読んだり観たり聴いたりしたもの -87ページ目

桜蘭高校ホスト部/葉鳥ビスコ

人気作品みたいで、職場でもしょっちゅう見かける漫画。
ただ、タイトルから安易に想像できる内容が、かなり好みから離れていそうに思われ、開いた事はなかった。
漫画発掘作戦の一環として妻が1巻を借りてきたので、一度目を通しておくのも悪くないだろうと、ご相伴。

やっぱりね、先入観というのはダメだね。
高校に部活として「ホスト部(クラブと読む)」があるという設定一発で引っ張って、イケメンが揃ってて、BLもどきで、女の子がワーキャー言ってるだけの中身のない漫画なんだろう、と思ってた。
実際その通りなんだが、それが素晴らしいギャグマンガとして描かれている、という点が肝。
個人的にはかなり楽しめるタイプの作品だ。

桜蘭高校ホスト部。それは華麗なる遊戯。
超一流の名家資産家の子弟が通う私立桜蘭学院に特待生として通う主人公の藤岡ハルヒ。庶民には腰が引けるような絢爛豪華な環境で貧乏特待生とはよほど図太い性格だな、と周囲から勇者扱いのハルヒは、その通り、上流階級には興味のない、地味でさえないド庶民であった。ある日部屋を間違えて、高等部美麗男子6人が淑女をもてなす遊戯クラブ「ホスト部」へ足を踏み入れてしまったハルヒ。「異界」に驚き慌てて逃げようとしたハルヒは、800万の備品を破損してしまい、弁済のためホスト部に隷属させられてしまう。もっさりメガネ男子を絵に描いたような風貌のハルヒだが、ちょっと磨くと、可愛い系オーラ漂う人気ホストに急変。それもその筈、実はハルヒは女の子。貧乏と何事にも拘らない性格が災いし、男の子っぽく見える格好を選んでいただけだったのだ。そんなハルヒに、ホスト部のキング、須王環は、不覚にもときめいてしまい…。というような出だし。

漫画のレベルとしてはあまり高くなく、ほとんど駆け出しに近い印象。まず読者はそれを乗り越える必要がある。作画スキルは総じて低く、ヨタるキャラ絵もイマイチ。ストーリーもプロットも分裂気味で、ごちゃごちゃしている。
しかし、そんな事お構いなしに突き進むハイテンションギャグが、この漫画の全てであり(というか、この作者の全ての気がする)、他の全ての弱点を補ってあまりあるのだ。どうかこの路線を堅持して欲しいところ。下手に色気を出してストーリーだキャラの掘り下げだ何ぞと背伸びすると、すぐにメッキが剥がれるだろう。また、こういう系統では安易なメタギャグものが多いと思うが、そっちへは走らず、ギャグスタイルとしては実は意外と古風、という点も捨てがたい魅力か。

次巻も楽しみである。

葉鳥ビスコ
桜蘭高校ホスト部

3DS/川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング/任天堂

という訳で、鬼トレDL版、結局古市オンラインで購入。

早速始めたが、まだ日曜にDLしたばかりの2日目。オープンしたトレーニングメニューも少なく、ほんの印象だけ。

メニュー周りは、DSの脳トレより、さらに洗練された印象。社長が訊くでも述べられていたように、極めて辛い鬼トレを、いかに続けてもらうかという腐心が見てとれる。

取り敢えず、CMや体験版でもおなじみの鬼計算をガリガリプレイ。
速い2バックと3バックをいったり来たりで、50代といわれる始末。まあ、そんなもんでしょう。もともと短期記憶系はかなり苦手な分野なので、ここからの這い上がりにむしろ期待したい。
その他の鬼トレメニューでは鬼めくりをプレイ。内容は単なる神経衰弱。これも昔から苦手なので、レベル6で撃沈。
その他、集中時間測定をしたら、30秒台とかなり悪い成績。これも今後に期待。

公式サイトを見ても分かるようにかなりたくさんのメニューがあるようだ。
一応毎日続ける予定ではあるので、一通り種目をこなしたぐらいで、また進捗を報告したい。

家族や鬼トレ仲間と、トレーニング内容を比べられるのは楽しいね。

そういえば、鬼トレの目的の一つに、カルドセプトの戦績向上のため、という事を言っていたと思う。
対戦相手の手札をばっちり覚えておけば、それだけでかなり有利になるからである。
しかし、全く興味なさそうにしていた義弟が、なんと鬼トレDL版を買った事が判明。
ああ、アドバンテージが…。
まあ、実際に効果が出てから嘆けと言う所であるが。

