを考えるなら、A,Bプランともに、結局、月の支払額は変わらない。

 しかし、その後6年目からも月の支払額は変わらないので、長く入所が見込まれる場合はBプランの方が断然安いということになる。ちなみに、万が一5年以内に入所者が亡くなったりした場合は、前金分は入所期間分を相殺し、戻ってくることになっている。

 

 どちらを選んでも、結局は一緒なのだが、それは支払いの出所がが同じ場合だ。

 コオは月々の分は基本は父の年金から、と考えていたので、父の無理がない支払を考えるのなら、自分と莉子が前金を出すのがいいだろうと考えていた。

 そう、その時はまだ、コオはそう考えていたのだ。貯金を吐き出すのはきついけれど、父の面倒を5年見てもらえる分だと思えば妥当な額だろう。子供が小さかった時にかかった保育園代の額を思い出しながら、コオは思った。

 オプションは、今の父の状況ならば月1万円みれば十分。不慮の医療費も考えた方がいいだろうが、それは仕方のない部分だ。自分の支払いが一番多くはなるだろうが、莉子から少し、と父の貯金で何とか賄えないことはないだろう。

 高額医療費助成を使えば、返ってくる分だってある。

 

 (いずれにしても最終的には父の年金額を知らなければならないけど)

 コオは忙しく頭の中で計算をしていた。

 

 

 

 

********************* 

これまでの話

Battle Day0-Day169 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

 

Day170- あらすじ

コオの父は、紅病院から北寿老人保健施設(通称北寿老健)に移った。

父の回復は順調で、カラオケを歌い、写経をし、本を読み、好きだった囲碁にも手を付けるようになっる。離婚後の一人暮らしは孤独であったコオだが、息子たちと訪れた父の施設での夏祭りなど、ひと時、穏やかな時を過ごしていた。1ヶ月がたち、父は自宅にもう戻らず、施設にはいるつもりであることを話し、永住型の施設を探してくれるようにコオに頼む。コオはケアマネージャー・立石に連絡を取り、高齢者住宅専門の業者を紹介してもらい探し始める。その過程で、コオは、父の年金額を知らなければ話をすすめられないと認識するが、莉子を経由しなければならず、いつまでたっても情報は手に入らない。コオは父と同年代の親戚をもつ職場の長田から得た情報をもと検討をつけたところで、コンタクトを取った業者のうちの一つと連絡をとり、候補施設を見学することになる。

 ****************************

 

 さて、この日コオが見学した施設は3つ。うち2つは経営母体が同じ会社だった。

 とはいえ、このレベルの(つまりコオのつけた予算内)に入る部屋というのは、大体似たようなものだったのでここでいったん紹介をしておく。

 まず、永住型の老人ホームはある意味リハビリ病院の一形態ともいえる老人保健施設とは異なっている。生活の場であるので基本個室だ。これはコオは最初に強調された。

 それはコオが”父にはリハビリをしてほしい”と最初に言ったからだろう。老人ホームは、介護職員の目の届く生活の場であって、病院ではないのだ。ただし、機能回復訓練室、という名前のスペースはどこもあって、本人がやろうと思えばリハビリ的なことは可能だ。いってみればマンションにジムがついているようなものだと思えばいい。使うか使わないかは本人次第。

 

 挿入画像は実際の高齢者住宅の間取りの一つだ。部屋は介護ベッド(入口ー窓側という方向に設置される。)と、トイレ、洗面台、わずかな収納場所がデフォルトで備えてある。もちろんバリアフリー。多少の部屋の広さの差はあるのだろうが、16-19平方メートル程度。トイレは基本車いすでも入れるサイズ。これは3施設とも共通。1番目の施設はウオシュレットが標準装備。3番目は購入してくれ、と言われた。テレビが標準で備え付けてあった施設も一つはあったと思う。入居者たちは自分の自宅から思い思いのものを持ってきて部屋にいれており、それなりに自分の空間を作っていた。

 

 結局のところ、施設の新しさで個室自体はさほど変わらない、というのがコオの印象であったが、違いが出るのはそれ以外だった。

 

 

 

********************* 

これまでの話

Battle Day0-Day169 のあらすじは、以下のリンクをご覧ください、

登場人物は右サイドに紹介があります、

 

Day170- あらすじ

コオの父は、紅病院から北寿老人保健施設(通称北寿老健)に移った。

父の回復は順調で、カラオケを歌い、写経をし、本を読み、好きだった囲碁にも手を付けるようになっる。離婚後の一人暮らしは孤独であったコオだが、息子たちと訪れた父の施設での夏祭りなど、ひと時、穏やかな時を過ごしていた。1ヶ月がたち、父は自宅にもう戻らず、施設にはいるつもりであることを話し、永住型の施設を探してくれるようにコオに頼む。コオはケアマネージャー・立石に連絡を取り、高齢者住宅専門の業者を紹介してもらい探し始める。その過程で、コオは、父の年金額を知らなければ話をすすめられないと認識するが、莉子を経由しなければならず、いつまでたっても情報は手に入らない。コオは父と同年代の親戚をもつ職場の長田から得た情報をもと検討をつけたところで、コンタクトを取った業者のうちの一つと連絡をとり、候補施設を見学することになる。

 ****************************

 

 「本日は、お父様のご自宅に近い順番で回らせていただこうかと思います。最初の施設は、食事が非常にこだわっている施設で、試食ができます。二つ目はそこにごく近いところにあります。3つ目がちょっと離れておりまして、バイパス沿いにある施設です。母体は1つ目の施設と一緒なのですけれど、立地の関係でお値段が違います。ここは・・・バスじゃないとちょっと厳しいでしょうかね。」

 「うーん、地図は見ました。私なら自転車コースですけど・・・確かにちょっと距離はありますね。でもバス停は近いんですよね。」

 「さようでございます。ただ、本数があるかと申しますと・・・いかがでしょうか。」

 「父がよく自転車でその辺にあるDIYの店に通ってたから、土地的には一番なじみがあるとは思うんですけどね…」

 

 コオは後部座席から、藤堂と話しながら、ちょっと申し訳ないな、と考えていた。藤堂は大きな道を通っていくのだが、これは幹線なので、ひどく混む。迎えに来て、見学ツアーをして、更にまた職場にまで送ってくれる、と藤堂は言っていた。

 でも、正直言って体は楽で本当に助かる。

 藤堂は、自分はもともと介護の現場にいたのだ、といった。年齢は見た目は30代前半といったところだが、もしかしたらもう少しいってるのか。恐ろしく丁寧な、話し方は、車の中でコオと話していても変わることはなかった。

 

 「ご自宅から、自転車で行ける距離ですか?」

 「少なくとも1つ目の施設は妹でも行けるはずです。3番目は・・・私ならいける。でも妹は嫌がるかもしれませんね。すくなくとも行けない距離じゃないとは思います。まぁ、雨とか降ったらバスの方が便利だし、バス停が近くなら特に問題はないと思います。」

 

 最初の施設についた。コオは扉を開けてもらい、もうすこしちゃんと綺麗な恰好にして来ればよかっただろうか、とふと思った。

 とても新しい、というわけではないが、古い感じもしない。北寿老健と同じくらいの感じだろうか。3階建ての低層。 

 老人ホーム、という感じはしなくて、普通の低層マンションのようだった。

 

 「お待ちしておりました。どうぞ。」

 

 出てきたのは、40代にはなっていないと思われる女性で、その施設の所長、と名乗った。