よろしく・マスター/筑波さくら | 読んだり観たり聴いたりしたもの

よろしく・マスター/筑波さくら

積みコミックス消化。2巻まで読む。

変な設定のマンガだ。ジャンルとしては主従恋愛もの。

サンタクロースは実在する。そして、その欠かせない相棒、トナカイも。
主人公の少女くるみは、ある日町で見知らぬ青年に声を掛けられる。探していました、ご主人様、と。
その青年カイトは、代々トナカイの家系に生まれた。一応人間であるものの(?)、特殊な能力を持ち、トナカイに変身してそりを曳いて空を飛べるというのだ。もちろんサンタクロースをのせて。
実は、サンタは分業制で多数存在しており、カイトは自分だけのサンタを見つけなければいけないのだ。でなければ、トナカイとして生まれた自分の使命を全うできない。祖父のような立派なトナカイとして、クリスマスの夜にプレゼントを配って回るのがカイトの夢であった。
しかし、自らのマスター、サンタクロースを見つける事は容易ではない。家系のうちには、一生サンタを見つけられずに終わるものもいた。自分の宿命のサンタは、触れれば分かる。暇さえあれば町に繰り出し、我が支配者を捜し続けたカイト。そうして、くるみに触れた瞬間、二人を(他人には見えない)手綱が結び、ようやくカイトの宿願が叶ったのであった。

が、くるみはつれない。いきなりサンタとか言われても信じられる訳がない。しかしカイトは諦めない。
「トナカイになれ、と言って下さい」。くるみの言葉で本当に変身するカイト。トナカイの一族は、自分のサンタの命令には絶対服従なのだ。
自分のマスターを見つけ、服従の喜びに紅潮するカイトに、やや引き気味のくるみ。だいたい、何故自分がクリスマスに他人にプレゼントを配って回らなくてはならないのか。
しかし、クールなくるみも、カイトの熱意にほだされ、渋々仕事を引き受け、だんだん、サンタの使命に目覚めてゆく。

ところで、普通サンタは男である。女のサンタは珍しいという。
親族達に、主従関係に恋愛感情を持ち込む事の是非を問われ、カイトははっきりと断言する。
「サンタに恋するトナカイになる」
そしてくるみには「オレはあなたのものだから」、と。

イケメンで明るく、運動神経も抜群、ちょっと天然ながら子犬のような素直さでヒロインに絶対服従。
よくある主従恋愛ものだが、その設定が妙で面白い点は買い。

ただ、その設定の制約上、時節は必ずクリスマス。そしてカウンターとして夏は海イベントでの恋愛話。
こうして、クリスマス、海、クリスマス、夏、クリスマス…、という繰り返しになっている。
しかも、名探偵コナンと同様、どのクリスマスも夏も、くるみは17歳。時間は進まない設定なのだ。
この点がちょっと残念かな。だんだんパターンで飽きて来るというか。

1巻に収録の吸血鬼ものの短編は出色だった。

筑波さくら
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