任天堂
東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング

3DSLL シルバーXブラック 購入と引越/任天堂

という事で、妻にプレゼントしてもらった3DSLL、発売日に届きました。
ちょっと別件でバタバタしていたので、あまり触れなかったのだが、取り敢えず印象だけ。

まず、一目で、でかい!というのは当然として、薄い、と感じる。本当は初代とほとんど同じ厚さなのだが、面積が広く角が丸い形状ゆえ、非常にスマートな印象をうける。

液晶は、ひろびろだが、当然ドットも比例して拡大するので、ギザギザした印象を受ける。予想はしていても、それでも、初見では、えっ、こんなにジャギ感があるか…、と若干引いてしまう程。また、コストと消費電力の関係か、液晶の輝度は初代に比べ暗く、色味もすこぶる悪い(特に下画面が顕著)。
画像の高級感、洗練度、という印象では、初代の半分程度の評価だろう。これは正直ガッカリした。

しかし。
しかしである。大迫力で動く3D画面が、すべてを吹き飛ばす。
3Dの見やすさ、有効な画面位置の範囲などはほとんど変わらず残念だったものの、視野角内でぐっと広がったゲーム画面の、素晴らしい没入感と迫力。手持ちのゲームをちょろっとやり直してみたが結構印象が変わる。
とくにマリカ7の迫力は凄い。まるで別のゲームのようだ。あと、パイロットウイングスの飛翔感も増しているし、パルテナのスリルも2割り増しという印象。カルドの細かい文字や絵も凄く見やすい。

これだけで他の全てを許容する。本当に入手できて嬉しいとしみじみ思った。この画像の印象向上には、液晶サイズだけでなく、反射低減もかなり大きいウェイトを占めていると思う。

そのほか、グリップ不要になったのが大きい。マリカ7もパルテナも、本体だけで十分ホールド感が得られるし、操作しやすい。LRボタンは押しやすい。また、家ではこれまで通り別売りの大きなペンを使うとして、外出時には、付属のペンでもそこそこ使いやすいのも嬉しい。

音響は、正直、レベルが2つぐらい落ちた。社長が訊くでも、スピーカーサイズが小さくなったため、と書いてあったが、かなり気になる程度。音も小さくなり、音色のくっきり感が大幅減。まあ、どうしてもという時はヘッドホンでプレイするしか。

今回、初めて3DSの引越操作を行った。
ここで詳しく説明しようと思っていたのだが、何も書くことがないほど、非常に簡単であっと言う間に終わってしまった。
引越元と引っ越し先の本体をフル充電し、ネットに繋いで本体更新で最新化し、本体設定から引越メニューを選択し、あとは画面の指示に従うだけ。
可愛いピクミン達が頑張って、データを引っ越ししてくれる。
引越が終わった新本体は、さっきまで使っていた旧本体、そのまま。アンバサダーソフトも全てあるし、ホームのレイアウトも再現。歩数やゲームコイン、すれ違いなどのデータも完全移行。多分消えたのは、DSiウェアのセーブデータだけだろう。

旧本体は売らずに、妻と二人でプレイしているが1本しかないソフト、例えば、鬼トレやシアトリズムの専用機として使用することにした。やはりカートリッジの入れ替えが必要だと面倒でついつい遊ばなくなってしまうんだよね。
旧本体には愛猫ぶっちゃんの名前を付けて、すれ違いMiiも設定した。今日からすれ違い戦力も増強だ。

3DS/ダウンロード版 販売状況まとめ

さて、いよいよ3DSダウンロード版が発売となった。
これまでのゲーム機のDL販売と大きく異なるのは、データのみのDL販売にもかかわらず、公式webショップだけでなく、「小売店でも販売」する、という点である。
具体的には、eショップでダウンロードする際の16桁コードを入手する方法として、1)小売り実店舗で番号が描かれたカードを購入する。2)ネットショップで番号そのものを購入する(ブラウザに表示されたりメールで送信される)。詳細は公式 を参照の事。

