テイクアウト販売のための安価なソフトを | がいちのぶろぐ

がいちのぶろぐ

環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

NTTの技術者で、現在はアメリカでブロガー、起業家、エンジニアとして活躍しておられる中島聡氏という方のブログが、今日配信のMAG2 Businessに掲載されていた。

 

「コロナから飲食店を救え。世界的エンジニアが始めた画期的な試み」と題されていたので、興味を持って読んでみた。日本でも、間違いなく飲食店は危機に陥っているから。

 

中島氏によれば、今回のコロナウィルスの対応については、「ほとんどの国が医療崩壊を避けるために感染を徹底的に押さえつける戦略に出ている」けれど、これは〝真の意味〟での解決策ではないと言われる。

 

〝真の意味〟とは、「集団免疫を得た結果の収束」であり、「ロックダウンで達成した形だけの収束後も、人々は感染拡大に怯えて生活しなければならない」と書いておられる。

 

 

その通りだと思う。いったんは抑え込んだとしても、どこかに潜伏しているウィルスがまた再発し始めたら、免疫ができていないからまた感染が広がる可能性があることになる。

 

「結果として、ロックダウンの解除後も従来型のバー・レストランのビジネスは非常に厳しい状況に置かれる」ことは、十分に考えられると思う。

 

だからこの先も、「人々はバーやレストランには戻って来ない」ことも十分に考えられる。その結果、「『コロナ後』のレストラン・ビジネスとは、テイクアウトに特化した、キッチンのみのテイクアウト・ビジネスであるべき」だと言われる。

 

 

 

そこまでになるのかどうかは、今の段階ではまだ見通せないけれど、料理をテイクアウトして自宅で食べる、という人が増えることはあり得ることだと思う。

 

日本ではこれまでも所得が増えない中で、外食から中食(惣菜の持ち帰り)が増えるという変化が起こっていた。この傾向が、今後ますます増えて行くことは想像できる。

 

消費不況と言われてきたけれど、あらためて高価な商品を購入することは避け、外食もなお一層手控えるようになれば、消費全体が冷え込むことは仕方がないだろう。

 

そんな時だからこそ、中島氏は「テクノロジーを活用し、不要な接触を排除して安全で効率が良く、作りたての料理が食べられるサービスを、チェーン店ではなくそれぞれのレストランが個性豊かに提供する」時代になるだろうと言われる。

 

そこでソフトウェア技術者として中島氏は、レストランのオーナーが「テイクアウト用のメニュー・ページを作り」、「顧客はそこから食べ物を注文し、クレジットカードで精算も済ませた上で、自ら食べ物を取りに」行くシステムを開発したい、と言われる。

 

このメニュー・ページは「レストランの経営者が誰の助けも借りずに作れるぐらい簡単」なものにした上で、「手数料はクレジットカードの決済に必要な分以外は一切頂かない」という、非営利的な運営を考えておられる。

 

このアイデアはとても素敵なことだと思う。一言で言うなら、簡便なホームページ作りが行えるソフトと、カード払いによる代金決済を組み合わせたシステムだ。

 

「利用者が少なければ、運営費も大してかからない」から非営利事業でも可能だろうし、「利用者が増えたら、そこからビジネスを作り出すことはそれほど難しく」ないということになる。

 

ただこのアイデアはカード決済を前提にしているために、間に立って決済する人(団体)が必要になる。

 

だけど日本では、町のお弁当屋さんやレストランのテイクアウトでは、ホームページを見て発注することもあるが、購入時に現金を受け渡しするのが主流だし、電話注文で配達することも珍しくない。

 

 

 

それらはすべて、相手との金銭的なやり取りについて、注文した客との間に信頼関係があることを前提にしている。

 

注文の料理や弁当を作ったけれど客が受け取りに来ないとか、持って行ったけれど相手がいない、といったことは起こらないことが前提になっている。

 

こういう社会であれば、カードによる事前決済でなくても良いだろうし、現金決済であれば間に立つ人(団体)がいなくても良い。

 

 

 

逆にお節料理などの場合に、事前にホームページから発注してカード決済を済ませたけれど、届いたものがホームページとはかけ離れたひどいものだった、ということが起こったこともあった。

 

このケースでは、注文が多くなって販売側が対応できなくなり、粗悪なものを送ったということだった。そのため、間に立ったシステムの運営会社が、返金する騒ぎになっていた。

 

だから、中島氏のアイデアは悪いものではないけれど、決して目新しいものではないように思える。また客側の支払いはカード決済で担保できても、受け取る料理の中味を担保できるかどうかという問題にもなってくるだろう。

 

さらに「レストランの経営者が誰の助けも借りずに簡単に」メニューを入力できるソフトを作るのだと書かれていた。

 

だがこれも、ホームページ用のフォーマットを作成しておいて、料理写真と内容、価格、アレルギーなどの注意事項を入力できるソフトなら、中島氏のように世界的な技術者が頑張らなくてもできそうに思う。

 

だから、料理のテイクアウトに特化したホームページ作りのソフトを開発し、安価で販売すればそれで済むようにも思う。ホームページを維持管理する費用は発生するけれど。

 

「千本商店街」のホームページに掲載するために、私が取材させてもらった弁当屋さんは、経営者の方がホームページを立ち上げて、写真入りでお弁当の紹介をしておられる。

 

 

 

誰もが簡単に入力できる、フォーマット形式のホームページが安価で手に入れば、日本の場合なら、事前のカード決済でなくてもやって行けるような気もする。

 

ただ、UberEatsなどを使えば配送の費用が高くなるから、事前にホームページから発注して客みずから店に受けとりに来たり、数量がまとまれば配達したりすることも有り得る。

 

いずれにしても、すでにテイクアウト中心に切り替え始めたお店も少なくない。これがいつまで続くかわからないけれど、一度経験してしまえば、店側にはテイクアウトのためのノウハウも蓄積される。

 

だから、あとはホームページのソフトを安価で提供することが、こうした動きを進めるためのポイントになるだろうと思った。