【ラクシュミ】
 ヒンドゥー教で、最も人気があるとされる女神はラクシュミです。ラクシュミは、美、富、財宝、五穀豊穣、子孫繁栄、幸福などを司るとされています。また、顔立ちがきわめて美しかったので、美人の代名詞とされました。別名を「シュリー」と言います。シェリーとは、吉祥、幸福、繁栄などという意味です。
 ラクシュミは、乳海撹拌の時、ハスの花を持って現れました。そのため、ハスの女神とされています。乳海撹拌とは、乳の海をかき混ぜるという意味です。神々とアスラは、協力して乳海撹拌をし、アムリタという不死の霊薬を得たとされています。誕生したラクシュミは、神々とアスラたちに求婚されました。その中で、夫に選ばれたのがヴィシュヌです。ヴィシュヌは、変身して人々を救う神とされています。ラーマ王子となった時は、ラクシュミもその妻シータ王女となりました。
 ラクシュミは、4本の腕にそれぞれ「ハスの花」「金壺」「果物」などを持っています。「ハスの花」は清浄、「金壺」は豊かさ、「果物」は生命力の象徴です。最後の一本は「与願印」に組んでいます。与願印とは、願いを叶える手の形「ポーズ」のことです。

【信仰】
 インドでは、ラクシュミが最も広く信仰されています。そのラクシュミの祭りが、インド最大の祭り「ディワリ」です。ディワリは、光の勝利を再現した祭りで、インドのクリスマスと呼ばれています。サンタクロースのようにラクシュミが来た家は、幸福になるからです。ただし、清潔な家にしか来ないとされています。
 ラクシュミの姉とされるのが、不幸、貧困の女神「アラクシュミ」です。姉妹は、常にセットとされています。なぜなら、幸福と不幸は、表裏一体だからです。ラクシュミは、インド3大女神とされています。他の2人は「サラスヴァティー」と「パールヴァティ」です。3人は、女神版の三神一体とされています。三神一体「トリムールティ」とは、創造神ブラフマン、維持神ヴィシュヌ、破壊神シヴァという3人の最高神のことです。それぞれ、サラスヴァティー、ラクシュミ、パールヴァティを妻としています。

【吉祥天】
 ラクシュミは、仏教に取り入れられ、吉祥天、「きっしょうてん」「きちじょうてん」と呼ばれました。吉祥とは、繁栄や幸運という意味です。仏教では、吉祥天と毘沙門天が夫婦とされました。毘沙門天を夫にしたのは、属性の類似を重視し、財宝神同士でペアリングさせたからです。
 吉祥天は、如意宝珠という玉を手に持っています。如意とは「意のままに」という意味です。そのため、如意宝珠は、なんでも願いを叶える玉とされています。龍が、よく手に持ったり、口に咥えている玉も如意宝珠です。または、龍の体内にあるともされています。
 吉祥天とよく混同されるのが弁財天です。一説では、その弁財天に七福神の座を譲ったともされてます。七福神は、日本独自の神様の分類の仕方です。吉祥天も入れて、八福神とする場合もあります。その他、福禄寿と寿老人を同一視する場合は、吉祥天も七福神とされました。