この際に重要な点は、小売価格には小売店の裁量が及ぶ、という点である。eショップで直接ソフトをDL購入する場合には完全に定価であるが、特定の店でコードを購入してDLすれば、安く買える可能性がある。
ダウンロードカードの価格については店舗を回らなければ分からないが、webショップでのダウンロードコードについてはちょっと調べてみた。

ショップ 販売開始 ソフト 小売価格 ポイント 割引率
Joshin ネット 7月25日 Newマリ2 \ 4,580 \ 46 5.5%
鬼トレ \ 3,620 \ 37 5.7%
セブンネット 8月中旬 Newマリ2      
鬼トレ      
TSUTAYA オンライン 7月27日 Newマリ2 \ 4,559 \ - 5.0%
鬼トレ \ 3,609 \ - 5.0%
フルイチオンライン 7月25日 Newマリ2 \ 4,559 \ 46 6.0%
鬼トレ \ 3,610 \ 37 6.0%
ヨドバシ.com 7月26日 Newマリ2 \ 4,800 \ 480 10.0%
鬼トレ \ 3,800 \ 380 10.0%
楽天ブックス 7月28日 Newマリ2 \ 4,800 \ 48 1.0%
鬼トレ \ 3,800 \ 38 1.0%


データは27日~DL開始の28日9時の時点の情報である。新たな販売形式という事で混乱もあるようだ。
例えば、ジョーシンは、すぐに使える300円クーポンが、使えるのか使えないのか。ページを表示させるタイミングによって、使えたり、「完売」になったりしてシステムが安定しない。現在はすべて「完売」で停止しているようだ。

もっと、各社横並びで来るかと思ったが、かなり価格にばらつきがあって面白い。クーポンが使えるのなら最も安いのはジョーシン、ついでヨドバシか。ポイント無用ならツタヤか古市。
個人的には期待していた楽天が安くなくてガッカリである。

今日はLLが届くので、早速引っ越しした後に鬼トレをDLしようと思う。楽しみである。
さて、どこで買うかな~。

スラムダンク 27巻/井上雄彦

前半戦、山王と互角に戦った湘北であったが、いくら花道とは言え、いくら主人公とは言え、やはり相手は、高校王者である。
ぽっと出のチームに、そうそう花を持たせてくれる訳がない。

後半開始早々3Pを決めた山王は、容赦なく湘北を引き離しにかかる。日本一走れるチーム、山王の伝家の宝刀ゾーンプレスが発動し、湘北は満足にボールに触る事すらできない。
開始2分半で、湘北ノーゴールの間に、あっと言う間の14点差を開けられる。
10点台ならまだ粘ろうという気力も出る。しかし20点差が付くと戦意も喪失するだろう。
山王は、全く気を抜くことなく、ここぞとばかりに湘北の息の根を止めに来る。
河田、深津、沢北。超高校級のプレイヤー達がじわじわとその本領を発揮し、赤木をはじめ、湘北メンバーは次々とくずされていく。ついに20点差が開き、後半8分間ノーゴールの湘北は、最後のチャージドタイムアウトを取る。作戦は、花道と木暮の交代。3年の木暮に最後の試合を、という事か。そう思い、悔しさに座る事もできない花道。
しかし、そうではなかった。「私だけかね…? まだ勝てると 思っている のは…」安西先生は、まだ勝ちを諦めてはいなかった。「あきらめたら そこで試合終了 ですよ…?」

安西先生は、花道に試合を良く観ろと言う。山王に押されてリズムをくずしてしまっている湘北。だが、オフェンスリバウンドを花道が取れるなら、山王の得点が消え、湘北の再シュートのチャンスが生まれる。つまり、4点分の活躍ができる。「それが出来れば 君が追い上げの 切り札になる…!!」
再度交代し出場した花道には、もはや迷いはなかった。する事が一つに絞られたからだ。そして一身に背負った控えみんなの期待。こんな風に誰かに必要とされ、期待されるのも初めてだった。
花道には本能的に分かっていた。湘北メンバーが、すでに心の半分以上を「負け」の意識に侵されていた事を。まずそこから何とかしなければ。
花道は司令塔ゴリにいきなりカンチョーをかますと、来賓席に飛び乗り、奇行に驚く会場に向かって大声で宣言した。
「ヤマオーは オレが倒す!! by 天才・桜木!!」

