
【スカンダ】
韋駄天は、インドの神スカンダと同一視されています。スカンダという名前の由来は「迸る」や「突進するもの」です。その異名の一つに鳩摩羅「クマラ」というものがあります。鳩摩羅とは、少年や若者という意味です。そのため、スカンダは、少年、青年神ともされています。
スカンダの父は、シヴァで、母は、パールヴァティ、または、ガンガーです。兄には、ガネーシャがいます。一説では、スカンダは、もともと6人だったとされています。ある時、シヴァが神聖な火を放ちました。その火が、6人の赤子になったとされています。赤子たちは、6人の星の女神に育てられました。それらが、合体して誕生したのがスカンダです。そういう理由で、スカンダは、六面十二臂となりました。スカンダには「カールティケイーヤ」という別名があります。カールティケイーヤとは、星の女神たちに育てられたという意味です。
【軍神】
スカンダは、戦争以外のことを考えないストイックな性格だったとされています。そのため、女性を自分の神殿に入れませんでした。ヒンドゥー教では、神の軍の最高司令官とされています。その地位は、インドラから譲られたものです。
もともとスカンダは「スーラパドマ」というアスラの王を倒すために生まれました。「スーラパドマ」は、孔雀や雄鶏に変身したとされています。スカンダは、スーラパドマに勝利し、孔雀を乗り物「ヴァーハナ」としました。時には、その孔雀の背に乗って世界を旅をしたとされています。雄鶏の方は、自分の軍旗としました。
孔雀は、毒蛇「悪」を食べる「勝利する」ことから、勝利の象徴とされています。その美しさから、若さや美の象徴とされますが、派手な見た目から、傲慢や虚栄の象徴ともされました。その孔雀に乗ることには、それらを制御してるという意味があります。
スカンダの武器は、ヴェールと呼ばれる槍です。ヴェールは、パールヴァティのシャクティを槍に変えたものとされています。シャクティとは、神聖なエネルギーのことです。
【仏教】
スカンダは、日本や中国では、韋駄天と呼ばれています。仏教に取り入れられてからは、護法善神とされました。韋駄天は、足が速い神として知られています。それを活かして、釈迦のために食物を集めました。このエピソードが「ご馳走」という言葉の語源になっています。また、釈迦の骨を盗んだ鬼を追いかけて、それを取り返したので、盗難除けの神とされました。韋駄天は、釈迦の大切な骨を守ったことで、お寺全体の守護神ともなっています。禅宗では、寺院の台所の守り神とされ、よく台所に置かれました。
韋駄天は、四天王の1人、増長天の配下です。その増長天の八大将軍の筆頭とされています。通常、韋駄天の仏像は、一面二臂で立ったままの姿勢です。腕は、胸の前で合掌しています。仏像は、道教の神将の影響も受けました。そのため、中国風の甲冑を着ています。