花道の宣言は実を結ぶのか。次巻非常に楽しみである。

スラムダンクの過去エントリ

井上雄彦
スラムダンク 27巻

子どもの頃の思い出は本物か: 記憶に裏切られるとき/K・サバー/越智啓太

以前、錯覚の科学 を読んで、人間の記憶のいい加減さを詳しく知った。この本は、そうした記憶についての問題をジャーナリストがまとめたもの。ジャーナリストだけあって個々の文章は読ませるが、全体の構成が、ちょっとごちゃごちゃしすぎの印象。

内容はこんな感じ。
・人間の記憶は、あてにならない。そもそも最初から不正確な上、時間と共にどんどん改変される。
・それゆえ、証言だけを証拠にすると冤罪は必ず起こりうる。取り調べの過程で、検察は、あらゆるプレッシャーを掛ける事で、被告や証人から検挙に有力な「記憶」を作り出す事が出来る。
・米国では、公的な資格でない「心理療法家」が、10万件以上の虐待による家庭不和を生み出しているようだ。
・彼らは、精神的不調者から相談料をむしり取った上、幼少期の虐待や性的被害が原因であると断定する。そしてそれを思い出させるための、あらゆる施術をおこなう。
・すると、相談者は、すっかり忘れていた「虐待の事実」を克明に生々しく思い出す。そして近親者などを訴える。
・訴えられた親たちは、身に覚えが無いとして、逆に被害者団体を結成して防御に当たる。
・UFOに連れ去られて生体実験を受けた記憶があると主張する人達の話も同様の構造。
・幼少に性的被害に遭った人の成人後の精神状態を追跡調査した小さな論文が、「結論が気に入らない」という理由で、公権力によって社会的に抹殺されるまでの顛末。

人間は弱い存在だ。何かにすがりつきたい。もし今精神的な不調に悩んでいて、誰かがそれを、子供の頃に親に性的虐待を受けたからだよ、と背中を押す、無理矢理力一杯に押す事で、人はそうした記憶を作り上げてしまえる。洗脳ではない。たった今造ったストーリーと、思い出した記憶。その違いを明確に判別する生来の仕組みを、我々の脳は持っていない、という事なのである。偽の記憶の挿入という心理学実験は有名である。

私たち自身を作り上げるのは、これまでの体験だ。そして体験は記憶として蓄積される。しかし、その記憶自体、あてにならないものなのである。ならば、私、というその存在の輪郭はどう保ったらよいのか。認知症が発症者に与えるダメージと同程度のものを、我々は誰しも受けうる。いつでも、原理的に存在する爆弾として内蔵しているのである。
しかし、案ずる事はない。曖昧な記憶のまま、曖昧に暮らして行けるのが人間である。偽の記憶をよすがにしても、それでも今を生きる事自体になんら変わりはないのであるから。それが著者のメッセージだ。

ただし、細部に拘る法廷論争などはまた別の話である。人の記憶と冤罪の関係について、しっかりとした認識を社会は持つべきだろう。それなのに、例えば米国の陪審では、記憶についての専門家のアドバイスを受ける事は禁じられているという。正気の沙汰とは思えない。例えば、特殊な機械が犯行に使われたとしよう。専門家が呼ばれ、陪審はその解説を受けて判断に臨む。しかし、こと「記憶」に関しては、成人なら誰でも当たり前に完全に理解把握している事とされ、心理学者によって記憶の改変などを指摘する事が許されないというのだ。上記のような学術的事実があってもである。ただでさえ陪審という異常な制度が、これで一層冤罪を生み出しやすくなる訳である。細部まで克明な記憶に基づく迫真の証言一発で有罪である。迫真なのは当然である。本人は本当の記憶だと思い込んでいるのだから。心理学実験の教えるところによれば、細部まで詳しい記憶であればあるほど、実は後で改変された記憶である事が多いという。本当の記憶はぼんやりとしたものである事が多いらしい。

愛する子供から虐待として訴えられた親の心中は察するにあまりある。こうした事態の拡大を招いている心理療法家をなんとか取り締まるべきだろう。
そして、フロイト・ユングといった精神分析の負の遺産による弊害は、かなり見過ごせない状況ではないか。
上記の虐待冤罪でも、抑圧の理論がメインである。本当に辛い事は仕舞い込まれ、表面上忘れ、しかし深部の辛い記憶が症状を生む、というものだ。現代の多くの心理学実験はこれを支持しない。常識的に考える通り、辛いことほど忘れられない、という事の方が多いようである。

性的虐待を含む、幼児への虐待はあってはならない事である。
しかし、だからといって、過敏に反応しすぎるのも問題だ。
上記の虐待冤罪でも、あったとされる虐待は遠い過去で、証拠は本人の「記憶」しかない。性的な虐待をしていたと判決を受けては、親は社会的に抹殺されるだろう。
本書では、幼稚園経営者が社会的に抹殺される様も書かれており、その際に、警察などが、曖昧な幼児の記憶や発言から、「犯罪の事実」をいかに紡ぎ出していくかが描かれており、背筋が凍る思いだった。
科学的事実に基づく、記憶と証言の取り扱いの社会的コンセンサスは重要であり、その整備は急務だろう。本当に、やろうと思えば、誰でも社会的に抹殺することが出来てしまう。

そして、いくら幼児の性的虐待が問題だからといって、科学論文を排斥するような事は絶対におかしい。
「幼児期に性的に被害を受けた人は、そうでない人と比べ、その成人後、知的情緒的に有意な差はなかった」という小さな論文が、「幼児性愛を肯定する」と曲解され、その曲解に基づいて批判糾弾され、ついには議会で正式に「拒否」されてしまうアメリカの異常。いくら欧米では幼児性愛に異様に厳しいとは言え、科学的な手順に基づいて研究された科学的な論文が、その「結論」を理由として排除されるのはあり得ないだろう。私には、こちらの方が幼児の性的虐待より、よほど問題であると思う。
児童ポルノの単純所持の厳罰化など、明らかに異常な程の幼児性愛への社会的拒否反応は、まるで魔女狩りのようで興味深い。この辺りの本も、今度読んでみたい。

K・サバー/越智啓太
子どもの頃の思い出は本物か: 記憶に裏切られるとき

PS3/PlayStation3 CECH-2500A HDD破損&交換の顛末

購入から1年半。どうもPS3のHDDが飛んだらしい。
数日前の事である。まず妻が異変に気づいた。フィットイン6終了後の記録セーブに失敗し、セーブデータが破損したのだ。思えば、この時、さくっとバックアップしておけばいくつか救えたデータがあったろう。
次の日、今度は私のアカウントでフィットイン6をプレイ。やはりセーブできずデータ破損発生。しまった、これは何かおかしい、と思うが後の祭り。折角の運動記録は消えた。
どうも、読み込みは出来るが、書き込みに失敗するようだ。PS3の稼働時間に比して、徐々に動作が重く、起動やメニュー表示にどんどん時間がかかるようになってきた。
慌ててUSBメモリをぶっ刺し、セーブデータを待避。すでにいくつか破損しているセーブデータがある。また、もともとコピーできないデータは諦める。

この時、PSのセーブデータについて、完全に失念していた。メモリカードに書き度してないセーブデータは、ロストしたろうが、今見てみると、アーク3とオウバードフォースは書き戻していたので、多分、めぼしいところは大丈夫だろう。

さて、セーブデータを取り敢えず待避した跡、ファイルシステムの復旧を試みた。
PS3をセーフモードで立ち上げてファイルシステムの修復を実行。実行方法は公式 をチェック。
ところが上手く行かない。途中でリブートし、さらに最初からファイルシステムの修復が始まってしまう、ファイル修復地獄に突入。同様に、セーフモードで、最終手段、PS3の初期化を実行。初期化自体は上手く行くものの、再起動後のメニューで、やはり止まる。これはもうハード的な障害で確定だ。

昔、PS3購入時のエントリ でも書いたように、この本体はトイザらスで購入し、3年の長期保障を付けている。修理に出しても、最終的に、修理代は補償されるだろう。
しかし、1,2週間とはいえPS3不在は困るし、何より、発送や梱包、修理依頼などが面倒である。

原因は十中八九HDD破損とアタリを付けた私は、HDDの交換を試してみる事にした。ついでに160Gから増量できれば一挙両得だからである。なおPS3のHDD交換はメーカーも認めている。公式での手順紹介はここ 。使用するHDDはPS3での使用実績と容量、コスパを考慮の上、500GBで5400rpmのHDD を選んだ。
商品は結果として大変満足のいくものだったが、購入先のAmazon&業者には失望した。数千円の精密機械を、メール便用の段ボール素材封筒に直入れで送ってきやがったのだ。信じられない。しかし、一応破損や故障無く、無事動作したので、返品も面倒であるから、これを使う事にした。本当は、こんな扱いを受けた製品を使うのは数年後の製品寿命や性能を考えると不安だが、しかし、今回の件で分かったように、こんな扱いを受けていなかったとしても、HDDはいずれ破損する。だから、どのみちバックアップをマメに取る事で対応しようという腹づもりなのである。

さて、届いたHDDを開封し、マニュアルに従って破損HDDを引っこ抜き、新品をぶっ刺す。工程は、びっくりする程簡単で、ドライバでネジを5本外すだけ。ここで詳解するまでもない程である。

予めPCでUSBメモリにDLしておいたシステムソフトをインストールし、交換はあっけなく終了。

起動してみると、PS3は生まれ変わったようにサクサク動く。やはりHDD破損だったようだ。システム情報を見ると、ちゃんと430G近くの空き容量。

あとは、色々とデータを書き戻しDLし直すだけである。

と、思ったら罠があった。

今回初めて知ったのだが、PS3は、本体に一旦登録したSENアカウント(旧PSNアカウント)は、削除も変更も出来ないのである。

この本体では、本アカウントの他、欧州アカウントも登録していて、「感謝とお詫びパッケージ」で、LBPなど欧州版のお詫びソフトもDLしていた。
なので、面倒な方を先に片づけるかと、うっかり欧州アカで先にサインインしてDLし、さて次は本アカでDLするか、となった時に、罠に気づいたのである。PSPと同じように、使用アカを切り替える事が出来るとばかり考えていたのだ。
その後、小一時間メニュー階層を辿りまくり、webで検索しまくって、ようやく変更不可という現実を知った。

こういう場合には、別途ユーザーを作成し、そちらにサブアカウントとして欧州アカを割り当てるべきだったのだ。そして、お詫びの際には、自動的に無意識にそう設定していたのだった。

やむなく、設定やり直しである。しかし、「設定の初期化」では、アカの紐付けが消えなかった。仕方なく、メニューから、最終奥義「PS3の初期化」を選んで実行。HDDをフォーマットし直して、丸々一から再設定となった。

こうして設定も上手く行き、ようやくPS3は復旧した。まだ、CDや写真の取り込み作業が膨大にあるが、コツコツやるしかないだろう。上で描いたように、今度はマメにバックアップを取ろうと思う。

よろしく・マスター/筑波さくら

積みコミックス消化。2巻まで読む。

変な設定のマンガだ。ジャンルとしては主従恋愛もの。

サンタクロースは実在する。そして、その欠かせない相棒、トナカイも。
主人公の少女くるみは、ある日町で見知らぬ青年に声を掛けられる。探していました、ご主人様、と。
その青年カイトは、代々トナカイの家系に生まれた。一応人間であるものの(?)、特殊な能力を持ち、トナカイに変身してそりを曳いて空を飛べるというのだ。もちろんサンタクロースをのせて。
実は、サンタは分業制で多数存在しており、カイトは自分だけのサンタを見つけなければいけないのだ。でなければ、トナカイとして生まれた自分の使命を全うできない。祖父のような立派なトナカイとして、クリスマスの夜にプレゼントを配って回るのがカイトの夢であった。
しかし、自らのマスター、サンタクロースを見つける事は容易ではない。家系のうちには、一生サンタを見つけられずに終わるものもいた。自分の宿命のサンタは、触れれば分かる。暇さえあれば町に繰り出し、我が支配者を捜し続けたカイト。そうして、くるみに触れた瞬間、二人を(他人には見えない)手綱が結び、ようやくカイトの宿願が叶ったのであった。

が、くるみはつれない。いきなりサンタとか言われても信じられる訳がない。しかしカイトは諦めない。
「トナカイになれ、と言って下さい」。くるみの言葉で本当に変身するカイト。トナカイの一族は、自分のサンタの命令には絶対服従なのだ。
自分のマスターを見つけ、服従の喜びに紅潮するカイトに、やや引き気味のくるみ。だいたい、何故自分がクリスマスに他人にプレゼントを配って回らなくてはならないのか。
しかし、クールなくるみも、カイトの熱意にほだされ、渋々仕事を引き受け、だんだん、サンタの使命に目覚めてゆく。

ところで、普通サンタは男である。女のサンタは珍しいという。
親族達に、主従関係に恋愛感情を持ち込む事の是非を問われ、カイトははっきりと断言する。
「サンタに恋するトナカイになる」
そしてくるみには「オレはあなたのものだから」、と。

イケメンで明るく、運動神経も抜群、ちょっと天然ながら子犬のような素直さでヒロインに絶対服従。
よくある主従恋愛ものだが、その設定が妙で面白い点は買い。

ただ、その設定の制約上、時節は必ずクリスマス。そしてカウンターとして夏は海イベントでの恋愛話。
こうして、クリスマス、海、クリスマス、夏、クリスマス…、という繰り返しになっている。
しかも、名探偵コナンと同様、どのクリスマスも夏も、くるみは17歳。時間は進まない設定なのだ。
この点がちょっと残念かな。だんだんパターンで飽きて来るというか。

1巻に収録の吸血鬼ものの短編は出色だった。

筑波さくら
よろしく・マスター

まんまんちゃん、あん。/サトウナンキ/きづきあきら

職場にあったので読んだ。全3巻。

主人公は表紙の女子高生めぐり。一見してヘンテコなタイトルとロリ巨乳キャラから、内容を訝しむ向きもあるだろうが、日本の寺僧問題と人生の意味をテーマにした割合硬派なマンガである。

6人姉妹の三女として生まれ、極貧生活の中で逞しく育っためぐり。極貧も苦労も気にも留めず、しっかり者の働き者で、愚痴もこぼさず朗らかで、いつも家族のためにと優しく、家事もバイトも笑顔で頑張る、そんな絵に描いた様な「逸材」を檀家衆は見逃さなかった。
中規模寺院の随徳寺は、現住職の息子僧侶が二人いたが、長男の信玄は女性に興味を示さず、縁談にもつれなく、跡継ぎ問題で檀家連中は気を揉んでいた。ただでさえ、住職の妻などはその過酷な労働環境に、なり手が無いというのに。そこへある意味騙して縁談の場に連れてこられためぐり。
しかし、めぐりはその場であっさり信玄との結婚を快諾した。

卒業を控えてまだ就職先が決まらない焦り。姉に学業を続けさせたい。下の三つ子の妹達を進学させたい。物理的に居場所のない部屋を広くしてあげたい。
行き場のない自分に与えられた場所をめぐりは手放すまいとしがみついたのだ。

しかし、それだけではない。1年間の交際の間に、信玄の人となりに触れ、その僧として人としての深さ、優しさに惹かれてゆく。めぐりは、信玄が、そして彼の寺が本当に愛おしくなってゆく。

卒業を待って結婚しためぐりと信玄だったが、ほのぼのとした幸せは幻のように消えてしまった。新婚2ヶ月、ほんの些細な事故で信玄はあっけなく死んでしまったのである。

信玄の四十九日が過ぎた頃、日本の寺僧世界の暗部を露呈するかのように、様々な思惑がうごめき出す。

現住職の寺庭、つまり尼になってない妻である信玄の母は、次男の一円を跡継ぎとして檀家に正式に認めてもらおうと動き始める。なぜなら、寺というものは宗教法人の財産であるので、夫である現住職が死んでしまうと、寺の跡継ぎが実の子で無ければ、元住職の妻など、無一文で放り出されるより他に無いからである。

一方の一円は、世襲で寺を継ぐという事に疑問を持っていた。また一円の彼女の岬は、住職の妻の悲惨さを知っており、寺を継ぐなら別れると、はっきり問題に片を付けるよう一円に迫る。理想家だが優柔不断で決断力のない一円は、問題を先延ばしにするほかなかった。

檀家の一部は、めぐりを手放すまいと画策する。貧乏で鍛えられた、明るく働き者で何より寺を愛するめぐりは、まさに坊主の妻として鉦や太鼓で探しても見つからないような逸材であった。一円のような並の僧侶の代わりはいても、めぐりのような女性はいない。そこで、めぐりに、新に一円と結婚するよう説得する。そんな話はめぐりの人権侵害だと憤る一円。

随徳寺の僧侶恵春は、自分には関係のない後継問題には一線を引いて関わらずに来た。しかし、寺を手に入れる事が出来るかも知れないという思いもしなかった選択肢を前に、めぐりへの恋愛感情も手伝い、自分と結婚して寺を継ぐ事に加担するよう迫り、めぐりを襲い、無理矢理関係を持ってしまう。

さらに、檀家の大立て者は、菩提寺の未来を見据え、これはと見込んでいた在家の僧侶慈恩を、後継候補として寺に送りこむ。一見乗っ取りを企むワンマンなエリート野心家に見える慈恩だが、その実、寺の将来を見据えた上で、さらに亡き信玄の遺徳を継ごうと真面目に取り組む器の広さを持っていた。彼は僧侶の妻としてめぐりの得難い才能に惚れ込み、自分と結婚し寺を守ろう、信玄のこころを守ろうと訴える。

こうしたそれぞれの思惑が入り乱れ、泥沼の争いが繰り広げられる中、当のめぐりは吹き流しのように翻弄されていた。

めぐりの気持ちは、死んだ信玄が持って行ってしまっていた。信玄の思いと共にいたい、彼の寺を守りたい。
だから、寺に残れるのなら、誰の提案でも受け入れた。誰とでも結婚しても良いと思っていた。
むしろ、結婚はしても、私を好きなどとは思ってくれない方がいい、とさえ思っていたのだ。

いつも笑顔でいる、めぐり。そのめぐりの、本当の表情は何だろう。エゴ、慈愛。本当の気持ち。本当の願い。自分を偽って得た場所に、本当の心の居場所はあるのだろうか。
…というようなお話である。

ドロドロやった後、うまく結末もまとめており、読後感も良い。

最愛のものを失った哀しみに耐えるために、寺や仏はあるのだ。
忘れられない哀しみではなく、哀しみを忘れてしまう哀しみ、そして恐れ。それでも人は生きてゆく。それこそが生きてゆく、という事である。
そんなところがテーマだろうか。

正直、無神論者としては、寺問題のゴタゴタ何ぞは興味なくどうでも良い。個人的には、僧というのはサービス業だと思っているから、寺の存続というのは、パチンコ屋の存続、と同じ印象である。
が、仏教と絡めて人生の意味を問うストーリーは、なかなか良いと思う。

絵柄は好き嫌いあるだろうが、個人的にはイマイチ。ボーダートーン多用するなあ、という印象。

ちなみにタイトルの言葉は、「仏様にお願いする、頭を下げる」という様な意味の関西の幼児言葉という事だ。


サトウナンキ/きづきあきら
まんまんちゃん、あん。

Made by Hand ポンコツDIYで自分を取り戻す/Mark Frauenfelder

読む予定の本、読んだ本、ともに溜まってきてしまった。
ゲームも溜まり気味。妻や義弟におっつかない。
という事で、ブログもしばらく簡略モードで。

著名なブロガーでDIY雑誌Make主催の著者が、自身のDIY体験を綴ったエッセイ。
DIYエキスパートによる指南書でもなく、特定DIY分野の詳解でもなく、むしろDIY初心者とも言える著者がプライベートでDIYスピリッツを体感してゆく様を、一般向けに楽しく書いた本である。
企画本ではなく、本当に個人的な体験をまとめた風が良い味わいだ。

失敗に恐れることなく、むしろ失敗を楽しむように、自らの手で作り上げる、という体の感覚を掴む事が大切だと説く。家庭菜園を築き、鶏やミツバチを育て、エスプレッソマシンを改造し、ギターを造り、木製スプーンを彫り上げ、娘の家庭教師をし、電子工作に取り組む。副題にあるように、身体の活動による「生」の感覚の実感という、成果ではなく、過程そのものを楽しむ事の重要性に焦点をあてる。

面白いのは、昨今のアメリカでのDIYの潮流である。インターネットを介したコミュニケーションの定着により、DIY分野での交流や進展がドライブされる様が非常に興味深い。


Mark Frauenfelder
Made by Hand ポンコツDIYで自分を取り戻す